「オジイちゃん、長生きして!」
「伊藤文学を励ます会」が、平成十八年八月二十三日(水)、夕方の六時から、新宿の京王プラザホテルで華やかに開催された。
この会に先だって、新潟の弥彦温泉「四季の宿・みのや」で、八月六日(日)、夕方六時から五十人のお客さんを集めて開かれた。この会は地元の人たちが骨を折って開いてくれたのだ。
三十九歳で『薔薇族』を創刊して、今や七十四歳、髪の毛もあるや、なしやになってしまった。どうみても「ハゲ増す会」としか、ぼくの目には映らない。弥彦の広間には、呼びつけたら悪いと思ったのか、看板に「伊藤文学さんを励ます会」と「さん」が付け加えてある。これでは、増々「サンゼン」と輝くということだろうか。それにしても新潟の人たちの熱い人情にふれて、楽しい夜だった。
東京の会は、三百人近い人たちに案内状を発送した。人間、落ち目になると、人はよりつかなくなると、よく言われている。そんなことになるのではという心配もあった。だが、こんなときに人間ってよく分かるというものだ。
出席者は百人を少し越えた。欠席のはがきを寄こしてくれた人が七十名。あとの百人ばかりの人は、出欠のはがきを入れたのにもかかわらず、なしのつぶてだった。
数えきれないくらいパーティーをぼくは開いてきたが、以前はこんなことはなかった。多少は返事をよこさない人はいたが、こんなにひどくはなかった。
今の世の中、急速に義理、人情はすたれ、人間同士の社会生活をしていくための最低のルールみたいなものが希薄になってしまった。となり近所の付き合いもなくなっている。社会のタガがガタガタにゆるんでしまったのではなかろうか。
ホテルの担当の宴会係に、この話をしたら宴会の幹事役の人が、みんな出席者の数をつかめずに困っているということだ。
学生時代の短歌の仲間で、いつもぼくの会には出席してくれていた人がいる。この数年、歌壇のボスになってしまって、今年は宮中の御歌所の選者になってしまったので、ぼくの会に出たのでは、イメージが悪くなってしまうだろうから、返事を出さないのは仕方がないが。
テレビの取材があったり、マスコミがきて写真を撮るから、本当は来てほしい読者を招けなかった。時代も変わったしと思って、若いゲイの人たちに手紙を出したら、二、三十人の仲間が来てくれたのはうれしかった。
売れないときに何度も招いて歌ってもらった、歌手の「クミコ」さんが来てくれたではないか。今や、クミコさんは「徹子の部屋」に出演したり、すっかりメジャーになってしまったのに。昔の恩を忘れていなかった。
「オジイちゃん、長生きして!」と、花束をくれて叫んだ、五歳の孫には泣かされてしまった。
そして、会に出席して下さったみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとう!
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