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2007年12月 1日 (土)

同性愛者の先達の思いは?

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『薔薇族』の創刊が、1971年(昭和46年)。それよりも19年も前の1952年(昭和27年)に会員制の雑誌『アドニス』が創刊されている。そしてこの後に大阪で『同好』が、1960年(昭和35年)毛利晴一さんの手によって創刊。東京では『風俗奇譚』を出していた高倉一さんが『薔薇』という同性愛誌を出している。

  今、それらの雑誌に目を通してみると、どの雑誌も部数が少ないために、書き手が限られてしまっている。それと雑誌作りの才能がない人が作っているために、ほとんど印刷屋まかせで、ただ活字を並べているだけで、誌面に面白味がまったくない。

  それに会員制で住所も発行所もよく分からないのに、なぜか警察を恐れて、ワイセツ感が薄い。写真は三誌とも、大阪のオッチャンと呼ばれていた人の写真を使っている。この時代、男性のヌード写真を撮っている人は、この人しかいなかったのだ。

『薔薇族』も初期の頃は、オッチャンの写真を使っていたのだから、創世記の同性愛誌はオッチャンの写真なしでは、成り立たなかった。まさにオッチャンは偉大なる功労者だった。

  ぼくも単行本作りが専門で、雑誌作りの経験がまったくなかったから、ぼくひとりで『薔薇族』を作っていたら、これらの雑誌と同じようなことになっていただろう。

  ラッキーなことに藤田竜君という、雑誌作りの天才みたいな人に、創刊のときから出会ったから、読者にあきさせない雑誌を作り出すことができた。

  大阪の『同好』の主催者、毛利晴一さんという方は、かなりの人格者だったようだ。毛利さんをよく知る会員のひとりが毛利さんの賛辞を長々と書いている。

「昭和29年の春だと記憶していますが、先生の著書『愛は国境を越えて』があります。その表紙のタイトルを当時の国会図書館長の金森徳次郎博士が書いている。

  序文のトップには参議院議員である、宇垣一成先生が書き、その次には当時、参議院議員で、現在、大阪府知事をしておられる佐藤義詮先生だ。その次は毛利先生の親友で、当時、海上保安庁の長官であった、柳沢米吉先生だ。

  何百万人も中国へ渡った日本人の中で、中国の人たちに尊敬された人も少なくないと思うけれど、自分の知る限りでは、この著書の毛利さんこそ、最も尊敬された人だと思う。」

  各界の名士が、毛利さんの人柄をほめたたえている。このような人だからこそ、会員が信頼して、千何百人も集ったのだろう。

  しかし、会員から会費を集めて、事務所の費用を出し、雑誌の制作費を捻出するのは大変で、毎号のようにぼやきを書いている。

「最近、会員の納入状態が目にみえて悪くなってきている。900余名の会員を擁しながら、毎月印刷屋や、電話局への支払いに四苦八苦している。印刷代は支払期日が過ぎて、やっとたまっただけの半額を払い、電話代はとめてしまうぞと、脅かされてから支払うという有りさまです。」

  警察の手入れがあってから、会の財政はいっきに悪化してしまい、毛利さんのぼやきは続く。

「こんな世間体のよくない、しかも金儲けにもならず、さりとて名誉職でもない仕事に私が乗り出したことは物好きと言えば、物好きとして普通人は受けとるに違いありませんが、私は決してそんな浅墓な考え方ではなかった。この仕事にこそ真の意義があり、また余人では絶対にできない仕事である。と深く考え、自ら決断して、あえてこの十字架を自ら背負ったわけだ。」

  信念をもって『同好』を出し続けてきたのだろうが、どんなに会員によくしたとしても、やりきれない会員の背信行為には、つらい思いをしたに違いない。

「入会した頃に、あれだけ喜んでくれていたのに、また、あれだけ私が色々のことを教えたのに、好きな相手が決まったからとか、会費が滞納しているからとか、他に格好の遊び場所を見付けたからとか、来ては去り、去ってはまた来る。

  私はときに自問する。実の親子でも現代の世相では決して親の願いのすべてを入れてくれるとは限らないのだ。だから今、こうして私が悩むのも致し方がない。しかし、いつかは誰からともなく私の意図に共鳴してくれるだろう。」

  数年後、会を解散しなくてはならなくなったとき、毛利さん、どんな思いだったのだろうか。『同好』の最後を知っている人は、もうこの世に誰ひとりいないのだから、毛利さんのその後を誰も知らない。

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