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2007年12月25日 (火)

戦後、アメリカに渡った少年たちは幸せになっただろうか?

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  北朝鮮が多くの日本人を拉致したということは許しがたいことだが、ひとりの人間の欲望のために、日本人の少年を連れ去ったとすれば、これも問題ではなかろうか。

  戦時中から戦後にかけての日本の混乱期のことは体験したことのない、戦後生まれの人に理解してもらうことは難しい。

  米軍の無差別な空襲によって、家を焼かれ親兄弟をも無くして孤児になった子供たちが、上野の地下道に寝泊りしていた。

  アメリカのお金持ちが、それらの少年をアメリカに連れて行ったという話は、戦後の新聞紙上に美談として記事になっていた。

  もちろん純粋な気持ちで少年たちをアメリカに連れて行って面倒を見た人もいたに違いない。しかし『薔薇族』の編集長として長い間、同性愛の問題に取り組んできたぼくとしては、どうしても少年愛のアメリカ人が日本の少年を連れて行ったのではないかと、推測して考えている。

  何年か前にアメリカのカソリックの神父さんが少年に手を出して問題になったことがあった。それもひとりや、ふたりでなく、多くの神父さんが訴えられ、ローマ法皇も心配されたということもあり、単なるぼくの推測であればいいのだが…。

  少年の好きな人は、少年が大きくなってしまえば性の対象でなくなってしまうから、捨てられてしまった人もいたかも知れない。

『ムルム』の誌上に4か月に渡って連載された、吉田勝さんの「ブランスウィックとその時代」はゲイバアの草分けである「ブランスウィック」を記すことは、陰の戦後史をたずねることでもあるという。

  三島由紀夫さんの小説『禁色』の中に登場している「ルドン」は、「ブランスウィック」がモデルになっている。

  戦後のゲイの世界をじつに克明に吉田さんは描いていて、読物としても面白いが、とても長すぎて紹介できないのは残念だ。これは一冊の本になるとも思う好読物だが、今は少年の話だけを紹介しよう。

  戦後、数年経つと数々の美談が生まれていたと吉田さんは書いているが、なんとアメリカ人の「美談」は、ぼくが考えていたものと同じだった。

「ハウスボーイがアメリカに留学というやつである。雇い主の友情で、貧しい少年がいちやく花のアメリカへ留学するのである。今どきのドル安時代と異なり、私費での留学などできる人間など、日本中に数えるほどもいず、例えばフルブライトの留学資金を得ることのできたほんのわずかのエリートのみが「洋行」できた時代のことである。

  当時、誰もが夢を見、憧れていたアメリカだった。新聞が話題にしないはずがなかった。しかし、その「美談」の陰にあるものが何であったかを気づいていた人もいたに違いない。

  今では奇妙に感ずる人が多いかも知れないが、この当時、アメリカのゲイにとって、日本は天国であった。日本はアメリカのようにホモを禁じた法律もなければ、戒律もなかった。金と力さえあれば、自由に行動できた。そして、この当時、彼らは日本では誰しもが金と力そのものだった。(中略)

  留学した若者たちで、相手の男の愛がさめると共に、アメリカでコールボーイになって生活せざるを得なくなった日本人の話もよく聞く。」

  アメリカに渡るなんて大変な時代に、少年愛のアメリカ人に連れて行かれた少年たちが、果たして幸せだったのか、今、誰も語るものもいないし、知るよしもないのだ。

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