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2008年3月21日 (金)

親父に対する仇討ち?

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昭和6125日発行の「第一書房自由日記」定価3円とある。ぼくの誕生日が昭和7319日だから、76年も前の本だ。

  第一書房の社長の長谷川巳之吉さんは、造本に気をつかった人で、豪華本というのはこの人が考えた言葉らしい。

  ぼくの親父は、昭和4年に第一書房に入社している。それ以前は甲子社書房という、小さな佛教書を出している出版社にいて、そこの社長さんの家でお手伝いとして働いていた。ぼくの母親と知り合い、結婚したようだ。

「第一書房自由日記」は豪華本として有名で、表紙は皮製。その表紙には金版で彫刻がほどこされている。それに天金。

  その金版は真鍮(しんちゅう・銅と亜鉛の合金)に彫刻したものだから、それを作り上げるにはかなりの時間を要したに違いない。

  神田錦町の裏通りに坪井金版所があって、そこの二代目が作ったものだ。ぼくも親父の使いで訪ねて、箔押をするためのタイトルの金版を彫ってもらうために、お邪魔したことがあった。

  ご主人は店先でこつこつと彫っていたが、奥さんが色っぽくて、芸者さんのように粋な方で、お茶を持ってきてくれるとドキドキしたものだ。

  この自由日記を使って、親父は自作の川柳を書いている。この自由日記、城市郎さんという発禁本のコレクターの方の本を見ると、挿絵のヌードにヘアーが描いてあるということで当時、発禁になったそうだ。

  親父は若い頃は文学青年で、仲間たちと同人雑誌を出していたようで、直木賞作家の安藤鶴夫さんも仲間だった。

  親父は作家になることは断念したが、終生、短歌、川柳の作品は数多く残している。ぼくは親父には似ないで文才もなく、母親に似てしまったのか頭も悪い。

  親父が亡くなってから、親父の残した作品を集めて本にしようかという気持ちは多少はあったが、やめてしまった。

  なべおさみさんのお父さんの渡辺久二郎さんと親父は、歌の仲間で親しかったが、なべさんはお父さんが亡くなられてから立派な作品集を作られた。

  やめてしまった理由は、親父はぼくに給料を一切くれなかったし、学生時代に豆本を出す費用、5千円も出してくれなかった。それに結婚式の費用も出してくれなかった。それなのに不倫相手の女性には、かなりみついでいたくせに。

  脳軟化症で倒れて、それまでいばりくさっていた親父は手押し車での生活になり、みじめな姿になりはててしまってからは、なぜかぼくのことをこわがっていたようだ。

  ぼくの女房にだけは安心していて、ひげを剃ってもらったり、つめを切ったり、風呂にも入れさせてもらっていた。

  俺の目の黒いうちは、活字一本でも俺に見せろと言っていた親父の言うとおりにしてしまった。ぼくは親父にさからうようなことは、まったくしない親孝行者だった。

  おふくろは、親父の女道楽には苦しめられ続けていた腹いせか、親父が嫌っていた救世軍に入れてしまい、葬式も救世軍の神田の本営でして、ある意味での仇をとった。ぼくは親父がたくさん残した川柳や、短歌を本にすることをしないで、仇をとったつもりでいる。

  ぼろぼろになった親父が残した自由日記。

遠くから愛していればそれでよし

君去りしあとはかなくて灯をともす

人に逢う心ときめき爪を切る

  女好きでおふくろを泣かし続けてきた親父。それだけに女性を歌った句は素晴らしい。親父は幸せな人だったのではないだろうか。

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