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2009年4月23日 (木)

『薔薇族』の人びと・その7〜波賀九郎とおカマちゃんとの出会い

 波賀九郎さんは、1920年、兵庫県の姫路の近郊で生まれた。小学校3年生の時に父親が亡くなってしまった。

 母親が頑張って働いてくれて、中学校にも進学させてくれたが、中途退学してしまった。その後、満州に渡って、農業をやろうと考え、満蒙開拓団に入団して海を渡った。

 ところが波賀さんは、農業向きの体ではなく、どことなく都会的で、ひ弱な感じがしたので、満鉄の技術学校に入り、満鉄の社員になって、吉林の配属になった。

 終戦後、昭和23年に日本に帰国して、古里に帰り結婚もした。波賀さんの古里は、木材の産地でもあり、奥さんの叔父さんが村の有力者で、村長も勤め、顔も利くので、営林局にかけあってくれて、木材を払い下げてもらうことになった。

 その木材を、造船業を営む会社に売り込むことに成功したが、その会社の社長は、したたかな男で、僅かな手付金をくれただけで、後の払いは約束手形。手形がおちないうちに会社をたたんで社長はドロン。たちまち波賀さんは多額の借金を背負ってしまい、耐えられずに奥さんと、生まれたばかりの娘さんを実家に帰して、自分は夜逃げをしてしまった。

 そうした古里を捨てた人が行き着くところは、大阪の釜ヶ崎。そこで波賀さんはホームレスになってしまう。

 ホームレスが行き着くねぐらは天王寺公園。植え込みの周りにアスファルトの歩道があるが、昼間は焼け付くような夏の太陽を浴びているから、夜になってもアスファルトの歩道は、ホカホカとして、その上に眠ると気持ちがいい。そこに職のないホームレスが、ゴロゴロと寝転んで夜を過ごす。

 波賀さんは、30歳を過ぎたばかり。何日かしてホームレス生活も慣れてきた頃、天王寺公園の木立の下を歩いていたら、ひとりのおカマちゃんに声をかけられた。顔はお白粉で塗りたくられて、夜目でもお世辞にも美しいとはいえない。

 プロだなと思うから、金を取られると思ったけれど、一文無しだから怖いものはない。おカマちゃん、お酒を飲んでいるらしくて、ほろ酔い状態。ベンチに腰掛けて世間話を始める。「お金を持っていないのはわかっているよ」と、安心させてくれた。

 漫画家の冨田英三さん。昭和33年に「ゲイ」という本を出している。僕の先生みたいな人だ。冨田さんも関西出身の方で、その本の中にこんなことを書いている。

 「釜ヶ崎。大阪の南部、新世界から南へ、飛田廊へ通じる道の右手にひろがる、そこは名だたる貧民街だった。
 今でも、この辺りは、くもの巣のような路地と、どぶの街だが、昭和の前期は文字どおりに、落伍した人生のはきだめだった。
 流しの遊芸人、屋台店に細々と露命をつなぐ女、日雇い稼ぎの男、そうした暗い街だった。そして夜のそこは、よれよれの着物を着て、お化けのように白粉を塗りあげた、淫売婦と、男娼の巣でもあった。」

 さて、おカマちゃんと話し込んでしまった波賀さん、二人の仲はどうなるのだろうか。
                                                  (つづく)

Barazoku

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