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2008年5月14日 (水)

母校、駒澤大学を訪ねる

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 ふっと思いたって、以前から訪ねてみたいと思っていた、古い農家の家を描くことで有名な、画家の向井潤吉さんのアトリエを女房と一緒に訪ねてみた。

「駒沢大学駅」から歩いて15分ぐらいはあるだろうか、場所はいつも車で通るたびに、ここだなということは知っていた。

 ぼくが駒澤大学の予科に入学したのは、戦後間もなくの昭和23年の4月のことだ。世田谷学園の中学4年から入学することができた。その頃は附属の駒大高校などなかったから、曹洞宗が経営する世田谷学園から、大学に入った。

 他の大学に入れないような、あまり勉強ができない学生が駒大に入ったということだ。ぼくも明治大学の国文科、国学院大学を受験したが入れてもらえず、親父が第一書房時代に「禅学読本」という本を手がけて知り合った、世田谷学園の学長から、駒大の総長、後に永平寺の管主にまでなられた山田霊林先生にお願いして入学することができた。

 その頃の駒大は、お寺関係の師弟がほとんどで、一般の家庭の師弟は少なかった。世田谷学園から、かなりの学生が駒大に入学したが、その中に池田茂雄君、江田和雄君などがいた。

 池田茂雄君は向井さんが主宰していた「行動美術」に所属していて、今でも毎年「行動美術展」に、わけの分からない抽象画を出品している。

 その池田君に連れられて、お元気だった頃のアトリエを訪ねて、一度だけお目にかかったことがある。

 もうすぐ向井さんのアトリエがあるというところに、小さな喫茶店があった。女性がひとりできりもりしている。なんと今日は月曜日で休館日ですよ、と言われてしまった。

 駒澤大学の構内で唯一、昔のままの姿で残っている建物がある。「駒澤大学禅文化歴史博物館」として生まれ変ってはいるが。ぼくらが在学中は図書館だった。そこを訪ねてみた。平成14年に開校120周年の記念事業として、博物館として開設されたようだ。

 中はすっかり変っていたが、天井の円形のステンドグラスはそのままだ。ぼくはその頃から本を読まなかったので、図書館を利用することはなかった。池田茂雄君は毎日のように図書館に通っていた。それは館員の女性に想いをよせていたからだ。

 なにしろクーラーも暖房もない時代だ。冬は寒くてどうにもならないというのに、物静かで、ぽちゃっとした女性にひかれていたのだ。

 あんなに長い間通いつめていたのに、池田君、想いを打ち明けられなかったのか、この女性と親しくなったという話は聞いていない。

 

 地下は食堂と本屋さんが入っていた。薄汚い食堂で、中年の見るからにみすぼらしいご夫婦がきりもりしていた。どんなメニューがあったのか覚えていない。駒沢の駅前の「長寿庵」で、かけそばが確か15円という時代だ。みんなお金を持っていないから、天ぷらそばなんて食べたことはなかった。

 江田和雄君は千葉県の印旛沼のほとりのお寺の息子だった。印旛沼でとれる小さなえびを乾燥させたものを自宅に帰ったときに持ち帰って、食堂の親父さんに売っていたようだ。お米なんかも売っていたかも。

 昔の面影は天井のステンドグラスだけだが、50何年も前のことが思い出されてくる。池田君は変った男で、卒業してから児童劇団の「風の子」の役者として活躍していたが、身体を壊し、なんと北海道の駒大附属苫小牧高校の先生に転進してしまった。

 後に東京の駒大高校の教師として、定年まで勤めている。試験のとき毛筆で答案を書いたりしていた池田君、演技力で先生を演じきったのだろう。

 江田和雄君は大学を中退して演劇の道に進み、劇団「人間座」の演出家として活躍した。早々と江田君はこの世を去ってしまった。あの時代は偏差値なんてものはない。個性的でいろんな人間ばかりだった。

 大学の構内は学生たちであふれているが、これが学生かと思う若者ばかりだ。とても勉強をしにきているとは思えない。大学がマンモス化することが、よかったのか、悪かったのか。

 ころものすそをなびかせて、沢木興道和尚がひょうひょうと歩いていたのを思い出す。

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