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2007年12月20日 (木)

『ユリイカ』の森茉莉特集は面白い!

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  青土社刊の詩と批評の雑誌『ユリイカ』12月号(定価・1300円)が、「森茉莉」を特集した。

  鴎外の長女、森茉莉さんが仕事場とも、応接間のようにも使って、毎日のように訪れていた、喫茶店『邪宗門』が、わが家の近所にある。

  和物の骨董を飾り立てているお店で、ぼくもこの店の常連のひとりだ。いつだったか、京都から上京してきていた、早川茉莉さんとこの店で出会った。早川さんは半端でない森茉莉ファンで、最近、筑摩書房から『森茉莉かぶれ』(定価・1800+税)という本さえ出されている。

  京都で森茉莉さんが住んでいた、アパルトマン「創運荘」の面影に似た、古い家を見つけて住んでいるそうだ。その早川さんが『ユリイカ』で「森茉莉特集」を刊行するにあたり、ぼくのことを編集者に執筆を依頼するように頼んでくれたのだ。

  今、現在、森茉莉さんに出会ったことのある人って、何人もおられないようだ。それに部屋の中に入れてもらった人は、もっと少ないので、何回もお会いしたことのある、ぼくに原稿の依頼をということになったようだ。

「一難去って、また一難」で、左ひざに人工ひざを入れる手術をして歩けるようになったが、10月のはじめ頃、今度は突然、腰が痛み立ち上がれなくなってしまった。

  ひざの手術をしてくれた東京医大の正岡先生の診察を受けて、薬をのみはじめて少しは歩けるようになってきたものの、そんなときでの原稿依頼だった。

  椅子に座って机に向っていると、右足のふくらはぎが電流が走るように痛い。それでも『邪宗門』にも何度も通って、茉莉さんが座っていた椅子で思いにふけりなが、15枚の原稿を書きあげた。

『ユリイカ』の編集部に原稿を送った日に『薔薇族』の恩人、内藤ルネさんが亡くなったことを知らされた。

  1128日、『ユリイカ』の発売日に、下北沢の北口にある「三省堂書店」を訪ねたが、5冊入荷していた。駅前の「博文堂書店」にはたったの3冊。

  下北沢を愛して、40年も住んでいた、この街の書店に数冊しか置かれないなんて、寂しい話だ。すでに下北沢では5軒もの書店がつぶれてしまっている。

  早川茉莉さんが大活躍で、「森茉莉エッセイ選」「森茉莉かぶれの作り方」「薔薇くひ姫の文学地図」と「森茉莉年譜」も書かれている。

  あとは白石かずこさん、熊井明子さん、荻原朔美さん、森島章人さん、千野帽子さんという執筆陣で、いずれの方も森茉莉さんの讃美者ばかりだ。

  1975年頃、内藤ルネさんと、本間真佐夫さんの編集で、少女雑誌『薔薇の小部屋』を刊行した折りに、ぼくが茉莉さんの部屋を訪れて執筆を依頼したのだ。そのとき目撃したことを、「薔薇族的森茉莉考」と題して書いた。ぼくは茉莉さんの著書を読んだことがないのだから讃美することなく、客観的に森茉莉という人間を解剖したということだ。

  茉莉さんの部屋は、ゴミ屋敷そのものなのに、こんな風に萩原朔美さんは書いている。

「どんなに乱雑であっても、茉莉さんの中では、どこに何があって、どうなっているかが総て分かっているのだろう。他人の視線を跳ね返し、自分の個性を大事に育てる精神の貴族主義。今考えると、とてもうらやましい優美な一人暮らしだったと思う。」

  茉莉さんの心酔者にとっては、すべて「あばたもえくぼ」に見えるのでは。とにかく『ユリイカ』を買って読んでみて。

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コメント

お久しぶりです。山梨の自衛官です。

『ユリイカ』12月号、楽しく読んでいます。
先日お会いしたとき、森茉莉さんの話を書くと伺ってから、自分も何冊か読んでみました。
特にエッセイや自伝的小説が面白く、自分の中では森茉莉さんとは可愛らしいお婆さんというイメージになっています。

「薔薇族的森茉莉考」、面白く、何度か読み返しております。

投稿: yamaguti | 2007年12月23日 (日) 01時29分

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