« 人生をまじめに生きているのに。 | トップページ | 『アドニス』誕生秘話 »

2005年10月19日 (水)

人は外見だけでは分かりません!

DSC06505

若き日に今は亡き作家のYさんと交友関係にあり、Yさんのことを小説に書いたことで話題になった福島次郎さんのことを紹介した。

福島さんが東京の大学生で21歳のころ、ある偶然のことから知り合って、Yさんの家で書生のようになって世話になっていたことがあった。福島さんはゲイだから、当然Yさんと関係を持つことになるのだが、この道の相手に対する好みは複雑で、Yさんとは好みがあわなかったということで、大学卒業後、熊本に帰り教師になり、のちに作家になったということだ。

Yさんは昭和41年の8月末に、明治9年に熊本を中心におきた「神風連の変」のことを取材するために熊本を訪れ、再び、福島さんと会った。

福島さんはYさんのことをこう記している。「昔と少しも変わらぬ、気さくで冗談好きの、何でも子供のように面白がる都会の良家のボウヤ風の無邪気な人だった。」

この時代のYさんはボディビルでからだを鍛え抜いていたから、若いときとは別人のようになり、すっかり筋肉マンに変身してしまっていた。そのからだを人からほめられることで、忘我の境に入っていく。完全なナルシストになっていた。

福島さんのゲイ仲間のケンさんが、Yさんと呑んでいたお店に入り込んできて、たちまちのうちにYさんと意気投合してしまった。

「Y先生とお逢いできたんだから、ぼくもう死んでもいい」など甘え声でYにしなだれかかり、Yの胸をまさぐっているケン。「わあ、すごい筋肉」と自慢の胸を撫でまわされるから、Yの喜びはひとしおである。

「いいね、いいね、肥後の男は!」と満面の笑みのYに、ケンは顔を仰向けにして「キス ミィ プリーズ、キス ミィ」とねだっている。そして二人は、それぞれの掌を相手の肩にかけ合いながら、熱烈なキスをかわし続けた。

このくだりは福島次郎さんが宝島社から出版した『淫月』の中の短編で、「飛魂抄」の中の一節だ。

作家のYさんって、まったく想像していた人間像と違っていて興味深い。Yさんの作品のファンは是非『淫月』を 読むべきだろう。

僕はYさんと交友関係にあった3人のゲイの人を知っている。その人たちのY像も今後書いてみたい。

◆ご感想・ご相談はこちらへbungaku@barazoku.co.jp

|

« 人生をまじめに生きているのに。 | トップページ | 『アドニス』誕生秘話 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 人は外見だけでは分かりません!:

« 人生をまじめに生きているのに。 | トップページ | 『アドニス』誕生秘話 »