「内藤ルネ 人形物語」を見に行こう!
どんなに長い年月をかけ、苦労をしてコレクションしたものでも、その人が亡くなってしまえば、後に残された人は売り払ってしまう。
骨董品でも、美術品でも、また愛好者の手に渡されて行く。その歴史の繰り返しだ。
小学館発行の内藤ルネ著「すべてを失(な)くして」に書かれているように、7億円ものお金を詐欺師に騙し取られ、千駄ヶ谷のマンションも失ってしまった。
ルネさんが集めた、アンティークのお人形など、その量はトラック1台分にもなった。それらを僕の女房の古里、新潟県の弥彦村にある土建業を営む兄の倉庫に運び込んだのだ。
10年以上も段ボールに詰め込んだまま、預かっていたが、何年か前に修善寺に小さな「内藤ルネ人形美術館」を建てたので、トラックで運び込んだ。
僕などは買い集めた骨董品など、ほとんど忘れてしまっているが、ルネさんは違う。「こんな人形が残っているはずだから探してくれ」と、何度か電話がかかってきて、探し出して送り返したことがあった。それほど買い求めた、お人形のひとつ、ひとつに愛着を持っていたのだろう。
人間、落ち目になってしまうと、そこから這い上がるのは大変だが、ルネさんは本郷の弥生美術館で開催した「内藤ルネ展」が大当たりをして、再び脚光を浴びることになった。
しかし、人形美術館はうまくいかず閉館になり、昨年、ルネさんは亡くなってしまった。悲しい話だが、あんなに愛情を注いでいた、お人形たちも、オークションにかけられ売られてしまった。
それらのお人形のいくつかは、渋谷のパルコの筋向かいの地下にある「マリアの心臓」のオーナーが買い求めて、5月16日から6月14日まで、「内藤ルネ 人形物語」が開催され展示されることになった。
僕も『薔薇族』の表紙絵として書かれた少年の絵を数点展示することにした。
僕は昭和7年の3月生まれ、ルネさんは11月生まれの同じ年だった。膝の痛みと前立腺肥大で、夜中に年度も目が覚めて、トイレに行かなければならない悩みを手紙で訴えたら、それの返事がルネさんから返ってきた。
ルネさんほど、心やさしい人はいないだろう。手紙には僕の名前の他に、女房の名前、息子の名前、息子の嫁さんの名前も必ず記されていた。
「ガマンするしかない、などと考えないでね。とにかく、とにかく、明るく、明るく考えてゆきましょうよ。ぜったいによいことが待っていると考えましょうよ。
そして何よりも文学さまには、たくさんの味方がソバにいるのですからね。うらやましいですよ。
オペ!うまくゆきますように祈っていますよ。気軽にゆきましょうね。そしてお互いに少しでも長生きしましょうね!」と、励ましてくれたルネさんが、先にあっけなく、あの世に旅立ってしまった。
年金が銀行に入ったというので、お見舞いにといって、3万円が封筒に入っていた。
僕のブログを見てくれている人たち。渋谷の「マリアの心臓」って、一度は見てほしい不思議な空間だ。1000円、入場料がかかるけれど、ルネさんが愛した人形たちをぜひ、見に来て下さい。きっとルネさんは、喜んでくれるに違いないから。
●渋谷駅から「パルコ」に向かって坂を登って行って、その筋向かいのビルの地下1階、エレベーターで下りると目の前。渋谷区神南1丁目20ー9ーB1・火曜日休館・電話03(3780)9818。
★ミカと僕との、仙台の七夕祭りに行く、満員のお客を乗せた夜汽車の中で出会いから、33歳で事故死するまでの15年間を綴った本が、いよいよ「彩流社」 から、今月発売される。タイトルは『裸の女房=裸でデビュー、裸で死んだ前衛舞踏家、伊藤ミカ』。定価は未定だが、6、7年の歳月をかけて書いた ものだ。なぜ、ミカは性をテーマに舞踏を創作したのか、なぜ、裸で踊ったのか、死後39年経ってぶちまけた話題作になることは間違いない。乞う、ご期待 だ!
☆お知らせ☆
このたび発売となりました「ヤマジュンTシャツ」をお買い上げいただいた皆さんに、製品の取扱いに関するお願いをさせていただきます。
(1)シルクスクリーンのプリントは熱に弱い為、乾燥機やアイロンの使用はお避けください。
(2)洗濯時は裏返して洗っていただくと日持ちがよくなります。
という注意書きが製作業者のほうより来ております。どうぞ皆様、この2点にご注意のうえ、末永くご愛用ください!
★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。〒155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学
★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。
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