« 「薔薇通信」が一番読み応えがあった! | トップページ | 通巻400号へのゴールが見えてきた! »

2009年3月 3日 (火)

『薔薇族』の人びと・その4〜「幻(まぼろし)」のSM作家・笹岡作治

 笹岡作治、何とも泥臭い、やぼったいペンネームは、僕が付けたものだ。恐らくこの方、兵隊の経験もある方なので、大正時代に生まれ、昭和の初期に少年時代を過ごされた人だと推測する。

 デッチ小僧などが登場する小説を書かれているので、泥臭いペンネームがふさわしいのではと思って、付けたペンネームだ。

 原稿が送られてきても、「福岡」の消印が押されているだけで、名前も住所も書いていない。原稿用紙でなく、ワラ半紙を半分に切った紙に、小さな文字でびっしりと書かれている。

 笹岡作治という作家は、どんな人なのだろうか、その招待は全く不明で、まさに「幻」の作家と言えるだろう。しかし、すぐれた作品を次から次へと生み出し、後世にまで残るであろう、独自の境地を切り開いた小説は、いつまでも、その輝きを失うことはない。

 創刊の頃の3年間は、月刊でなくて隔月刊だった。最初に送られてきた原稿を誌上に載せたのは、創刊して2年後のNo12・昭和48年(1973年)の7月号で、「ああ、M検物語」という作品だった。恐らくご自分の海兵隊時代の体験を書かれたものだ。

 「M検」なんて聞き慣れない文字、今時の若者には理解できないだろうが、「M」は、魔羅(マラ)の頭を取ったMで、これは仏教用語で、梵(ぼん)語で男の陰茎(オチンチン)のことである。それは僧侶の使う隠語だと「広辞苑」に記されている。

 女好きの男は、女性のおっぱいに魅力を感じる人が絶対的に多いと思うが、同性愛の男の関心事は、相手のオチンチンなのだ。

 「M検」というのは、軍隊に入隊してきた若者たちを素っ裸にして、皆の見ている前で、軍医や衛生兵たちが、淋病や梅毒などの性病を見つけるために、オチンチンをしごいて調べるのだ。

 ゲイの軍医や衛生兵にとっては、こんなに楽しい仕事はなかったに違いない。これはある意味で、入隊したことで、娑婆(しゃば)と、はっきり決別させるという自覚を植えつけるためのものだ。

 『薔薇族』が創刊されたのは、昭和46年のことだから、軍隊から、終戦によって帰ってきた読者の方が、軍隊時代の思い出を投稿されてきた。笹岡さんもそのひとりだった。

 「ああ、M検物語」が『薔薇族』誌上に掲載されたことで、笹岡さんの創作意欲が、一気に吹き出したのか、次々と力作が送られてきた。今度は体験記でなくて、独特のSM小説だった。

 「小僧残酷物語」、「若者狩り」、「地獄の顔」、「百姓哀歌」、「調教の館・一渾亭」などの作品群だ。

 読者に好感を持って笹岡作品は迎えられたが、反発する人もいた。
「期待していた笹岡作治先生の『若者狩り』は、予想以上の素晴らしさで感激しました。小説は作りものだから読まないという読者もいるようですが、何と気の毒な読者でしょう。
 僕個人の好みとしては、『地獄の顔』、『小僧残酷物語』、『若者狩り』などは、生涯に残るフィクションの世界の素晴らしさであり、そのフィクションから得た数々の印象が、僕の、この社会での生き方に対しての大きな力にもなっています」(26歳・褌好きの青年より)

 ゲイの人って、ほめられると喜び、けなされると傷つきやすい。この後、けなした文章を載せたら、笹岡さん、傷ついたのか筆を断ってしまった。

 それからの僕は、ゲイの人に対しては、口に出してほめる。絶対に悪口は言わないことを信条にして、これまで『薔薇族』を出し続けてきた。

Photo

 ★『薔薇族』の初期の頃に掲載された、名作とも言える小説を収めた小説集が、5月頃、宝島文庫として出版されます。まだ書名は決まっていませんが、これがヒットすると、次々とお宝を登場させることができます。皆さんのご支援をお願いします。山川純一の「ウホッ!!いい男たち」も大増刷されました。次々とお宝が発掘されるのは、うれしいことです。

★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学

★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。

◆永遠のベストセラー「愛の潤滑液 ラブオイル」一度お試しあれ。

Nurnuru2 Nurnuru3

◆お求めはこちらから

◆ご感想・ご相談はこちらへbungaku@barazoku.co.jp

伊藤文学編集長出演イベントのお知らせ

3月上旬発売となる、季刊『薔薇族』副編集長、竜超(りゅう・すすむ)初の単行本『消える「新宿二丁目」』(彩流社 2,500円+税)の刊行記念 イベントがいよいよ3月13日(金)の夜に新宿にて開催されます。文学編集長もゲスト出演いたしますので、お暇がありましたら是非おこしください!

模索舎プレゼンツ◎消えるか?「新宿二丁目」
日時/3月13日(金) 18:00開場 19:00開演
場所/ネイキッドロフト(新宿区百人町1-5-1 百人町ビル1F 電話03-3205-1556)
http://www.loft-prj.co.jp/naked/
料金/1,000円+1ドリンク~
※模索舎にて事前に、または当日に『消える「新宿二丁目」』お買上の方は料金500円引
出演◎竜 超(りゅう・すすむ)
予定ゲスト◎伊藤文学(ゲイマガジン『薔薇族』編集長)、
ソルボンヌK子(漫画家/オコゲのカリスマ)、
櫻田宗久(写真家/元・モデル、俳優、歌手)
主催/模索舎(東京都新宿区新宿2-4-9 電話03-3352-3557)
http://www.mosakusha.com/

|

« 「薔薇通信」が一番読み応えがあった! | トップページ | 通巻400号へのゴールが見えてきた! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101967/44229862

この記事へのトラックバック一覧です: 『薔薇族』の人びと・その4〜「幻(まぼろし)」のSM作家・笹岡作治:

« 「薔薇通信」が一番読み応えがあった! | トップページ | 通巻400号へのゴールが見えてきた! »