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2009年2月 2日 (月)

『薔薇族』の人びと・その1〜ゲイ雑誌にゲイの文化を取り入れた=藤田竜

 稲垣征次君の個展を紹介するに当たって、3年前に出版した、僕の著書「『薔薇族』の人びと=その素顔と舞台裏」(河出書房新社刊・本体2000円)を読み返してみた。

 この本には、『薔薇族』を支えてくれた14人の人たちのことを紹介している。しかし、もっと、もっと多くの人たちの支えによって、『薔薇族』は出し続けることができた。

 僕のブログを見てくれている人たちは、恐らくこの本を読んではいないと思うので、どういう人たちの働きで『薔薇族』を出し続けることができたのだということを紹介していきたい。

 まず最初は、創刊の時から力を貸してくれた藤田竜さんを紹介しよう。

 「ゲイ雑誌にゲイ文化を取り入れた藤田竜」と、僕は見出しを付けている。

 千駄ヶ谷のマンションに竜さんを訪ねた時のことである。当時、億ションと呼ばれるマンションで、招き入れられた部屋は、何から何まで、真っ黒の部屋だった。

 扉が開いて、お茶を出してくれる方がいたが、すぐに引っ込んでしまうので、どんな方なのかわからない。老人の手のように思えたが。

 僕は、竜さんがひとりで住んでいるとばかり思っていた。何回か通っているうちに、竜さんはお母さんを紹介してくれた。東北の出身だそうで、僕の母と同じような朴訥な方だった。

 隣の部屋に誰かがいる。人の気配を感じていたが、一緒に住んでいるルネさんを紹介してくれたのは何年も経ってからだった。

 竜さんは、仕事の関係では、ルネさんの影の存在だ。『薔薇族』では、創刊号から20何号まで表紙絵を描き続け、レイアウトから企画まで、全て竜さんの世界だったので、ルネさんを僕に紹介したくなかったのだろう。

 僕は単行本の出版でずっとやってきて、雑誌のことは全くわからなかった。雑誌の仕事をずっと続けていた竜さんに出会わなかったら、『薔薇族』は続けられなかったろう。

 竜さんは才人である。イラストも描き、文章も堪能で、企画はもちろん、写真も上手、何でもこなす人だった。

 後にルネさんは、竜さんのことを「いじわるオネエ」と呼んでいた。短気でお天気屋で、他人の気持ちを思いやるなんてことは、一切なかった。自分の気に入らない人は、みんなやめさせてしまった。

 ルネさんは、金銭的なことは一切ダメな人だったので、全て竜さんにまかせていた。お金の面ではシビアな人だった竜さん。

 20数年前、胆石の手術で、僕は関東中央病院に入院していた。後で聞いた話しだが、医師から女房に、ガンの疑いがあるとまで言われていたそうだ。

 そんな手術の前の日に、竜さんから手紙が送られてきて、給料を増やしてくれとのことだった。こんなお金にうるさい人なのに、ルネさんの全財産を詐欺師につけ込まれて、7億円のお金を失い、あげくの果てには、マンションまで失ってしまった。

 伊藤さんはノンケだからと、竜さんは言い続けていたので、僕はゲイのことをより理解しなければと努力してきた。それが良かったのではないだろうか。

 全く性格が違う竜さんと僕。よくも30数年も続けられたものだ。ルネさんと竜さんは、40数年も一緒に住み、仕事を続けてきた。それはルネさんが辛抱強かったからだろう。それと同じことが僕にも言えるのでは。

 竜さんのことは、まだまだ書きたいことがいっぱいある。竜さんに出会えて僕は幸せ者だった。竜さん、ありがとう!!

Photo

藤田竜描く創刊号の表紙

★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学

★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。

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