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2008年3月12日 (水)

こんなに苦しんで文章を書いたのは初めて!

  53年も前に出会った女性から、5冊目の歌集を出すので、序文を書いてくれと頼まれてしまった。

足利市に住む深井美奈子さん。彼女との出会いは、ぼくと阿部正路君(国学院大学生、後に国学院大学教授となる。現在は他界されている。)とで運営していた大学歌人会(都内の大学の短歌愛好者を集めての会)でだった。

  大学歌人会は東京大学の三四郎池のほとりにある山上会議所で開かれたのが最初で、昭和25年の5月のことだった。

  その時、知り合った阿部正路君と、駒澤大学の学生だったぼくが、意気投合して二人で会を運営することになった。

  その頃からぼくはイベントを企画するのが得意だった。江口榛一という詩人が「結社解散論」をぶち上げて、歌壇は騒然としていたときだ。その江口榛一さんを招き、「樹木」主宰者、中野菊夫さんが司会、「古今」の主宰者、福田栄一さん、「天の夕顔」の作家、中河興一さんとで、「結社解散論をめぐる短歌討論会」を昭和2966日、駒大渋谷分校で催した。

  会場には多くの人が集り、熱気に満ちた討論会になって、大成功だった。

  朝日新聞の学芸欄が大きくとりあげ、創刊間もない角川書店の「短歌」が討論の模様をくわしく記事にしてくれた。

  昭和291211日、共立女子大学に於て、若月彰、寺山修司、加藤克己を招いての「十代作品を批評する会」も、寺山君が「短歌研究」の新人賞をとって、華々しくデビューしたばかりだったので話題になった。

  この他にもいろんな会を催したが、ほとんどぼくが独断で企画を立てると、頭のいい阿部正路君が具体化してくれた。

  当時は歌集を出版するなんてことは、学生の身分では夢の夢だった。そこでぼくは考えて手のひらにのるような豆歌集を発行することを考えた。

  最初はぼくの歌集「渦」と、教育大の学生の相沢一好君の「夜のうた」。千部作って製作費は5千円。全部売れれば1万円になる。親父に5千円出してくれと頼んだが、断わられてしまった。

  姉が東横デパートに勤めていて、月給は8千円ぐらい。その姉に泣きついて5千円を借りて刊行した。1冊が10円の歌集だ。それが評判よくて見事に完売。姉に5千円を返すことができた。その後、仲間たちが次々と10円歌集を刊行した。

  ぼくの古いアルバムに大学歌人会時代の写真が残っている。20人近い学生たちが枯草の上に座ってくつろいでいる写真。男子学生の学帽をちょこんとかぶった、ふくよかなかわいい少女。この少女が深井美奈子さんだと、ぼくはずっと思いこんでいる。

  ぼくが大学歌人会から手をひく最後の頃に、美奈子さんは入会してきたようなので、彼女と言葉をかわしたことがあったのかも忘れている。

  彼女は実践女子大学の国文科出身。卒論を福田清人教授に提出したそうだ。福田さんは東大国文科の出身。作家でもある。

  ぼくの父は戦前、第一書房に勤めていたが、昭和4年にその福田さんと、東京外大出の三浦逸雄さんと父が同時に入社したそうだ。後に福田さんは「セルパン」という雑誌の編集長にもなった。

  戦後、父が独立して第二書房を興してから、福田さんの小説集「若草」を出版した事があり、ぼくも何度かお宅を訪ねたこともあった。

  53年も短歌をつくることをやめてしまったぼくに、序文をと依頼してきた美奈子さんとは、縁があった。坐骨神経痛に苦しみ、短歌とまったく縁がなくなったぼくが歌集のことを書く。こんなに苦しんで文章を書いたことは、かつてなかった。

  深井美奈子歌集「花奮迅」は、間もなく「ながらみ書房」から本になる。

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