男子生徒にキスをした助教授は?
平成13年12月1日発行の『薔薇族』12月号・No.347を調べることがあって、頁をめくっていたら、ぼくの「編集室から」のコーナーにこんなことが書いてあった。
「キスをしたぐらいで」と、見出しをつけて。
これは9月5日の『新潟日報』の朝刊に載っていた小さな記事だ。
「男子学生にセクハラ行為をしたとして、金沢大学医学部の男性助教授(45)が、3日付で同大から訓告処分を受けていたことが、4日に分かった。助教授は事実を認め辞職願いを提出。大学は3日、これを承認した。
同大によると、医学部の男子学生が今年5月、助教授からセクハラを受けたと、学内のセクハラ相談員に訴えた。相談員で構成する調査委員会で調べた結果、助教授はセクハラの事実を認めた。
大学側は処分対象となったセクハラの内容を公表していないが、関係者によると、相談員会議の事情聴取では、複数の学生から飲み会でキスを迫られた、などの訴えがあったという。
林勇二郎学長は深刻に受けとめ、セクハラ防止に努めたいとコメントを発表した。
記事の全文を紹介してみたいが、読者諸君はこの記事を読んで、どう思うだろうか。ぼくはこの助教授の先生、ゲイではないと思う。単なる酒癖の悪い先生なのでは。ノンケの人だって、このくらいのことは酒を飲めばやるだろう。
ゲイの先生だったら、相手に対する好みがあるから、ひそかにアタックするのでは。それに飲み会の席で乱れるほど酒を飲まない。そんなことをしたら、自分の性癖がバレてしまうから。
その昔、新宿に「伊藤文学の談話室・祭」をオープンさせたとき、開店記念のパーティーを開いたが、ノンケの人ばかりと、ゲイの人ばかりと、二日に分けてパーティーを開いた。
初日のノンケの人ばかりを招いてのパーティーでは、飲むほどに酔っ払って、抱き合ったり、男同士でキスをしたりで大騒ぎ。ゲイの店だからと意識したからだろうか。
二日目のゲイの人ばかりのパーティーでは、お互いに意識するものだから、静かなものだった。
この助教授、本当にお気の毒なことだ。男子生徒ばかりで、女生徒はいなかったのか?
ぼくの著書『薔薇ひらく日を』の中に書いた「小説のような教授との恋」は、関西の某有名大学の学生と、教授との話だ。それは英文学を教えている48歳になる、アメリカ人と学生の恋物語だ。
「ぼくは講義の合間に、よくパパ(いつもこう呼んでいる)のオフィスへ仕事の邪魔をしに行きます。そこでは口では言えないような情事が繰り広げられています。
ああ、赤面。夜の方もお盛んです。外国人だからムードは大切にします。アレがたくましいのは言うまでもありませんね。パパはぼくの黒光りしたコックを握りしめ、まるで洋物のビデオに出演しているような興奮を覚えます。ぼくより早くカムしてしまうのが、少し不満かな。」
自ら辞職してしまった助教授の先生。本当のゲイなら、こんなことで辞職しちゃうなんて情けないと思いませんか。
『薔薇族』の最後の頁に毎号書いた「編集室から」。これを集めたら一冊の本になるだろう。その月にあった、いろんな出来事を書いているのだから。それはゲイの歴史になるかも知れない。
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コメント
ハラスメントという物は、簡単に言えば『された側がいやだったらだめ』の一語につきます。男同士だから、男女だから、というものではありません。(もちろん女同士でも)
たかがキスだからいいというものでもない。
かの男子学生くんが嫌だと思わなければセクハラ相談室に訴える事もなかったでしょうし、当然、教授も辞職する必要もなかった筈。
酔った上のことだから、で、許されていいことでもありません。
また、ハラスメントは上位者が下位者へ行うものでもあります。キスしたのが男子学生からだったら、ハラスメントとは呼ばれなかった筈です。
つまりは悪代官が町娘を手込めにするようなものです。
お互いが合意の上に行うメイクラブと同列に論じるのは違うと思います。
投稿: 風海 | 2007年10月31日 (水) 23時33分