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2005年8月22日 (月)

こんなやさしい、女主人がいる本屋さんがみんななくなってしまった。

「『薔薇族』を愛読して、もう3年になります。地方に住んでいる者にとって、貴誌がどれほど慰めになり、幸せのかけ橋になっているか今更申しあげるまでもありません。

1月号に誰かが書いていましたが、心ない店員のひとこと(女店員にいやらしいと言われた)のために、自由に買えないなんて、絶対に不幸なことです。私がいつも買っている店は富山の高岡駅のバスターミナルの端にある小さな書店ですが、その店の中年の女主人は実に親切です。無駄な愛想もありませんが、私が客のいないのを見はからって、手渡す本を他の客がくると、実に素早く表紙を裏返しあざやかな手つきで包んでくれます。

私の心を知ってか知らずか、静かな声で、“ありがとうございます”と必ず言います。“当たり前のこと”と言ってしまえばそれまでですが、地方にいて、まだまだ辛い立場で過ごす者にとっては、そんなさ細なことでもうれしいのです。

あるときなんか、いつものところに見当たらないので、二度、三度と探し、どうしてもみつからないので、思いきって、“薔薇族ありますか”と、聞いてみました。

早速、レジから立ってあたりを探し、他の雑誌の下になっていた薔薇族を手に“ごめんなさい、下になっていたのよ”と、実に申し訳なさそうに、いつものように包んでくれました。

人それぞれとはいえ、嫌な顔をして笑う店員もいれば、私のようにいつも気持ちよく手にするものもいるのです。私には女主人が女神にも見えるのです」

30年以上も前の話ですが、今も地方にいけば、読者の気持ちにさほどの変化はないでしょう。こうした小さな書店に支えられて『薔薇族』は売れていたのに、小さなお店はみんなつぶれてしまった。日本のどこかにこんな本屋さんは残っているのだろうか。

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