« わが家の守り神は蛇(へび)君だ! | トップページ | やすしさんは、本当は男好き? »

2005年10月11日 (火)

男しか愛せない男たちを描いた本!

img125

宝島社から福島次郎さんの『淫月』という本が送られてきた。それからご本人からもこの本よりも前に出版された、文藝春秋の『蝶のかたみ』をサイン入りで送ってくれた。

淫月』早速読んで『薔薇族』の12月号(12月21日書店販売)に書評を書いた。『淫月』って聞いたこともない言葉なので、『広辞苑』をひいてみたら「隠月」は載っていたが『淫月』という言葉は載っていない。恐らく福島さんは東洋大学の国文科出身で、国語の教師をやっておられたようだから、ゲイの世界を象徴する言葉として使われたのだろう。

「隠月」は琵琶(びわ)の表板下方にある楕円形の穴。弦を結ぶ覆手(ふくじゅ)の内面に隠れ、上方の二個の半月に対し満月ともいう。( 広辞苑より)

表に出られないで隠れてひっそりと暮らしているゲイの人たちのことを書名にしたかったのだろう。

福島さんは学生時代に三島由紀夫さんの家に書生として住み込んでいたことがあったそうだ。当然ゲイである福島さんは、三島さんと関係があったのだろうが、お互いに好みが違っていたようだ。それは三島さんとベッドを共にしたことのある藤田竜君から直接話を聞いたことがあるので、自己愛の強い三島さんとはうまくいかなかったということは想像できる。

福島さんの『三島由紀夫 剣と寒紅』は、三島さんから受け取った手紙を遺族に無断で公開してしまって訴えられ、発売停止になってしまった。残念ながらこの本は読んでいない。

『淫月』は純文学短編7話と長編1話を収めている。純文学とあるから難解な小説かと思ったら読み易くて、ゲイでない人にも分かるように解説さえしてくれている。ただセックス描写がまったくないところは、『薔薇族』に小説とは違っていて、そこがポルノと純文学の違いなのだろう。最後にのっている「飛魂抄」という小説は、三島さんのような作家が、福島さんの住んでいる熊本に取材で来られたときの出来事が書かれている。三島さんのような作家を知る上で興味深い。

東京新聞の「大波小波」欄に、この本に書かれていることが時代遅れのようなことを書いているがとんでもない。
  地方に住んでいるゲイの人たちは、ゲイバァにくるような人は一部の人で、みんなひっそりと暮らしているということを知らない人の言うことだ。

性描写の書かれていない部分だけを頭の中で妄想してみると妙に甘々しいものになってくる。地方に住んでいて、ゲイの世界だけを描き、芥川賞をねらっている福島さんを応援してあげたいものだ。

●『淫月』(いんげつ)宝島社刊。定価・¥1890+税。

◆ご感想・ご相談はこちらへbungaku@barazoku.co.jp

|

« わが家の守り神は蛇(へび)君だ! | トップページ | やすしさんは、本当は男好き? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 男しか愛せない男たちを描いた本!:

« わが家の守り神は蛇(へび)君だ! | トップページ | やすしさんは、本当は男好き? »