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2005年5月 2日 (月)

桜は春になれば咲くけど

hasemamikim

わが家から歩いて3、4分のところに(株)第二書房の事務所がある。淡島から環7へ抜ける梅ヶ丘通りに面しているので交通量の多いところだ。4階建てのビルの1階、2階を借りて仕事場にしているが、10数年は経つだろうか。
この事務所を明け渡さなければならないので、今年に入ってからずっと片付けているが、4月が終ろうとしているのに、まだ片付かない。
わが家は昭和7年に建てられた木造の2階屋で、子供の頃から戦後の昭和40年くらいまで、鉄筋の建物に立て替えるまでそこで育った。
6畳ほどの応接間には、戦前、父が建具屋に注文して作らせた、がっちりとした本箱があり、その中には父が戦前勤めていた第一書房の豪華本がずらりと並んでいた。
革の背表紙の近代劇全集、吉田絃二郎全集、西条八十、萩原朔太郎、堀口大学の詩集などだ。
中学生の頃、これらの本を読みたいと思ったが、いつもカギがかけられていて開けることができない。その頃からぼくは本なんて読んでやるものかと本嫌いになってしまた。
この本箱は事務所に移されていたのだが、こんな大きな本箱を移して置くところがない。他にも本箱はいくつもあったが、リサイクル屋に持っていってもらった。リサイクル屋の親父さん、ぼくの手に5万円を握らせて。
子供の頃からずっと見続けていた本箱が持ち去られていくとき、「第二書房は、これで終わりだな」と思った。
父が(株)第二書房を設立したのが、戦後すぐの昭和22年。それから60年近い歳月が流れている。その間にたまりにたまったものをいちいち確かめながら捨てていくのだから、その作業は大変。その価値はぼくしか分からないのだから、他人まかせにはできない。
有名な詩人や、作家の原稿もある。島崎藤村のサイン入りの写真も見つけ出した。
『薔薇族』も創刊してから33年。この間の資料も山のよう。まだまだ作業は終りそうにない。
桜が満開の鎌倉橋の上で、長谷川サダオ君、木村べん君、間宮浩さんと3人で並んでいる珍しい写真をみつけだした。
20年ぐらい前の写真だろうが、おいおい3人ともこの世の人ではない。みんなぼくを置いてあの世に旅立ってしまっている。
長谷川君、木村君は50代、間宮さんは70を越したぐらい。
桜は春になれば花を咲かせるけれど、君らはもう永久に帰ってこない。後に残されたぼくはこれからどう生きていけばいいのだろうか。

木村君と長谷川君が描いてくれた『薔薇族』の表紙

kim2kim 

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