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2005年7月31日 (日)

心の豊かさだけは持ち続けて

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  内藤ルネさんの「内藤ルネ初公開コレクション展」が東京、根津の「弥生美術館」で7月1日から9月27日まで催されている。

  この催しと同時に小学館から「内藤ルネ自伝・すべてを失くして」(定価¥1890)が発売され話題になっている。

  この本でルネさんがゲイであること、そして本間真夫さんと一緒に住んでいることも告白している。今まで隠していたバブル期に、ルネさんがコレクションしてきた、アンティークのお人形を展示する美術館の建設用に用意してきた多額なお金を人のいいルネさんたちはだまされて、すべてをまきあげてしまったサギ師たちの話も公開している。

  「すべてを失くして」のタイトルは、今まで二人で住んでいたマンションまで失くしてしまったところから、このタイトルがつけられている。

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  修善寺に残っていた土地は、失わずにすんだことと、数千万円のお金は残っていたのでお人形の展示場と、その裏に住居も作って現在は生活している。

  1971年、昭和46年の『薔薇族』創刊の少し前の春の頃だと思う。千駄ヶ谷の駅から歩いて4、5分のところにあるマンションに、ルネさんと本間君は住んでいた。

  その頃のぼくは昭和7年に建てられた木造2階建のボロ家に住んでいたので、このマンションのいくつもの部屋は、まばゆいばかりだった。

  真っ黒な部屋に通されると、扉が開いてお茶をおぼんにのせた手だけが出てくる。その手はかなり経ってから紹介されて知ったのだが、本間君の年老いたお母さんの手だった。ぼくのおふくろも岩手県の出だったが、本間君のお母さんも東北の出身で、苦労に耐えてきたというような方だった。

  お母さんのほかにまだ人の気配をなんとなく感じていたが、その人がルネさんだったのだ。ルネさんを紹介されたのは、かなりの時間が経った頃だった。やっとお互いに気心が分かってきて、なんでも言えるようになったのは、ずっとずっと後のことだった。『薔薇族』の中身の内容がどんなに過激でポルノでも、ルネさんが描いてくれた表紙絵の青年のおかげで、『薔薇族』はさわやかさと上品さを失わない本だった。

  ルネさんの部屋でお茶を出されたときに、お茶が入っていた器、それは江戸時代に作られたそばちょこだった。なんとも魅力的なお茶碗、それをひとつ買い求めてから、ぼくのアンティーク狂いが始まってしまった。

  ぼくの心は豊かになり、ルネさん、本間君の影響で美意識も向上して、新潟の弥彦に「ロマンの泉美術館」を12年前に造ってしまったが、昨年の9月に『薔薇族』は廃刊して無収入になり、その上、美術館建設の借金だけが残ってしまった。

  ルネさんたちは、サギ師にだまされてすべてを失ってしまったけれど、銀行に借金はないから幸せだ。今の世の中、借金をかかえている人間だけが苦しんでいる。

  お金はないけれど、心の豊かさだけは、どんなことになっても失いたくないものだ。

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弥生美術館「内藤ルネ 初公開 コレクション展」

投稿: 主婦M | 2005年8月28日 (日) 11時41分

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