昨日の敵は今日の友
インターネットの普及で、『薔薇族』は廃刊に追いこまれた。時代の流れでそれも原因のひとつかも知れないが、本当のところはぼくは『バディ』のH君のいじめによってつぶされたと思っている。
その『バディ』が創刊14周年を迎えたということで、特集「HELLO!GAY MAGAZINE PART01」を企画して、さまざまの人を登場させ、ゲイ雑誌について語らせている。
ゲイ雑誌の歴史をふり返るとなると、『薔薇族』をまったく無視するわけにはいかなかったのだろう。ぼくに対談の取材を申し込んできた。「昨日の敵は今日の友」で、『バディ』の編集部の若い人たちは『薔薇族』で育った人たちではないから、客観的に見れるのかも。
もうすんでしまったことをとやかく言っても始まらないので、よろこんでおひき受けした。『バディ』1月号に「日本初、商業ベースのゲイ雑誌を作った名物編集長」というタイトルで、ぼくが珍しくニコニコ笑っている写真入りで、『バディ』編集長に聞かれたことに答えている。
『バディ』が創刊した頃の14年前頃は、『薔薇族』が一番売れていた時代だった。『バディ』のH君が経営する新宿二丁目のポルノ・ショップ「ルミエール」では、月に2千数百部も売れていたのだ。
こんなに売れるのなら「よし、おれも雑誌を出そう」と思うのは誰しも当然のことだろう。お店を持っているということは最大の強みと言える。ビデオ会社でも商品を売ってもらっているのだから、広告を出さないわけにはいかないからだ。
結局は出版社で出している『アドン』そして『さぶ』続いて『薔薇族』が廃刊に追い込まれ、ポルノ・ショップが経営する『バディ』と『G―men』が残っている。
伏見憲明君なども、今までのゲイ雑誌にあきたらず、いろいろと努力されて新しい雑誌を試みたが、すべてうまくいかなかった。
ぼくはゲイ雑誌というのは、わいせつでなければ売れないと思う。ゲイの人には知識人が多いが、その人たちだって学術書のような難しい雑誌を読みたいとは思わないだろう。よりエッチな写真、エッチな読物でなければ駄目ということだ。
それと目玉は文通欄だった。わいせつ度の次は、セックスのお相手をみつけることだからだ。直木賞作家でもあったゲイの人が、一番面白い読物は文通欄だと言っていたが。短い文章の中に自分を売りこもうと必死に書いている。しかし、時代が変わって文通欄は駄目になってしまったが。
さて『バディ』は、あとどのくらい続くのだろうか。雑誌にとって広告収入が一番大事だ。本の売り上げはこれから落ちるばかりだろうから。広告頁も明らかに激減していているが、それでも二百頁もある。しかしそのうち数十頁は自社広告だ。
田亀源五郎君の劇画の本『外道の家』の広告など、同じものを5ヵ所にも入れている。
それにしても年配者にとっては、老眼鏡をかけても文字が小さくて読みにくい。年配者が買ったとしても、写真だけ見ているのだろう。その写真も大事なところは黒く塗りつぶされている。読者は大事なところをもっと見たいのだ。けしかけるつもりはないが、警察なんて怖がらずに思いきって見せてもらいたいものだ。
「オーラの泉」なんていう、くだらない番組のなんとかという人に占ってもらったら、ゲイ雑誌は「あと2、3年ももたない」と言うかも知れない。
★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送り頂くか、千円札を紙にくるんでお送りください。
〒155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学
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東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。
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