戦後のゲイバアをのぞく②~銀座・ブランスウィック~
「三島由紀夫も言っているように、ブランスウィックは場所がら、通りすがりの何も知らない銀ブラ人種が、男女アベックや、女同士で入ってくる。
とくに若い女客が多いのは、新橋のしるこ屋「折鶴」と同じく、ボーイが若くてハンサムばかりだからではあるまいか。もしそうだとすれば、女客がボーイお目当で入ってくるとすれば、それらのボーイが自分たちの生活には何の興味もないソドミアだとは知らぬ女客こそ、何かの見本みたいなものと言えなくはなかろうか。
入口のドア近く、階上へ通じる階段がある。この階段を上った二階こそが、ゲイバアのブランスウィックの本陣なのだ。その道の客は店に入ると、階下には目もくれず、すぐに二階に上る。
階段を上りきったところにカウンター、それからずっと戸外の方に向って、客席がとってある。ボックスが7、8つ。通路が広いから3組、4組は充分に踊れる。
マスターは45、6、鼻下には小粋なひげ、長髪で店の飾りつけでも分かるように服装もかなりの派手好みだ。
戦前もずっと昔に、銀座でカフェを経営していたことがあるという。家庭には妻子があり、奥さんは新橋で汁粉屋を営んでいる。
マスターは妻子がいても、もちろんソドミアで、好みは美少年趣味のペデらしいが、最初にこの店を始めたときは、ゲイバアにとの目的はなく、ただ自分の好みで、ナイスな少年ばかりを選んでボーイに使ったところ、いつのまにかその道の人が集まるようになったということだ。
ゲイバアとしては銀座でもっとも古く、それだけにいい客がついているらしい。」
ブランスウィックに通っていた人って、生きていたとしても80歳を越えているだろう。
亡くなられた作家の福島次郎さん、文藝春秋刊の『三島由紀夫-剣と寒紅』の中に、三島さんと知り合ったときのことを書いている。
「三島由紀夫さんと私が知り合うきっかけは、この関心がふくらんだ結果、私が直接、その店(ブランスウィックのこと)の場所を聞きに行こうと思いたったことからであった。
先生の『禁色』という小説の中に出てくるルドンというお店は、どこにあるのでしょうか。教えて頂きたくて参りました。ひとこと教えてもらえれば、すぐに帰りますのでおねがいします」
福島次郎さんが三島邸を訪れたら三島さんは福島さんを、ひと目見て気に入って、すぐさまブランスウィックに連れて行った。
福島さんが生きていたら、ブランスウィックの話を聞けたろうに残念でならない。
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