「星の王子さま」を見に行こう!〜作・寺山修司、構成・美術・宇野亜喜良、演出・金守珍
1999年の11月号(No.322)から、表紙絵を甲秀樹君に変え、レイアウトを宇野亜喜良さんにお願いした。
「グリーン・マイル」という、死刑囚のみを収容している刑務所の話で、ある死刑囚の最後の心の友が、芸達者で利口なミスター・ジルグルスというねずみが登場する映画だった。
甲君が、なんで青年の肩にネズミを描いたのかわからないが、ひとりの生活で、恋人もいなくて寂しい思いをしている読者のことを思い浮かべて描いたに違いない。このイラストから宇野さんがデザインをしてくれることになった。
宇野亜喜良さんは、紫綬褒章に輝くイラストレーターで、またデザイナーでもある方で、『薔薇族』の表紙のデザインなど、お願いするのは心苦しかったが、快く引き受けてくれた。
今から39年前、33歳で事故死した、僕の先妻の舞踏家、伊藤ミカの公演の時のポスター、チラシ、プログラムのデザインも宇野さんが担当してくれた。その頃、宇野さんはマックス・ファクターの専属デザイナーで、華々しい活躍をされていた頃だ。
「オー嬢の物語」、「愛奴」、「静かの海の恐怖」の3公演のポスターは、シルクスクリーンで印刷されたもので、芸術的な素晴らしい作品だ。
その頃からのお付き合いがあったので、『薔薇族』の表紙のデザインを、廃刊になるまでお願いしてしまった。
宇野さんのアトリエには、コピーの機械もなく、もちろんネットなんて使わず、手書きでレイアウトの指定をしてくれた。
毎月、原稿を取りに行って昔話をするのが楽しみだった。
宇野さんの偉いところは、えらぶるところがまったくなく、僕が帰るのを必ず玄関先まで見送ってくれることだ。これはなんでもないことのようで、誰にもできることではあるまい。
宇野さんは、寺山修司さんの公演のポスターも何点か手がけているが、今年は寺山さんが亡くなって27回忌だそうで、寺山さんの作品の「星の王子さま」が、構成・美術・宇野亜喜良、演出・金守珍で催される。
「毛皮のマリー」は、男性だけの女装劇だが、「星の王子さま」は、女性だけの男装劇だ。
12月31日から、今年の1月5日まで、渋谷のパルコで「ジャパン・アヴァンギャルド・アングラ演劇傑作ポスター展」が開かれ、宇野さんの作品も展示された。
1月3日に、主催者の笹目浩之さんと宇野さんのトークショウ&サイン会があった。寺山さんの奥さんの九條映子さんも参加して楽しい会だった。会の終わりにくじ引きがあって、本だとか、ポスターが当たるのだが、僕も寺山修司記念館のポスターが当たったので、僕のことをお客さんに紹介してくれた。
会が終わってから、「星の王子さま」に出演するという二人の女性が、僕に声をかけてきた。野口和美さんと川上史津子さんである。野口さんは以前、「毛皮のマリー」の公演の時に、「イカール館」に、僕を訪ねてきて広告を出すように依頼して、お世話になったというが、僕は全く記憶にない。
川上さんは、『薔薇族』の読者で、僕の著書も読んでいるとか。それよりも驚いたのは、フラワー・メグさんが出演者の中にいることだ。メグさんは40年ぐらい前に、ヌードモデルとして、世の殿方を悩殺した女性である。「スペース・カプセル」にも出演していて、社長が惚れ込んで、奥さんと離婚までしてメグさんと結婚したという話を聞いた。
何十年という時が流れているのに、「星の王子さま」だけは、歳を取らないのだろうか。
★2月25日(水)・26日(木)・27日(金)・28日(土)・3月1日(日)、問い合せは、プロジェクト・ニクス☎03(6312)7031、チケット料金=前売3800円・当日売り4000円、チケットぴあで取扱い。会場・ザムザ阿佐ヶ谷(杉並区阿佐谷北2-12-21、☎03-5327-7640) JR阿佐ヶ谷駅北口より徒歩3分。
★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。〒155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学
★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。
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