« 昭和の幻をひきずっている店 | トップページ | 母校駒沢大学よ、頑張れ! »

2009年1月10日 (土)

男色は日本文化における“王道”だった!ー丹尾安典さんの『男色の景色』を読んでー

 本をまったくといっていいほど読まない僕にとって、書評を書くことは、もっとも苦手なことだ。そうはいっても、『薔薇族』を励まし続けてきてくれた、早稲田大学教授、丹尾安典さんの著書となれば読まないわけにはいかない。

 今まで書評を書くときは、「まえがき」と「あとがき」を読んで、あとはぱらぱらと走り読みして書いていた。ところが丹尾安典さんの著書『男色の景色(なんしょくのけしき)ーいわねばこそあれ』(新潮社刊・定価・本体2200円〈税別〉)には、「まえがき」も「あとがき」もない。

 第1章から第6章まであって、「それぞれの章は独立しておりますので、どの章から読み始めるも御自由」とある。これでは何がなんでも254ページをすべて読まないわけにはいかない。

 学者ってすごい。多くの文献を読んで書くのだから。そのための参考資料を集めるだけでも大変なことだ。読者は2300円ほどで、いろんなことを知ってしまうのだから、本って本当に安いと思う。

 「日本文化における男色という道、それは“王道”だった!」と、また、「万葉集から現代文学まで、また仏画、山水画、琳派、浮世絵などの絵画作品から、男色的光景を縦横無尽に引用」と、帯にうたっている。

 僕がいつも力説しているように「日本の文化、芸術は、ゲイの人によって支えられている」と。この本を読むと、現代だけでなく万葉の時代から、まさに男色は王道だったということが理解できて、胸を張って誇りたくさえなってくる。

 第2章の「連れなく雁」は、「『薔薇族』は昭和46年(1971年)に創刊された」という文章から始まる。「通巻400号を目前にして資金難からダウン寸前の状態」とまで、もっとも新しい情報まで入っているのだから恐れ入る。

 「世界は、おとうとのために」と題する、寺山修司君が『薔薇族』のために寄せてくれた詩が引用されているが、この本に載っていると、なぜか寺山君はゲイだったから、素晴らしい仕事を残せたのだということが、はっきりとわかるようだ。

 今更ながら、この詩を一字一句読むと、この詩は『薔薇族』の宝物で、感謝の気持ちでいっぱいになる。

 抒情画の画家は、すべてゲイだ。ところが竹久夢二だけは、ゲイだと決めつける人はいない。それは何度も女性と結婚しているからだ。もちろん子どももいる。

 この本を読むと、えっ、あの人のゲイだったのかと、いろんな人が登場してくる。夢二と親しく、同性愛の研究書を多く残している岩田準一氏のことも詳しく書かれている。

 夢二の弟子でもあった岩田準一氏はゲイだと思うが、丹尾さんは夢二がゲイだとは書いていない。

 僕は夢二はゲイだったと思っている。僕の親父は、夢二が好きだったのか、親父の書棚には夢二に関する本が、ずらりと並んでいた。しかし、僕は、夢二の本など読んだことがないし、没後、古本屋にみんな売ってしまった。

 だから、僕の勘みたいなもので、学問的に立証することはできない。確か、夢二は兄妹が多く、末っ子だったのでは。末っ子にゲイが多いことは間違いない。一番上のお姉さんとかなり歳が離れていて、夢二は母親よりも姉を慕って甘えていたようだ。

 それに夢二の描く女性は、病弱な女性のようだ。神経が繊細で仕事の幅も広く、とてもノンケの画家にはこんな仕事はできないだろう。

 何度も結婚相手を変えたのは、モデルが欲しかったことと、女性を好きにならなければという気持ちがそうさせたのだろう。

 夢二がゲイだったかということは、丹尾さんに立証してもらうしかない。この本で一番おもしろかったのは、最後の章の「礼装」だ。

 川端康成さんがゲイだということは、かなり前に大手出版社の年配の編集者の方から聞いていたし、ゲイでなければあのような死に方はしない。

 「伊豆の踊子」のことが詳しく書かれている。踊子と旅を一緒にした大学生との淡い恋物語だと思っていたが、そうではなかった。踊子の兄の栄吉との恋物語だという。

 やはり書評にならないことを書いてしまったが、僕が全部読み切ったのだから、おもしろい本に間違いない。ぜひ、ネットで注文して読んで下さい。それに図書館を利用している方は、購入するようにすすめてほしい。この本を読むことによって、男色の景色が、七色の虹のようにあなたの目を楽しませてくれるだろう。

Nansyoku

★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学

★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。

◆永遠のベストセラー「愛の潤滑液 ラブオイル」一度お試しあれ。

Nurnuru2 Nurnuru3

 

◆お求めはこちらから

◆ご感想・ご相談はこちらへbungaku@barazoku.co.jp

|

« 昭和の幻をひきずっている店 | トップページ | 母校駒沢大学よ、頑張れ! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101967/43694438

この記事へのトラックバック一覧です: 男色は日本文化における“王道”だった!ー丹尾安典さんの『男色の景色』を読んでー:

« 昭和の幻をひきずっている店 | トップページ | 母校駒沢大学よ、頑張れ! »