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2008年8月

2008年8月12日 (火)

「伊藤文学のコレクション展」におでかけを!

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『薔薇族』を出し続けてきて、「よかったことは?」と、よく人に聞かれる。以前は「ロールスロイス」に乗せてもらったこととか、「ホテル・オークラ」の一泊何十万もする部屋に招待されて行ったこと、お忍びで訪ねてきた有名人に何度も会えたことなどをあげていた。

文通欄を通して知り合った人と、わざわざ名古屋から上京して、二人で仲のいいところを見せにやってきた人のこと、そんなことをあげればきりがない。

読者の中には、すばらしい美意識の持ち主、豊かな感性の持ち主が多い。昨年亡くなってしまったが、『薔薇族』の表紙を長いこと描き続けてくれた、内藤ルネさんに教えられたことは数限りなくる。それとルネさんのパートナーの藤田竜さんからも。

誰かれと、いちいちお名前をあげられないが、長いお付き合いの中から、自然と教わり、身についたのが「美意識」と「感性」だ。

ルネさんのお宅を訪ねた折りに出されたお茶碗。それが江戸時代の「そばちょこ」だということを知って、それを一つ買ったときから、骨董狂いがはじまってしまった。

それが女房の古里の

新潟県弥彦村

に、「ロマンの泉美術館」を平成5年にオープンさせるまでになってしまった。

「ロマンの泉美術館」は、今までつちかってきた、ぼくの美意識と感性の集大成だった。それから世の中、がらりと変わって、美術館建設が裏目に出てしまった。

その建設資金を銀行に返済できずに、75年も住み慣れた家も土地も失ったが、僕の身体にしみついた美意識や感性は、76歳になっても衰えるものではない。

そうは言っても、男の平均寿命を見ても、そう長く生きられるものではない。そこでぼくのコレクションを放出したいと考えた。

立派な画廊で開くわけではない。見にきたらびっくりするかもしれないが、冷房もないお店だ。

古書だとか、なんだかわからないものを売っている。『薔薇族』や、ぼくの著書なども置かしてもらって、そこそこは売れている。店の家賃と、住んでいるアパート代だけでも大変だ。どんな食事をとっているのか分からないが、40代の親父さんは、やせ衰えている。

一生懸命に頑張って休みもなしで働いている親父さんを応援してきたが、最近、店の半分を貸画廊みたいにするというので、早速、8月20日(火)~9月2日(火)までの二週間を借りて「伊藤文学のコレクション展」を開くことにした。

みなさんがきてくれて、何か購入して頂ければ、店の親父さんもおいしいものを食べられるだろうし、ぼくも助かる。

女性好みのものを多く展示するので、暑いなか大変でしょうが、下北沢の南口商店街を4、5分歩いてくると、左側に7階建てのビルがある。そこを左に曲がると、4、5軒目だ。

この横町は昭和レトロっぽいところなので、古着屋も骨董屋もあるし、のぞいてみてほしい街だ。わが家も近いので、なるべく会場にいるようにするつもりだ。

ぜひ見てもらいたい展示品のひとつは、人気絶頂の山川純一の劇画の原画だ。全作品を集めての『ウホッ。いい男たち』は、売れに売れている。

8月23日(土)、オープニングパーティーを開くので、ご参加ください。女性も大歓迎。みなさんお揃いでおでかけを!

★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送り頂くか、千円札を紙にくるんでお送りください。155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学

★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。

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胸に迫りくる『戦犯歌集・巣鴨』

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今年もまた8月15日の終戦記念日がやってくる。8月6日の広島への原爆投下、8月9日には長崎にも投下。その前には東京を始め、日本中の都市への無差別な空爆。どれほどの一般市民が亡くなったことか。

アメリカは原爆を投下しなかったなら、その後、多くの人が死んだかもしれないと、原爆投下を正当化している。

友人の白川充さんが2007年の8月、㈱展望社から出版した労作『昭和平成ニッポン性風俗史』(定価・本体2000円+税)の序文にこんなことを書いている。

白川さんは広島県高田郡市川村(現・安芸高田市)生まれ。原爆が投下されたときは、国民学校(小学校)四年生。広島市から三十キロはなれた山村の村だ。教師の父親、長姉は広島市に勤めていた。

長姉は原爆投下後、三日目の午後、奇跡的の生還をした。

「アメリカは原爆使用の大義名分を振りかざしたが、広島と長崎の市民を大量虐殺した事実は消せない。十歳の子供には、人間の不気味さや無常感を教えてしまった」のではないかと白川さんは怒る。

この辺から白川さんのアメリカ嫌いは始まったようだ。

「広島や長崎でまだ被災死体の処理に追われている頃、同じく焼野原の東京では政府関係者がアメリカ主体の占領軍兵士のため性慰安所を提供しようと画策していたのだ。これらが同じ国のなかで同時に進行したとは信じがたい。当時の日付を照合して、わたしは敗戦国のみじめさ、卑屈さを、いやというほど味わった。」

東條英機さんを始めとするA級戦犯の極東軍事裁判。これは日本を戦争に追いやってしまった指導者として罪に問われてもやむをえないかも知れない。しかし、ベトナムとの戦争では、アメリカは悲惨な目に遭ったのに、まさか戦争はしまいと思ったが、イラクと戦争を始めてしまった。戦争好きのアメリカの姿を見ていると、太平洋戦争も、日本だけが悪いのではないような気さえしてくる。

戦争に勝った国の兵隊が、どれだけ相手の国の人間を殺しても罪には問われないが、負けた国の兵隊は、自分の意志で相手を殺したのではなく、上官の命令で捕虜を殺したりしても戦犯として処刑されてしまう。

池袋のサンシャインの前は、巣鴨刑務所があり、戦後は巣鴨プリズンと呼ばれ、戦犯の人たちが収容されていた。

ぼくの父は戦後まもなくの昭和23年に第二書房を創立した。父の仕事でほめられていい出版物は、原爆歌集「広島」と戦犯歌集「巣鴨」、基地歌集「内灘」の三冊だ。

2昭和二十年代の後半に出版されたが、いずれも朝日新聞の社会面トップに紹介されて話題になった。その戦犯歌集「巣鴨」の元になった本だと思うが、昭和二十八年三月発行「歌集巣鴨十八人集」(非売品)発行者は平尾健一・大槻隆・松井正治の三人。印刷者は巣鴨文化会(印刷部)巣鴨プリズン内とある。

印刷は粗悪な紙に、なんとガリ版刷りの針金とじ、紙は変色し、針金はさびてくさっている。

第二書房から刊行した「巣鴨」(昭和二十八年九月発行・二百円)は、このガリ版刷りの本を元にしたものであることは間違いない。

最近、父の残した遺品の中から見付け出したが、赤ちゃけてボロボロの本だが、それに載っている短歌の数には、涙なくして読むことはできない。

それと戦後、アメリカ軍が進駐してくると日本の女性の多くが陵辱されてしまうという心配から、半官半民の売春会社「RAA」を設立した。それに応募した女性の手記「女の防波堤」も、くしくも第二書房から刊行されている。

その辺のくわしい話は、白川さんの「昭和平成ニッポン性風俗史」に書かれているが、戦争というものの馬鹿馬鹿しさが、情けないほどに描かれている。

なんとしても日本は戦争にまきこまれてはならない。この戦犯歌集「巣鴨」に登場する歌を戦争を知らない若者にもぜひ、読んでもらいたいものだ。

絞首刑の判決後、終身刑に減刑された、楢崎正彦さんの作品。

今生の別れ告げゆく君の手に最後の煙草の火はあかかりき

絞首刑から減刑、重労働二十年の森良雄さんの作品。

旅とほく最後の別れと連れられし子は野球帽かむり眠れぬ

乏しかる遺品の中につる折れし眼鏡は紙に包み添へけり

終身刑の毎田一郎さんの作品。

単純に別れを告ぐる妻とわれ再び会ふ日を言ふこともなし

冬至堅太郎さん、三十八歳、絞首刑がのちに二十五年に減刑。

わが斬りし米兵の妻子想ひをり背冷えびえと壁にもたれて

着換えつつシャツ柔かに匂へれば一目を妻に会ひたくなりぬ

古里に残した母を想い、妻を想い、幼い子らを想う心情は胸に迫るものがある。どの人たちも三十代の若い兵士たちだ。

一枚のはがきで戦場に連れて行かれ、自分の意志で殺したわけでもないのに、戦犯の汚名を着せられた人たち。どのくらいの数の人が処刑されたのだろうか。

巡りくる終戦記念日を迎えるにあたり、無名の戦犯たちの残した作品をすべての日本人が、もう一度じっくりと読むべきではなかろうか。

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2008年8月11日 (月)

物足りないと言われてしまった『薔薇』

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『薔薇族』を創刊する7年前、1964年の7月に『薔薇』という会員制の雑誌が創刊されている。

  発行所も発行者も明記されていないが、『風俗奇譚』を発行していた高倉さんが刊行していたことは間違いない。

  なぜ正々堂々と刊行しなかったのか。その時代、同性愛が隠花植物的存在だったから、勇気がなかったのだろうか。

『風俗奇譚』はSMの雑誌だったが、その一部には同性愛の記事も入っていた。恐らくその手ごたえがかなりあったから、『薔薇』を出そうということを思いついたのだろう。

創刊号には「はじめに」と題して、こんなことが記されている。

「はじめにことばありきというのは聖書の一句であるが、わたしたちにも、はじめにことばがあってもいいのではなかろうか。

  いってみれば同志―いや、そんなに大げさなものではない、同じ性向をもち、同じ悩みをいだき、そして同じ道に生きていこうとする人たちだけが集まって、というのが、この会の基盤であり、この雑誌を創刊した趣旨である。だから、これは一般に市販することなく、会員みんなの意志と協力によって作られ、会員だけが読むものである。

『薔薇』というタイトルは、いささか少女趣味めいた語感がなくもないが、この花は美しさの陰にトゲを秘めているきびしさをもっている。

  美しい花をたおるためには、トゲで傷つくこともあるとは、昔からよく使われるタトエであるが、そんなニュアンスが、なにかこの道に似かよっている思いがないだろうか。

  とにかく、このささやかな冊子を足場に、わたしたちは一冊ごとに楽園を築いていきたいと祈念している。」

  目次を見ると、「みんなで考えよう・今月の課題・ホモ・セクシュアルは人間の落後者だろうか。」とあり、会員の五人ほどが意見を述べている。

『薔薇族』の創刊のときから力を貸してくれた間宮浩さんが「童話」という小説を載せている。

  イラストも大川辰次さん、平野剛さん、三島剛さん。そして写真は大阪のオッチャンの撮った作品だ。

『薔薇族』は『薔薇』の延長線上にあったといってもいいだろう。

  7号目の「ぼくのことば」という読者の投稿欄には、こんな苦情が早くも載っている。

「第1号から続けて『薔薇』を読んでおりますが、どうも何かしら物足りない感じがします。

  たとえば体験談、その他の読物のクライマックス、盛り上がりどころ、すなわち芝居の見せ場、泣かせどころが足りなく感じます。

  もっと会員制で非売品なのですから、極端に表現してはどうかと思います。

  小さい写真でもいいから、思いきったものをのせてくれることを切望いたします。」

  宮城県の会員の人がこんなことを書いている。

  非合法で出している雑誌なのだから、もっと思いきって露骨な写真、文章を載せなければ読者が物足りないと思うのは当然だ。それに会員が少ないから、執筆者も限られて、同じ顔ぶれになり、マンネリ化してしまう。

『薔薇族』は藤田竜というという、雑誌作りの名人が雑誌的な面白さを誌面に出して変化をつけたことが成功の要因だったのでは。

  8号の「編集こぼればなし」に、こんなことが。

「会員制だからもっと強く、という声がだいぶあるんだからね。つまりもっと露骨な描写や、Pの見える写真をというわけかいな。でも、そりゃあダメだよ。長つづきさせるためには限界を守らなきゃあ。その代わり、一字一句もたるみのない文章、ムードあふれる写真や、絵で編集しようや。」

  この『薔薇』がいつまで続いたのかは、間宮浩さんもこの世にいないので知るよしもないが、手元にある41号を見ても、内容はまったく変わりばえしない。読者にあきられてしまって消えてしまったのか。『薔薇族』が創刊された1971年には、この雑誌は消えてしまっていた。

★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送り頂くか、千円札を紙にくるんでお送りください。155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学

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2008年8月 6日 (水)

『薔薇族』通巻400号まであと3号

’09年早々に達成か?
これは多くの人たちの協力のことでぼくひとりの力では
とても成し遂げられませんでした。
感謝の気持ちでいっぱいです。

’08年夏の号好評発売意中!!

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