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2006年3月21日 (火)

東條英機さんのお孫さんと話をして大感激!

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  ひざの痛み止めの薬を薬局に取りに行き、ちょっと足をのばして、ぼくのいこいの場所である喫茶店に立ち寄った。3月10日、金曜日の午前中のことだ。

  入口に近いテーブルには、品のいいやせぎすの老人がおひとりだけ座っていた。この喫茶店は「邪宗門」といい、北原白秋の詩集からとって名づけたものだ。

  店内には古時計、石油ランプ、火縄銃などが所狭しと飾られている。和骨董を置いている店としても知られているが、今静かに脚光を浴びているのは、明治の文豪、森鴎外の長女の森茉莉さんが、毎日のように通いつめていた店だったということだ。

  ぼくも世田谷新聞や、復刊『薔薇族』で「伊藤文学のひとりごと」の頁に「森茉莉さんの座っていた椅子」と題して、エッセイを書いたことがある。今でも日本中から森茉莉さんの熱心なファンが訪れている。

  この「邪宗門」のマスターもぼくと同じようにひざを痛めている、同病あいあわれむ中でもある。

  マスターの奥さんは、美空ひばりの大ファンで、ひばりに関するコレクションは半端ではない。奥の部屋はひばりのグッズでうまっている。

  今日どうしても書きたいと思ったことは森茉莉さんの話ではない。マスターにリクエストして、ひばりが歌う戦時中の軍歌を聞かせて欲しいとお願いした。

  ひばりが歌う軍歌。軍歌というと、兵隊や当時の国民の士気を高揚させるための勇ましい歌と思うだろうが、日本の軍歌はそうではない。反戦歌ではないかと思うぐらい、しみじみとして心に沁みる歌なのだ。ひばりが歌うと、これがまたいい。涙がにじんでくる。

  入口に座っていた老人も、ひばりが歌う軍歌に耳をかたむけていたようだ。

  老人はお金を払って帰ろうとしたときに、「軍艦マーチは名曲ですね」と、話しかけてきた。マスターがぼくのことを「『薔薇族』編集長の伊藤さんです」と紹介してくれたら「ああ三島由紀夫さんの」と承知しているようだった。

  老人が扉を出てから、マスターがびっくりして言うことには「東條英機さんのお孫さんですよ。ときどき店にきてくれるけど、一度もしゃべったことがありません」

  奥さんは『祖父東條英機「一切語るなかれ」』『大東亜戦争の真実』の著者でもあり、マスコミによく登場している東條由布子さんだ。由布子さんからは、サインをしてぼくに著書を贈ってもらっていた。東條の印鑑は東條英機さんが生前使われていたものだ。

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  東條さんのお宅は「邪宗門」のお近くでわが家から歩いても4、5分のところにある。

  ぼくは『薔薇族』を出すようになってから見知らぬ人にでも話しかけるのが上手になっている。今までまったく会話をしない、東條さんのお孫さんと話をしたというのでマスターがびっくりしたわけだ。

  若い人には理解できないだろうが、戦時中に育ったぼくとしては、東條英機さんのお孫さんと話をしたということだけで、大感激なのだ。これから由布子さんの書かれた本をよく読んでから、由布子さんとも話をしたいと思っている。なぜか由布子さんもぼくに会いたいと言ってくれているそうなので。

◆ 邪宗門 TEL03-3410-7858

◆ご感想・ご相談はこちらへbungaku@barazoku.co.jp

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コメント

東條元首相は、戦陣訓の中で「生きて虜囚の辱めを受けず」と教えています。いざというときは、国民に自決することを強制していました。これにより、多くの命が奪われています。それにもかかわらず、東條由布子さんは、祖父は正しかったと主張しています。伊藤様も歴史の教訓を学ばれることを期待します。

投稿: さいとう | 2007年8月12日 (日) 12時12分

はじめまして。
劇団唐組新作公演のパンフレット表紙が高畠華宵氏だったことに驚きました。
そこに弥生美術館さんのことが紹介されており、かつてのJunestであった私には、久々に見るお名前の数々を懐かしく思い出しました。
で、検索してみたら、貴ブログを発見し、ドギマギしている次第です。

RSSリストを取り込ませて頂きましたので、今後ともどうぞよろしくお願い致します<(_ _)>

投稿: ふえきのり | 2006年3月23日 (木) 12時16分

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