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2008年6月25日 (水)

お奉行さまに訴えて自由の身に

―『娼妓解放哀話』から祖父の足跡をたどる―

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  ここに一冊の古い本がある。ぼくにとって宝物であり、人さまに誇っていい本だ。著者は沖野岩三郎さん。書名は『娼妓解放哀話』。昭和5年6月10日発行、中央公論社刊・定価は壹圓弐拾銭。

  1998年1月27日、上田・ほその書店という古書店から、8925円で購入したものだ。

  ぼくの生まれが昭和7年で、76歳だから78年前の本だ。序文にこんなことが記されている。

「日本民権史の一部として、娼妓自廃の歴史を書いてみたいと思い出したのは、もう10年も以前のことで、亡くなられた伊藤冨士雄君(ぼくの祖父で、大正12年6月2日、享年53歳)が、私を三田四国町、惟一館に訪ねてこられたときからである。

  伊藤冨士雄君は、救世軍士官として娼妓の自由廃業に一身を捧げた闘士であった。同君は凡そ一千二百名の娼妓から、自由廃業の相談を受け、その中の九百八十七名を完全に廃業せしめたのである。

  昭和5年1月から4月までの中央公論に、私は『娼妓自廃九百八十七人』と題して、伊藤君から聞いた自廃娼妓の境遇や、エピソードを読物風に書いた。ところがこの読物は意外に反響があったので、これをまとめて単行本にしようという話が、中央公論社の出版部と私との間にまとまった。

  私の計画は伊藤冨士雄君のなした仕事を中心にして、日本に於ける娼妓の自由廃業はいかにして起り、いかなる影響を社会に与えたかを研究するにあった。(後略)」

  沖野岩三郎という方が、どんな方だったのかは不明だが、参考文献を読み調べて書いたものでなく、祖父の伊藤冨士雄から直接話を聞いて書いたものであるというところに、この本の価値がある。

  法律的なところも多く書いてあって、難しいが、今の人が読んでも面白いところを何回かに分けて紹介してみたいと思う。

  娼妓の自由廃業ということは、救世軍が最初ということでなく、今から363年前、徳川時代、江戸吉原ができてから28年目の正保2年11月に、元吉原遊郭、並木屋の遊女、佐賀穂というのが、自分の愛人と結婚したさに遊郭を脱け出して、町奉行朝倉石見守に訴え出て、無事に廃業を遂げたのが、日本文献に於ける自由廃業の最初だそうだ。

  恋は強し。封建時代の世の中で、勇気を出して遊女の身でありながら、愛する人とそえとげたいと、町奉行のもとに駆け込んだ、佐賀穂という遊女はすごい。

  その遊女の願いを聞いて、聞き届けてくれた奉行もほめられていい。ぼくはテレビ『水戸黄門』ファンで、必ず見ているが、奉行はたいがい悪役で、遊郭のオーナーの味方になってしまうだろうに、遊女に味方する立派な奉行がいたなんて、うれしい話ではないか。

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