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2007年12月23日 (日)

頬を伝わるひとしずくの涙

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  趣味でコレクションをしているカリフォルニアのクレイト・フルーツ・ラベルをアメリカの友人が見つけてきてくれた。その中に1917年発行の「LIFE」の裏表紙が何枚かあった。友人はアールデコ調の煙草の広告が気に入っていると思って、買ってきてくれたに違いない。ところが僕は、その裏表紙の二色刷りの目立たない、女性の横顔を描いた絵に、目が釘付けになってしまった。

  ハンカチを握りしめて、手紙を読んでいる女性の姿だった。その絵の下には「OPENED BY THE CENSOR」と説明がついている。

  英文科出身の妹に、どういう意味か聞いたら「検閲官に開けられた手紙」だと、教えてくれた。女性がひろげて読んでいる手紙の文字の、ところどころがスミでべっとりと塗りつぶされて読めないようにしてある。

  今の若い人には、なんのことかサッパリと理解できないだろうが、戦争を体験してきた世代の人たちには、ははんと納得できる。

  戦場に赴いている兵士たちが、故郷に残してきた肉親や、恋人に手紙を書いても、軍にとって都合の悪いと思われる部分は、検閲官がスミで塗りつぶしてしまうというわけだ。

  第一次世界大戦は1914年に勃発して、1918年に終っているから、1917年というと戦時中の本である。戦場の兵士から、母親か、恋人に送られた手紙を読んでいる絵がある。

  個人の手紙を検閲して、都合の悪いところを消してしまうなんて、日本だけのことかと思っていたら、自由の国、アメリカでも同じことだったらしい。「ラブ」なんていう字まで消してしまうなんて、戦争っていったいなんなのだろう。

  今から72年も前の、古い雑誌に描かれていた一枚の絵。頬を伝わるひとしずくの涙が、戦争の悲惨さを痛烈に物語っている。

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