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2009年1月

2009年1月31日 (土)

稲垣征次展「金色の闇」を見に行こう!

 2006年の7月に、河出書房新社が出版してくれた僕の著書、「『薔薇族』の人々=その素顔と舞台裏」(本体価格2000円)は、昭和46年に創刊した時から廃刊になるまでの35年間に、かかわってきた14人の人のことを書いたものだ。

 35年という長い時間に出会った人たちだから、その何倍、何十倍もの人たちが『薔薇族』を支えてくれた。

 14人の中の1人、稲垣征次君が3年ぶりに個展を開くというので、案内状を送ってくれた。

 「『薔薇族』の人々=その素顔と舞台裏」をしばらくぶりに取り出して、パラパラと読んでみた。

 僕にはもったいないくらいの上製本で、立派な本だ。写真やイラストも多く入っていて、面白い本だ。ただ『薔薇族』の読者でなかった人が読んだ時にどう思うだろうか?

 恐らくあまり売れなかったと思うので、在庫はまだあるだろうから、ぜひ、ネットで取り寄せて読んでください。

  

 稲垣征次君の見出しには、「少年愛者の孤塁を守り通した」と、僕は書いている。

 稲垣君が『薔薇族』に登場するようになったのは、そんな初期の頃ではない。1983年5月号・No124からだ。「金色の少年」と題して、3枚の作品がグラビアページを飾ったのが最初だった。

 それからの稲垣征次作品は鉛筆画だ。1枚の絵を仕上げるのにどれだけの時間をかけているのだろうか。しなやかな少年の肢態は不思議な魅力を持つ、独特のものといえる。

 それから少年物の小説や、エッセイのイラストは、ずっと彼が描き続けている。稲垣作品で記憶に残る作品は、エッセイとイラストで見開きになっていて、24話も続けた「少年愛花物語」は見事な作品だった。

 1997年の12月号から連載が始まった「少年愛万華鏡」というコーナーは、廃刊になるまで続けられ、少年愛の読者の心の支えになった。その時々の少年愛の抱える問題を取り上げたコーナーだった。

 少年愛の記事を取り上げるな、という声がスタッフの間でやかましかったが、僕は稲垣征次君を最後まで守り通した。

 

 少年は美しい。古今東西の画家の多くが、少年を描いているのは当然のことだ。少年の裸像を描くのに、後ろめたい気持ちを今の時代では持つかもしれないが、美しいものを描いて悪いわけはない。しばらく稲垣君の描く少年の絵を見ていないが、どのように進化しているのだろうか。しばらくぶりの出会いを楽しみにしている。

 今回の稲垣征次展「金色の闇」は、今までの個展と違って、人形博物館での開催で、館長さんの人形のコレクションとともに展示される。それと入場料を1000円頂くということだ。

 稲垣君は絵を売ることだけの収入で生計を立てているので、ぜひ購入してほしいものだ。

 会期は、2月6日(金)から2月16日(月)までで火曜日休館、時間は13時から19時まで。場所は、渋谷区神南1丁目20−9−B1、電話03(3780)9818、「マリアの心臓」、渋谷パルコの手前、GAPの筋向かいの地下1階です。

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お知らせ

「伊藤文学を囲む会ー『薔薇族』的森茉莉考」

森茉莉さんの部屋に入れさせてもらった人は数少ない。茉莉さんが仕事部屋のようにしていた、カフェ「邪宗門」のマスターにしても入ったことはなかった。その部屋に入った伊藤が見たものは?森茉莉さんの本質に迫る話しを聞いて下さい。

日時/1月31日(土)夕方5時〜

場所/下北沢・「ONE LOVE BOOKS」(世田谷区北沢2-1-3/☎03-3411-8302)

会費/1000円

下北沢駅改札を出て、左側階段・南口へ降りる。商店街を4〜5分歩くと右側に「王将」があり、その前の「膳場八百屋」を左に曲がると、左側の5軒目。

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★店内で「伊藤文学コレクション展」も開催!

★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学

★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。

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2009年1月28日 (水)

何事にも好奇心を持とう!

 東京新聞の1面下段の「筆洗」という欄に、こんな興味深い記事が載っていた。1月17日の朝刊である。

 僕も同じようなことを考えていたので、考えさせられてしまった。

 「世界不況も大変だが、いろんな業界が若者の〈○○離れ〉に頭を痛めているようだ▼たとえば〈クルマ離れ〉。2007年の日経流通新聞による若者意識調査によれば、20代で〈乗用車に興味がある〉と答えた人は、53.5%。2000年の調査から実に20ポイント以上も下がっている。さらに3人に1人以上が酒を〈まったく飲まない〉か〈ほとんど飲まない〉と回答。〈酒離れ〉である▼周囲の若者を眺めてみても〈煙草離れ〉は明白だし、人ごとではなく〈活字離れ〉も言われている。そして、これは〈恋愛離れ〉と呼ぶべきか、同紙の昨年の同様の調査によれば、異性との付き合いも三割近くが〈面倒。わずらわしい〉と。(中略)
 クルマ、酒、恋愛、本、煙草、マージャン・・・。
 こう並べれば実におじさん世代の青春そのもの。彼らは今、各業界の中枢にあって、自分が若き日に惹かれたものに、惹かれない若者を惹きつけるという難事に挑んでいる。
 単なる世代の断絶とは違う気がする。不況より難題かも知れない。」

 ひと昔前までは、大学に入学して夏休みにでもなれば、誰しもがクルマの免許を取りに教習所に通ったものだ。

 都会に住んでいれば、今の時代、自転車さえあればクルマなど必要ないのかもしれない。不況でクルマが売れないのは当然だが、免許を持たない若者にクルマを売るということは難しいだろう。

 今、下北沢南口の「ONE LOVE BOOKS」で、「伊藤文学コレクション展」を開いていて、壁面に、100年前のヨーロッパの絵ハガキ、カリフォルニアのフルーツのラベル、アールデコの時代にパリで活躍したバルビエのイラスト、ヨーロッパの蔵書票などをびっしりと並べて展示即売している。

 ときどき店にお邪魔して、店主と話しながら、入ってくる若いお客さんを観察しているが、ほとんどのお客さんは、棚に並んでいる本とか雑貨類に目を向けるが、僕のコレクションには振り向きもしない。

 これは何だろうという好奇心を若者は持ち合わせないのだろうか。これでは目をつむって歩いているのと同じことだ。

 短歌や俳句を作っている人は、街を歩いていても、コンクリートのすき間から顔を出して咲いているタンポポの花などを見逃さないが、ぼうっとして歩いている若者は見向きもしないだろう。

 いろんなものに好奇心を持って、知ろうという気持ちを特に持たなければ、人間として進歩がない。情けない世の中になってしまったものだ。

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「伊藤文学を囲む会ー『薔薇族』的森茉莉考」

森茉莉さんの部屋に入れさせてもらった人は数少ない。茉莉さんが仕事部屋のようにしていた、カフェ「邪宗門」のマスターにしても入ったことはなかった。その部屋に入った伊藤が見たものは?森茉莉さんの本質に迫る話しを聞いて下さい。

日時/1月31日(土)夕方5時〜

場所/下北沢・「ONE LOVE BOOKS」(世田谷区北沢2-1-3/☎03-3411-8302)

会費/1000円

下北沢駅改札を出て、左側階段・南口へ降りる。商店街を4〜5分歩くと右側に「王将」があり、その前の「膳場八百屋」を左に曲がると、左側の5軒目。

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2009年1月24日 (土)

しばらくぶりに読んだ「東京新聞」は面白い!

 代沢5丁目に住んでいた時代は、新聞は、「朝日新聞」「毎日新聞」「読売新聞」「東京新聞」、それとプロレス好きの次男のために、「東京スポーツ新聞」も購読していた。それが75年も住み慣れた家と土地を借金の形に芝信金に取られ、代沢2丁目の狭いマンションに移り住むようになってからは、新聞も朝日と毎日の2紙だけを購読している。

 「朝日新聞」は、昭和30年代の後半から、昭和40年代にかけて、僕が一番華やいだ時代の基になる記事を掲載してくれて、応援してくれた。

 「読者のひろば」という投稿欄に、僕が投稿した記事を載せてくれて、それが大きな広がりになった。

 心臓手術のために、末の妹が入院していた東京女子医大病院。手術の日程が何度も変わって、僕の妹の紀子はやけくそになっていた。

 「妹に激励の手紙を!」と呼びかけたのが大反響を巻き起こし、手術が成功したあとも、妹が入院中に出会った、5歳の坊や、芳っちゃんの死などを書いた『ぼくどうして涙がでるの』の本も大きく記事にしてくれた。

 それが週刊誌、月刊誌、ラジオ、テレビとあらゆるマスコミが取り上げてくれて、昭和40年の芸術祭参加作品として、日活が映画にしてくれて、心臓病の啓蒙には多いに貢献することができた。

 その時の恩義を感じているので、「朝日新聞」は、どんなに生活が困っても購読し続けようと思っている。

 「毎日新聞」は、経営が大変なことは手に取るようにわかる。広告も少ないし、折り込まれてくるチラシも極端に少ない。だからこそ応援してあげたくなる。

 「毎日新聞」と「東京新聞」は同じ販売店である。契約を延長してくれと販売員が訪れてきたので「東京新聞」に変えてくれとお願いした。

 早速、配達されてきた、1月10日の「東京新聞」は、新鮮で、どの記事も読み応えがあって、見出しだけ読んでというわけにはいかない。

 「こちら特報部」の欄の、「ソマリアの海賊ってどんな人?」は興味深く読むことができた。日本の船が海賊に襲われるという記事は、他紙でも報じられているが、海賊がどんな人なのかということはわからない。

 麻生さんが、日本の自衛艦をソマリア沖に派遣して、海賊から日本の船を守ろうと言っているが、実現する様子はない。

 「13世紀末のマルコ・ポーロの『東方見聞録』にも、ソマリアは海賊の国とあるが、彼らの多くは、『沿岸警備隊』を自称しているという。
 その意味について、英紙は『我々の多くは元漁民。ソマリア沿岸はマグロ、メカジキ、ロブスターの宝庫だったが、1990年代に外国水産会社のトロール船に奪われた。現在の活動は、報復と資源防衛のため』という言い分を報じている。(中略)
 現在は海賊業が一大地場産業と化している。百人以上いる人質用に、レストランや弁当屋までできて、一族郎党が海賊の若者の収入に頼っているという。」

 海賊は、2000年頃まで貧弱な装備だったが、地元の富裕層が投資、近代的な装備に一新されているというから、日本の自衛艦など、やられてしまうのでは。

 渡辺元行革担当相の「ヨッシーの乱」行方は、の記事も面白い。芸能欄も充実しているし、どの記事も、見出しだけ読んでではすまされなくて、最後まで読まされてしまう。

 朝・夕刊で1カ月の購読代は、3250円と他紙より安い。洗剤をもらったからほめているのではなく、本当に読み応えのある新聞なのだ。

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2009年1月21日 (水)

人を信じたい!ーロスの空港に置き忘れたかばんー

 僕ら夫婦は、ロサンゼルスに3回、サンフランシスコに1回と、ゲイ・パレードに参加することができた。

 平成8年7月20日の消印のある手紙が、机の引き出しを片付けていたら見つかった。日本航空株式会社・第1客室乗員部・スチュワーデス・伊藤淳さんからの手紙だ。

 「オリンピックが始まり、夏の訪れを肌で感じる今日この頃、伊藤様にはお元気で、ご活躍のこととおよろこび申し上げます。
 先日、ロサンゼルス発、成田行きの061便にて、ご一緒させて頂きました、伊藤淳でございます。
 ロサンゼルスの空港にお忘れになった、お荷物が無事、伊藤様のお手元に届いたと伺い、ほっといたしました。
 『お荷物がみつかりました』と報告した時の伊藤様のあの笑顔、そして共にかわした握手が今でも忘れられません。今でも印象に残っております。
 あの時の感動が今日のフライトの活力源になっております。私にとって夏のビタミンCです。
 ご主人様から頂いた『人を信じたい』というお言葉にとても重みを感じます。私も常に人を信じ、生きていこうと思います。また、ご主人様の書かれた『扉を開けたら=ロマンの泉美術館物語』は、私の宝物として、何度も読みたいと思います。
 素敵な美術館のポスト・カード、どうもありがとうございました。グループの全員に配り、みんなで感動をわかちあいました。
 また、いつの日か機内で、お目にかかれますよう、楽しみにしております。」

 いつロスを訪れての帰りの時か、忘れてしまったが、ロスで知り合ったゲイ雑誌「フロンティア」のオーナー、ボブさんから、お土産としてプレゼントしてくれたティファニーのガラスの文ちん、それが悲劇の根源になってしまった。

 パスポートは僕が持っていたが、カード類やお金が入っているサイフ、タバコケースなど入った手さげカバン。それを女房は肩から下げていた。

 最後の飛行機に乗る持ち物検査の機械に反応してしまって、大きなカバンの中を開けさせられてしまった。係の人は、ふたりの黒人の女性だった。

 ボブさんから頂いたティファニーのガラスの文ちんの中に鉛が含まれていて、それが機械に反応してしまったようだ。

 黒人の女性は、そのガラスの文ちんを見て、「オー、ビューティフル!」と、ニコっと笑ってくれた。

 ところが、その時、肩にかけていた大事なカバンを置き忘れてしまったのだ。

 機内に乗り込み、飛び始めてから、女房はカバンがないのに気付き、それこそ顔面蒼白、食事が出ても、喉を通るどころではなかった。

 日本航空なので、スチュワーデスは日本人だから助かった。空港にカバンを忘れてしまったことを告げたら、無線で空港に連絡を取ってくれた。

 空港の係員が黒人の女性だったので、まずカバンが出てくることはないと思ってしまった。それがしばらくして、カバンが見つかったという報告があったのだ。その時の喜びは忘れることができない。

 帰国し、数日して荷物が届いた。中身は何一つ無くなっているものはなかった。黒人の女性が係員であるということで、偏見を持ってしまったことを恥じるばかりだった。

 「人を信じたい」という文章を日航に送ったが、僕の手紙をみんなの前で読んでくれたそうだ。

 黒人のオバマさんが大統領になった。アメリカはきっと、良い方向に変わるに違いない。

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2009年1月17日 (土)

トムの画集が5年ぶりに戻ってきた!

 『薔薇族』が廃刊になったのは、平成16年11月1日発行のNo.382・11月号だった。それから間もなくして、我が家を訪ねてきた若者は、「探偵ファイル」というネットの会社の人だった。

 ネットの普及が『薔薇族』を廃刊に追い込んだと思っていたが、そのネットの会社が救いの手を差し伸べてくれたのだ。

 「探偵ファイル」は、元々探偵の会社だそうだが、男女のエッチなサイト(?)をいくつも持っていて、広告収入で運営し、その中のひとつに男同士の同性愛を取り入れたいというのだ。

 ネットのことなど全くわからない僕は、彼等の言う通りに原稿を書き、とんでもない格好をして写真に納まったりもした。

 無収入になった僕にとっては、給料のようなものはどれだけ助かったことか。残念ながら理由はわからないものの、1年ほどして中止になってしまったが、その後に、上野にある英和出版から復刊させたいという申し入れがあった。

 「探偵ファイル」とは、縁が切れてしまったが、アメリカのトム・オブ・フィンランドの豪華な画集を資料として貸したことがあった。

 ロスのトムの館を訪ねたおりに、記念にとサイン入りの画集を頂いたが、その時の大事な本だった。何度か返すように電話をしたが、そのうちにあきらめてしまっていた。

 それが5年も経った新年になってから、その時の若者が突然、我が家を訪ねてきたのだ。旧住所の家の方に来てしまったのだが、薬品会社の駐車場になっていたのでびっくり。そこは探偵の仕事もしていたことがあって、隣の家の人に聞いて訪ねてきたのだ。

 何と5年ぶりにトムの分厚い画集を返しに来てくれたとは。今時の若者にしては珍しい律儀な人と感動してしまった。

 

 ロスのトムの館を、ロス在住のコーイチとスティーブンの案内で訪ねたのは、1999年の初夏の頃だった。

 今世紀の初頭に建てられた、木造3階建てのトムの館は、照明器具はアール・デコの時代のもの、仕事をしていた机もそのまま。レザー好きのトムのベッドは、黒革で覆われ、あちこちに置いてあるブーツを見ると、今にもトムが現れてくるようだった。

 現在は、トムの恋人だったダークさんが、財団にし、理事長として、この館を美術館として運営している。

 トムは、フィンランドのカリーナに1920年5月8日に生まれ、1978年、トムが57歳の時に初めてアメリカに渡った。1991年11月7日に亡くなるまで、アメリカで活躍した。

 今の若者はトムの絵を知らないだろうが、年配のゲイの人たちは、『薔薇族』が創刊される前に、銀座の洋書店「イエナ」(今はない)で、薄っぺらな粗末なトムの画集を買い求めて、マッチョなレザーの匂いがムンムンする絵を見て、興奮したに違いない。

 昭和41年4月1日発行の「風俗奇譚」4月号にトムの絵が載っている。驚いたことに、同じ号のグラビアページに、平野剛さんの絵も載っているが、デビューした頃で幼稚なものだ。

 男の絵を描き続けて数十年。平野さんの絵は凄まじいぐらいに進化している。トムの絵にしてもそうだ。ひとつのことに時間をかけて打ち込むということが、どんなに大事かということを教えてくれる。

 トムの画集が5年ぶりに戻ってきて、ページをめくっていたら、レザーの匂いがムンムンとしてくるようだった。

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2009年1月16日 (金)

母校駒沢大学よ、頑張れ!

 1月10日の「朝日新聞」の朝刊に、興味深い記事が載っていた。「読み解く」という欄で、生島淳(ジャーナリスト)さんの「箱根駅伝は“経済戦争”だ」という記事だ。

 その記事を紹介する前に、2008年の箱根駅伝では、早稲田との差、3分11秒差を逆転して、3年ぶり6度目の優勝を果たし、「黄金時代再び」と、スポーツ報知が1面で報じている。

 駒大の卒業生として、暗いことばかり続いているので、正月早々の、この快挙に、どれだけの勇気をもらったことか。

 今年の箱根駅伝の勝者は、駒大とどの新聞も予測していた。それがなんと予測は大外れ。14位でシード権まで失ってしまった。

 これはショックだった。昨年はスポーツ紙を買い集めて保存していて、今年もと思っていたのに。

 その前に不吉な出来事があった。朝日新聞の1面トップに、「駒大理事長解任」の記事が載ったのが、12月19日の朝刊だ。150億円もの大金を投資に失敗して失い、その責任を取ってのことだった。

 そんなお金があったのなら、選手の強化にもっとつぎ込むべきだったのでは。野球も弱くなってしまって、2部に落ちてしまい、1部に上がって来れない情けなさである。

 野球も駅伝も、大学の宣伝にどれだけの効果があるか計り知れないものがある。

 坊さんは汗水流してお金を稼いだわけでなく、檀家からのお布施で得たお金だから、安易な気持ちから投資で金儲けをとたくらんだに違いない。

 駅伝の選手たちも、やる気をなくしてしまったのではないか。心理的なものがかなり影響するだろうから。

 そこで生島さんの記事だ。
 「20校以上が強化費を投じ、高校生に対する激しい勧誘合戦を演じている点で、箱根駅伝は他の学生スポーツの追随を許さない。そうなると必然的に競技レベルも上がってくる。
 大学側がこれほど入れ込むのは、箱根駅伝が入学試験の出願締め切りの直前という最高のタイミングで行われるからだ。つまり箱根への出場がそのまま大学の宣伝になり、受験料収入につながるのだ。
 ある大学の関係者の話では、箱根を上位で走行した場合、受験料収入が数億円の単位で増えるという。これは見過ごせないビジネスチャンスなのである。
 箱根駅伝の中継では、往復11時間にもわたって学校名が連呼されるわけだから、87年に日本テレビで中継が始まってから、箱根駅伝に参入する大学が続々と現れたのは、当然の成り行きだったろう。
 選手の獲得競争は“経済支援”の戦いにもなっており、学生の授業料、寮費などを奨学金という形で、全額給付する大学もある。箱根駅伝の争いは、大学間の経済的な側面もあることを知るべきだろう。(中略)
 箱根駅伝の隆盛は、大学生のタスキにかけるひたむきな思いだけではなく、少子化時代の各大学の経営に絡んだ思惑が支えているのである。」

 生島さんの記事の通りではないか。150億円の投資の失敗、野球部の2部転落、駅伝でのまさかの敗退と、受験生が減るのではないかと心配になってくる。

 暮れの12月20日、国文科の教授、高橋文二先生の定年退職での最終講義とパーティが、三越の迎賓館の後地を駒大が買収して建設した校舎の立派な教室と、迎賓館を改装したパーティ会場で開かれた。

 デパートの王者、三越が手放した迎賓館、ここも担保にして、駒大は銀行からお金を借りたのかもしれない。戦国時代の世の中、しっかりしないと駒大からまた誰かのものになってしまうかも。

 駒大総長の大谷哲夫さん原作の、曹洞宗の開祖、道元の生涯を描いた映画「禅」が封切りされている。勘三郎主演で話題になっているが、この映画がヒットして、駒大のイメージを高めてくれることを祈るばかりだ。

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去年のスポーツ紙、今年もと思ったのだが・・・


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2009年1月10日 (土)

男色は日本文化における“王道”だった!ー丹尾安典さんの『男色の景色』を読んでー

 本をまったくといっていいほど読まない僕にとって、書評を書くことは、もっとも苦手なことだ。そうはいっても、『薔薇族』を励まし続けてきてくれた、早稲田大学教授、丹尾安典さんの著書となれば読まないわけにはいかない。

 今まで書評を書くときは、「まえがき」と「あとがき」を読んで、あとはぱらぱらと走り読みして書いていた。ところが丹尾安典さんの著書『男色の景色(なんしょくのけしき)ーいわねばこそあれ』(新潮社刊・定価・本体2200円〈税別〉)には、「まえがき」も「あとがき」もない。

 第1章から第6章まであって、「それぞれの章は独立しておりますので、どの章から読み始めるも御自由」とある。これでは何がなんでも254ページをすべて読まないわけにはいかない。

 学者ってすごい。多くの文献を読んで書くのだから。そのための参考資料を集めるだけでも大変なことだ。読者は2300円ほどで、いろんなことを知ってしまうのだから、本って本当に安いと思う。

 「日本文化における男色という道、それは“王道”だった!」と、また、「万葉集から現代文学まで、また仏画、山水画、琳派、浮世絵などの絵画作品から、男色的光景を縦横無尽に引用」と、帯にうたっている。

 僕がいつも力説しているように「日本の文化、芸術は、ゲイの人によって支えられている」と。この本を読むと、現代だけでなく万葉の時代から、まさに男色は王道だったということが理解できて、胸を張って誇りたくさえなってくる。

 第2章の「連れなく雁」は、「『薔薇族』は昭和46年(1971年)に創刊された」という文章から始まる。「通巻400号を目前にして資金難からダウン寸前の状態」とまで、もっとも新しい情報まで入っているのだから恐れ入る。

 「世界は、おとうとのために」と題する、寺山修司君が『薔薇族』のために寄せてくれた詩が引用されているが、この本に載っていると、なぜか寺山君はゲイだったから、素晴らしい仕事を残せたのだということが、はっきりとわかるようだ。

 今更ながら、この詩を一字一句読むと、この詩は『薔薇族』の宝物で、感謝の気持ちでいっぱいになる。

 抒情画の画家は、すべてゲイだ。ところが竹久夢二だけは、ゲイだと決めつける人はいない。それは何度も女性と結婚しているからだ。もちろん子どももいる。

 この本を読むと、えっ、あの人のゲイだったのかと、いろんな人が登場してくる。夢二と親しく、同性愛の研究書を多く残している岩田準一氏のことも詳しく書かれている。

 夢二の弟子でもあった岩田準一氏はゲイだと思うが、丹尾さんは夢二がゲイだとは書いていない。

 僕は夢二はゲイだったと思っている。僕の親父は、夢二が好きだったのか、親父の書棚には夢二に関する本が、ずらりと並んでいた。しかし、僕は、夢二の本など読んだことがないし、没後、古本屋にみんな売ってしまった。

 だから、僕の勘みたいなもので、学問的に立証することはできない。確か、夢二は兄妹が多く、末っ子だったのでは。末っ子にゲイが多いことは間違いない。一番上のお姉さんとかなり歳が離れていて、夢二は母親よりも姉を慕って甘えていたようだ。

 それに夢二の描く女性は、病弱な女性のようだ。神経が繊細で仕事の幅も広く、とてもノンケの画家にはこんな仕事はできないだろう。

 何度も結婚相手を変えたのは、モデルが欲しかったことと、女性を好きにならなければという気持ちがそうさせたのだろう。

 夢二がゲイだったかということは、丹尾さんに立証してもらうしかない。この本で一番おもしろかったのは、最後の章の「礼装」だ。

 川端康成さんがゲイだということは、かなり前に大手出版社の年配の編集者の方から聞いていたし、ゲイでなければあのような死に方はしない。

 「伊豆の踊子」のことが詳しく書かれている。踊子と旅を一緒にした大学生との淡い恋物語だと思っていたが、そうではなかった。踊子の兄の栄吉との恋物語だという。

 やはり書評にならないことを書いてしまったが、僕が全部読み切ったのだから、おもしろい本に間違いない。ぜひ、ネットで注文して読んで下さい。それに図書館を利用している方は、購入するようにすすめてほしい。この本を読むことによって、男色の景色が、七色の虹のようにあなたの目を楽しませてくれるだろう。

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