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2005年9月20日 (火)

35年前の『薔薇族』創刊号がピカピカのままで。

barasoukangou

  ショック!ぼくと同じ年齢73歳の読者から、こんな手紙をもらってしまった。

  「私は昭和7年生まれの73歳です。人生においては末期です。いつどのようなことになるのか分かりません。今が身辺の整理をする時だと考えました。

  60年間ぐらいの間にコレクションした書籍やグッズを家にそのまま放置して、あの世に旅立つわけにはいかないと思います。

  この箱の中には『薔薇族』の創刊号が入っています。私はその時からの愛読者なのです。創刊号だけは手元に置いておきたかったのですが、残念です。私の気持ちをおくみとり下さい。

  私はカミングアウトはしてはおりません。市井の一市民として生活しています。」

  数日後に大きなダンボール箱2箱が宅配でぼくに送られてきた。

  長い年月をかけて集めたものだろう。単行本は三島由紀夫の作品、稲垣足穂の『少年愛の美学』森茉莉の『枯葉の寝床』など、ゲイ関係の本は凡て揃っていた。

  『薔薇族』の新しいものは、買ってもすぐに処分をしてしまったのだろう。昭和46年の7月に創刊の『薔薇族』の創刊号、藤田竜君が描いた足をくんだ青年の表紙絵、35年という年月が経っているのに、あの時のまま、製本したてという感じの真新しさ。いかにこの人が大事に保存してくれたのかとうことがひしひしと感じられるぐらい、ピカピカに輝いていた。

  「創刊号だけはとっておきたかった。」という送り主の気持ちが痛いほどに伝わってくる思いだった。

  この人はぼくと同じ年齢でありながら、人生の終わりを考えている。ぼくは大きな借金をかかえているから、これからもうひと花咲かせて、少しでも借金を返済しなければ。これからがぼくの人生の再出発と考えているのに。

  人間死んでしまえば、おしまいだ。本人がこの世にいないのだから、死んだ後のこのなど考えずに、誰にも迷惑をかけるわけではないのだから、自分の好きなものを集めて、最後まで楽しめばいい。とはいってもゲイの人は、心の奥底に罪悪感みたいなものを持っているから、このような身辺整理を考えてしまうのだろう。

  このピカピカの創刊号は、大事に保存していつまでも手許に置いて保存しておきたい。

  このような読者に支えられて、今日まで来れたということを忘れないためにも。

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