日本の経済はゲイ・マネーが支える?
『読売新聞』を購読しているが、なぜかあまり好きではない。それは読売に、わが社の書籍が記事としてとりあげられたことがなかったという、それだけの理由なのだが。
「巨人」をずっと応援してきたが、昨今の「巨人」には幻滅している。上原投手の覇気のない顔、どの選手も闘争心に欠けているからだ。
最近は、マー君が活躍している「楽天」を応援している。駒大の附属高校の苫小牧高校の出身、甲子園球場に駒大校歌を何度も聞かせてくれた。北原白秋作詞、山田耕作作曲、こんなすばらしい校歌は他校にはないからだ。
その『読売新聞』が4月20日(日)の朝刊に、読売らしくない大きな記事が2頁をついやして載せた。
「平成」という時代を歌に残す「平成万葉集」(読売新聞社「万葉のこころを未来へ」推進委員会主催)の作品募集が6月から始まる。おおらかな万葉と、未来に向かう平成-。
この二つの時代の懸け橋となる歌への期待を、選考委員の国文学者・中西進さんと、女優の檀ふみさんが対談して熱く語っている。
中西進さんは、ぼくら夫婦の仲人でもある。中西進さんの活躍ぶりには、ぼくはいつも刺激を受けている。
その日の『読売新聞』の書評欄に珍しい本が紹介されていた。『ゲイ・マネーが英国経済を支える!?』(入江敦彦著・洋泉社新書y・定価780円+税)
早速、下北沢駅前の「ピーコック」3Fの三省堂書店に行ってみた。3冊だけ入荷しているとのことだ。書評は作家の三浦しをんさんという方が書いている。
ぼくがこの本を読んで書評を書くよりも、三浦さんの書評から引用させてもらった方が、理解が早いかも知れない。
「イギリスのゲイ(同性愛者)は、活発な消費活動を行っている。高収入のひとが多く、しかし宵越しの金は持たない傾向にあるゲイたちは、各々の美意識にかなった商品を積極的に買い、旅行や娯楽や教育費などにバンバンお金を使う。
企業は当然、優良な顧客であるゲイをターゲットに商品を開発をし、サービスを充実させる。かくして、イギリスには同性愛者のための巨大市場が形成された。
市場に流通する「ピンクポンド」と呼ばれるゲイ・マネーはなんと、いまや年間18兆円を超えるそうだ!」
ここまでは日本のゲイの世界も、そうは変らない。違うところはというか、5年、いや10年は遅れているところは、イギリスには同性愛者であることをカミングアウトした閣僚が何人もいること。それに同性婚が認められていることだ。
日本の文化、芸術はゲイの人たちによって支えられていることは間違いないが、ゲイであることを公表して活動している人は、ほんのひとにぎりの人だけだ。
ぼくは先を見る目がなくて、ゲイ雑誌『薔薇族』を廃刊に追いやってしまったが、イギリスのゲイ雑誌の現状は違うようだ。
「1984年の創刊当時はポルノ雑誌的な面もあった『Gay Times』からは、かつての後めいた匂いが完全に払拭され、よりカルチュラルな方向性が打ち出された。いやいや、H系がなくなったわけではない。ただ、そっちはバーやクラブに置かれるフリーマガジンが堂々のハードコアを展開しており、みんなお金を出して買う必要がなくなっちゃったのだ。だいたいインターネットがあるしね。
そんなわけで『Gay Times』はトップクラスのグラフィック・デザイナーを起用し、完全に変貌を遂げた。セックス記事が掲載されても煽情的というよりは、学術的かつ啓蒙的。
男性ヌードがグラビアを飾っても人気写真家によるエロティシズムの表現だったりする。辛口で知られた気鋭のコラムニストが登場し、ときに物議を醸す刺激的な特集が組まれる。大人の雑誌になった。」とあるが、さて日本では、これを真似して成功するだろうか。
今、現存する『バディ』『Gメン』が方向転換できるだろうか? ぼくは雑誌はポルノでなければと確信しているが。
この本に書かれていることと、日本とを比較してみると教えられることは多々ある。
日本のゲイ社会を変えるには、尾辻かな子さんを国会に送り出すこと。ゲイ・パレードに万を越す人を集めること。それよりもこの本をベストセラーにすることではなかろうか。
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