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2007年6月19日 (火)

坂口安吾と代沢小学校

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ぼくが世田谷区立・代沢小学校に入学したのは、昭和14年4月のことだった。その頃、校庭の片隅に木造平家建の後者がまだ残っていた。教室は3教室あったが、校舎としては使われていない。床もぼろぼろになっていて、歩くとガタガタしていた。

その校舎に元気な子供たちの声が聞こえていたのは、関東大震災(大正12年)の後の大正14年のことだ。その頃、代沢の地名なんてなくて、荏原郡と呼ばれていて、代沢小学校は分教場だった。大震災で家を失った人たちが、移り住んできたようだが、そのほとんどは農家だ。

大正14年、新潟出身の作家、坂口安吾が代沢小学校に代用教員として、赴任してきた。安吾20歳のときだ。一年間の代用教員として過ごした、代沢小学校の生活を「風と光と二十の私と」という作品に残している。

「私が代用教員をしたところは、世田ヶ谷の下北沢というところで、その頃は荏原郡と言い、まったくの武蔵野で、私が教員をやめてから、小田急ができて、ひらけたので、そのころは竹薮(たけやぶ)だらけであった。」

と書いているが、ぼくが子供の頃にも、わらぶき屋根の家が何軒も残っていた。今でこそ孫の時代になって大金持ちになっているが、おじいさんはお百姓さんだった。くわをかついで歩いているのをよくみかけたものだ。

「本校は世田ヶ谷の町役場の隣にあるが、私のはその分校で、教室が三つしかない。学校の前にアワシマサマというお灸だかの有名な寺があり、学校の横には学用品や、パンやアメダマを売る店が一軒ある外は、司法はただ広茫かぎりもない田園で、もとよりその頃はバスもない。今、井上友一郎の住んでいるあたりがどうもその辺らしい気がするのだが、あんまり変わりすぎて、もう見当がつかない。その頃は学校の金自余には農家すらなく、まったくただひろびろとした武蔵野で、一方に丘がつらなり、丘は竹薮と麦畑で、原始林もあった。この原始林はマモリヤマ公園などと称していたが、公園どころか、ただの原始林で、私はここへよく子供をつれて行って遊ばせた。」

この読物を安吾が書いたのが、戦後の昭和22年だったから、今、安吾が生きていたら、代沢のあまりの変わりように目をまわすに違いない。

つい二年ほど前まで、安吾に代沢小学校で教わったという老人が、おひとりご存命だった。下北沢の南口にある「紅屋不動産」の会長さんをやっておられた。元気な老人で、せせらぎ公園で毎日ゲートボールをやっていた。ぼくはこの老人を招いて、「イカール館」で、坂口安吾の話を聞いたことがあった。

ぼくが75年も住みなれた家は、代沢小学校のすぐそばだったから、わが家の前を安吾は子供たちを連れて行き来していたのだろうか。

☆「風と光と二十の私と」(講談社文芸文庫/定価・本体1400円)

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コメント

初めまして、おはようございます、コメントさせてください。
自分より年配の方の、人生の先輩の思い出を聞いているようで、俺は人の話しを聞くのが好きなので嬉しかったです、母や、祖父の話をよく聞いていたので、わらぶき屋根も、お百姓さんの話も、母から聞いたとおりだなぁと懐かしく嬉しく感じました、最後に、人生の先輩へ、詩を送らせて下さい。

昭和

人生の中で何が一番人の心を打つかと言えば

それはその人の苦労でありたくさんの思い出である

苦労した人こそ幸せになるべき人

昭和の初めに生まれて今の社会を作り上げた

人生の先輩達に頭は上がらない

本当はそう思うんだ

社会を否定しても

戦後の社会を必死に作り上げてきた人たちの偉大さに

心打たれる

人生の先輩

ありがとうございます

そしていつまでも

思い出を忘れません

投稿: たく | 2007年6月25日 (月) 10時00分

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