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2009年3月 1日 (日)

「薔薇通信」が一番読み応えがあった!

 邱永漢という名前をご存知だろうか?

 1924年に台湾・台南市に生まれ、1945年、東大経済学部卒。小説「香港」で第34回直木賞を受賞、以来、作家、経済評論家、経営コンサルタントとして活躍している。

 80歳を過ぎても、日本と中国、その他のアジア諸国を走り回り、三日に一度くらいの割合で飛行機に乗っているという元気な方である。

 北京では、外国人専用アパートのオーナーになり、上海では、旧天地という新観光名所の開発に携わり、成都では、イトーヨーカドーと伊勢丹の大家をつとめ、昆明では、将来、金持ちになった中国人がファンになってくれることを見越して、ブルーマウンテンに負けない超高級コーヒー園の当主をつとめている。

 この邱さんに、最初に出会ったのは、新宿厚生年金会館の並びに、邱さんがQフラットビルを建てた頃のことだ。1976年の6月号に「伊藤文学の談話室・祭が新宿にできた!」と、ひとりごとの欄に書いている。

 ビルの二階の一番奥の部屋に、美輪明宏さんがクラブ「巴里」をオープンさせた。その廊下を隔てた部屋を邱さんから借りて、「伊藤文学の談話室・祭」をオープンさせたことで、美輪さんと邱さんとのお付き合いが始まった。

 1985年の7月号が「薔薇族創刊150号記念特大号」で、特別寄稿として、邱永漢さんが「暗黒大陸への熱い視線」を、胡桃沢耕史さんが「人生の貴重な経験をさせてもらった『薔薇族』」を寄せてくれた。お二方とも直木賞作家なのだから、これは貴重な原稿だ。

 邱さん、胡桃沢さんには、『薔薇族』を毎号贈呈していたので読んでくれていたのだろう。邱さんはこんなことを書かれていた。

 「『薔薇族』の中で、最も読み応えのあるのは、“薔薇通信”ではないかと思います。僅か130字あまりの通信文ですが、“文は人なり”というように、この僅か11行の中に、私は1人の人間の教養の程度から、欲情の起伏から、はては人生態度まで読み取ることができます。
 あれをうまくつなぎあわせてゆくと、ダイヤモンドのきらめきを持った人間像が、浮き彫りにできるのではないかと、想像を逞しくしています。」

 『薔薇族』を創刊する時に、僕が最初に考えたことは、地方に住んでいて孤立している読者が、文通によって仲間を見つけることができたらと、“文通欄”を作ったのだ。

 この文通欄によって、どれだけの読者同士の出会いがあっただろうか。ポストを新しく作って、手紙を待っているという読者の顔が思い浮かぶようだ。

 名古屋に住んでいる読者が、文通欄で知り合った人と一緒にお礼に来たこともあった。「文通」なんて、今の時代には合わないかもしれないが、邱さんの言うように、その人が書いた文字や文章を見れば、人柄とか教養の程度も知ることができた。

 今はネットの時代、かごに乗って旅しているような、のんびりした「文通」なんて、今どきの人には理解できないだろう。

 しかし、携帯電話やネットの画面に出てくる文字からは、相手の人柄や教養の程度なんて知ることができまい。

 「6板橋区・花言葉 四季折々に咲きほこる花々、妖艶、清楚、可憐、それぞれの美を訪ね歩くのが好きな37歳、独身です。花の命は短くてと申しますが、その一瞬の輝きを大切にしたい、花を心から愛する方、お便り下さい。」

文通欄に応募してくれた人、また手紙を出した多くの読者の人たち、みんなどうしているのだろうか。幸せでいるのだろうか。

Photo

「マネーゲーム敗れたり」(PHP研究所刊、本体1333円)は、邱さんの最新の著書、サインをして送ってくれた。

★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学

★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。

◆永遠のベストセラー「愛の潤滑液 ラブオイル」一度お試しあれ。

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◆ご感想・ご相談はこちらへbungaku@barazoku.co.jp

伊藤文学編集長出演イベントのお知らせ

3月上旬発売となる、季刊『薔薇族』副編集長、竜超(りゅう・すすむ)初の単行本『消える「新宿二丁目」』(彩流社 2,500円+税)の刊行記念 イベントがいよいよ3月13日(金)の夜に新宿にて開催されます。文学編集長もゲスト出演いたしますので、お暇がありましたら是非おこしください!

模索舎プレゼンツ◎消えるか?「新宿二丁目」
日時/3月13日(金) 18:00開場 19:00開演
場所/ネイキッドロフト(新宿区百人町1-5-1 百人町ビル1F 電話03-3205-1556)
http://www.loft-prj.co.jp/naked/
料金/1,000円+1ドリンク~
※模索舎にて事前に、または当日に『消える「新宿二丁目」』お買上の方は料金500円引
出演◎竜 超(りゅう・すすむ)
予定ゲスト◎伊藤文学(ゲイマガジン『薔薇族』編集長)、
ソルボンヌK子(漫画家/オコゲのカリスマ)、
櫻田宗久(写真家/元・モデル、俳優、歌手)
主催/模索舎(東京都新宿区新宿2-4-9 電話03-3352-3557)
http://www.mosakusha.com/

消える「新宿二丁目」――異端文化の花園の命脈を絶つのは誰だ?

◆はじめに
◆第一章 ゲイバアとゲイタウン
(1)「新宿二丁目」以前の東京ゲイバア事情
(2)三島由紀夫が常連だった名門店
(3)そこはかつて遊女の街だった
(4)歌舞伎座と「新宿二丁目」の奇しき因縁
(5)「新宿二丁目」の第一号ゲイバアは?
(6)「新宿二丁目」年代記――1950~1960年代・謎のヴェールの時代
(7)「新宿二丁目」年代記――1970年代・情報解禁の時代
(8)「新宿二丁目」年代記――1980年代・エイズパニックとネアカ新人類の時代
(9)「新宿二丁目」年代記――1990年代・商品化されたゲイと狂乱的ブームの時代
(10)「新宿二丁目」年代記――2000年代・コミュニティの時代
◆第二章 ゲイという人々
(1)「ゲイ」は「ホモ」より古い言葉
(2)ゲイ、ホモ、オカマ――どれが蔑称? なにが差別?
(3)ゲイに王道なんてものはあるのか
(4)元祖ゲイマガジン『薔薇族』の黄金時代
(5)元祖ゲイマガジン『薔薇族』の凋落と終焉
(6)ゲイ文化にもっとも冷淡なのはゲイ?
(7)6兆6000億円市場の消費エリートって誰だ?
(8)英国は日本のゲイにとっての鬼門?
(9)かつてゲイと同居していた血のつながらない双子
(10)ゲイとオタク、それぞれの世代間闘争
(11)差別はやめろ、と叫ぶ若ゲイ・若オタク
(12)ゲイとオタク、起きてほしくない負のシンクロ
◆第三章 なにが「新宿二丁目」を殺すのか
(1)「新宿二丁目」ランドマーク消失
(2)13番目の地下鉄が運んできたミニバブル
(3)錦の御旗をかかげる怪物たち
(4)浄化、という名の公的暴力
(5)無防備だった聖域に襲いくる、外部からの毒牙
(6)老朽化のすすむゲイバア入居物件
(7)回遊をやめたゲイバア族と、バアトークを嫌う新世代ゲイ
(8)コミュニティよりもコミュ!mixiの麻薬的魅力
◆第四章 「新宿二丁目」サバイバル・シミュレーション
(1)もうひとつの新宿魔窟
(2)ヤングリーダー待望論
(3)誰に対して、どう売っていくか、の見きわめ
(4)「新宿二丁目」が、新宿二丁目を離れる日
◆終章 「新宿二丁目」は消えるのか?
◆インタビュー(1)ゲイマガジン創始者がふりかえる、その隆盛と凋落――
日本初の同性愛専門誌『薔薇族』元編集長、伊藤文学さん
◆インタビュー(2)90年代ゲイブーム――当事者がみたメディアの内幕
ブーム期の最多露出のゲイ当事者、伊藤悟さん(すこたんソーシャルサービス代表)
◆あとがき

表紙イラスト◎山川純一
本文イラスト◎ソルボンヌK子
ポートレート撮影◎櫻田宗久

【著者メッセージ】
百年に一度、ともいわれる未曾有の大不況に翻弄され、流転していく現代日本。それは同性愛者の世界とても例外ではありま せん。"おネエ系"とよばれるタレントが一部で人気を博していますが、そこからの恩恵というのはじつはほとんどなく、ゲイの文化や共同体は年々歳々、先細 りをつづけているのが現実です。
ゲイ、と聞いて一般人がまず連想する「新宿二丁目」。半世紀前に誕生し、"東洋一のゲイタウン"として、日本のみ ならず海外にも広く知られているかの街ですが、必ずしも「有名=盤石」というわけではないのが世の中の面白い(?)ところ。ゲイブームと呼ばれた1990 年代半ばをピークに、「新宿二丁目」およびその母体である同性愛マーケットは下降線をたどり、世紀をまたいでその凋落はとどまるところを知らないのが現実 です。
こうした危機的状況は、いったいどこから生じたものなのでしょうか。システムの歯車が経年劣化で狂っていった結果なのか、あるいは誰かが招 いた人災なのか。その疑問に、同性愛専門誌のパイオニア『薔薇族』副編集長としてゲイムーブメントを見つめてきた筆者が迫ります。水面下ですすむ衰退のシ ナリオを、現在・過去・未来の各視点から多角的・立体的に読み解き、独自の解釈・提案(ヨタ話、妄言をふくむ)を加えて、「新宿二丁目」の未来像を模索し てみました。
知性とは、"ムダなもの(こと)を楽しめる心の余裕"のこと。「ゲイの世界が潤おうと枯れようと、自分には関係ないヨ」なんてツレないことはおっしゃらず、"もっとも身近な異界"の秘密をかいま見てみませんか。あなたの知性を、きっと満足させてみせます!

◎こちらでも予約を承っております。どうぞご利用ください。

http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68311609&tr=t

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