« 痛いの、痛いのとんでいけ! | トップページ | 世田谷区長・熊本哲之さんに直訴! »

2007年10月30日 (火)

『薔薇族』の読者は、内藤ルネさんを忘れない!

Img305 Img306 Img308

『薔薇族』の大恩人、内藤ルネさんが1024日、心不全で74歳で亡くなられた。その死を知ったのは、朝日新聞の記者からルネさんの写真を持っていないかと、問い合わせの電話があったからだ。

  ルネさんは年をとってからの写真を撮られるのを嫌って、いつもかわいかった若いときの写真を使っていた。

  二年ほど前に復刊した『薔薇族』に、ルネさんとの対談を載せるために、修善寺を訪れ、菊屋旅館の静かな部屋で長いことおしゃべりをした。そのときもどうしても写真を撮らせてくれなかった。

  すぐに修善寺に電話を入れたら、本間真佐夫くん(ペンネーム・藤田竜さん)が出たが、本間君の手もとにも若いときの写真しかないとのことだった。

  本間君とヨッちゃん(本間君の養子)は出かけていて、ルネさんが寝室で寝ていて亡くなってしまったのを発見するのが遅くなってしまった。寝たままで亡くなったので、安らかな死に顔だったそうだ。

  朝日新聞の死亡記事には、やはり若いときの写真が使われていた。そして一日遅れで26日の毎日新聞の朝刊にも死亡記事が載った。

「葬儀は行わず、後日、お別れの会を開く。主催者は友人、本間真佐夫さん。」とある。ぼくは「友人」とある文字を見て、悲しみと情けなさとも、怒りとも言えない気持ちになってしまった。

  ルネさんと本間君は、40年以上も夫婦のように住み、仕事も一心同体のようにして続けてきた仲だ。

  昨年、小学館から刊行された、ルネさんの著書「すべてを失って」に、二人が同性愛者であることを告白している。

  長いこと二人で苦労してきたというのに、亡くなって「友人」と言われるなんて。ルネさんがっくりきているのでは。

  確かに世の中、がらりと変ってしまったとはいえ、「パートナー」とも言えず、「友人」としか本間君は言いようがなかったのだろうが、あまりにも悲し過ぎる。

  同性愛の世界も変ってきたようには見える。しかし、現実には同性愛者はほとんどの人が自分の性癖を隠して、ひっそりと息をひそめて生きている。それが現実だ。

『薔薇族』だって、誰ひとり本名を使って登場していた人はいない。本名を使っていたのはぼくだけなのだから。

「友人」と言ってしまった本間君が悪いわけではないところが、今の現実だ。

  尾辻かな子さんが、参議院選挙に自らレズビアンであることを公表して、民主党から立候補したが、4万票しか集らず落選してしまった。

  ゲイの人は日本中に300万人を越すほどいると、ぼくはいつも言っている。レズビアンの人を加えたら、500万人を越すだろう。みんなが応援すれば何人も国会に送り出すことができるのに。それがたった4万票とは。

  みんなが目覚めて、ゲイの世界をよくしていかなければ、いつまでたっても40年も一緒に住んでいた人を「友人」と言わなければならない世の中を変えられない。それに500万人以上もゲイの人がいるというのに、その代表を国会に送り出せないとは。

  ルネさんは少女文化をリードし、街中にルネさんがデザインしたグッズがあふれたことがあった。その後、テレビのアニメなどのグッズにとって変ってしまったが、弥生美術館での「内藤ルネ展」で脚光を浴び、見事に不死鳥のようによみがえったルネさん。

  来年もあちこちで「内藤ルネ展」が計画されているというのに。ぼくのことをいつもやさしく励ましてくれていたルネさん。同じ昭和7年生まれだけに、先にいかれて取り残されたぼくはどうすればいいのか。

  7億もの大金を詐欺師にとられ、住んでいたマンションまで無くしてしまって、ルネさん、ぼくに「夜が明けないうちに眠ったままで死にたい」と言っていたけれど、本当に眠ったままで昇天してしまった。

『薔薇族』をこよなく愛してくれたルネさん。多くの読者はルネさんの表紙絵の少年のおもかげを忘れることはないだろう。ルネさん、ありがとう。安らかにお眠りください。

(河出書房新社刊『薔薇族の人びと』定価・本体\2000+税を、お読み頂ければルネさんとぼくの交流が詳しく書かれています。)

|

« 痛いの、痛いのとんでいけ! | トップページ | 世田谷区長・熊本哲之さんに直訴! »

コメント

私が初めて内藤ルネの名前を知ったのは最近のクロワッサン誌上でした。かつてそのリリカルかつポップな画風で多くのファンを惹きつけていたイラストレーターであったとはこれを読むまで知りませんでした。
でも伊藤さんもブログで語られているように晩年になって様々な波乱万丈な出来事が内藤さんの身を襲ったのですね。
でも内藤さんの側には優れた芸術の感性を持ったパートナーの藤田竜こと本間さんが最後まで側におられたことはせめてもの救いです。
再評価の機運が高まっていたこの時期の死が惜しまれます。

投稿: misae | 2007年12月16日 (日) 23時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101967/16921530

この記事へのトラックバック一覧です: 『薔薇族』の読者は、内藤ルネさんを忘れない!:

» 内藤ルネ お別れ会 [2丁目劇場!!ホモな芸能人大特集☆]
『薔薇族』の読者は、内藤ルネさんを忘れない!『薔薇族』の大恩人、内藤ルネさんが10月24日、心不全で74歳で亡くなられた。その死を知ったのは、朝日新聞の記者からルネさんの写真を持っていないかと、問い合わせの電話があったからだ。 ルネさんは年をとってからの写真を撮...... [続きを読む]

受信: 2007年10月30日 (火) 18時58分

» 言葉にならない 痛みと悲しみ(by.レミゼ) [パワーオブハセケン♪]
内藤ルネさんが昨日、心不全のため74歳で死去しました。私は彼の手がけたグッズをいくつか持っています。関係ないですが、うちの祖母とルネさんは同い年です。特にクロネコちゃんが好きです。彼の死は唐突過ぎて信じられませんが、でも、彼は戦争で死んでいった大切な人たちと今頃は「主の国で 自由に生きる」でしょう・・・。ご冥福をお祈りします。合掌... [続きを読む]

受信: 2007年11月 1日 (木) 18時04分

« 痛いの、痛いのとんでいけ! | トップページ | 世田谷区長・熊本哲之さんに直訴! »