僕の心をいやしてくれる小公園が?
今、僕が住んでいるマンションは、8階建てで茶沢通りに面している。30数年前に560万円で購入した、古いマンションだ。僕の部屋は、通りの反対側の2階だから、車の騒音はほとんど聞こえず静かだ。
購入した頃は、窓の下はどぶ川だったが、今は暗渠になり、美しく整備された遊歩道になっている。その向こうは斜面を利用した小公園なので、窓を開けると、緑が広がって、四季それぞれの花が咲き、目を楽しませてくれる。
わずかな平面の部分には、丸いベンチらしきものが2つ設置されている。1日に何度もベランダに出て、我が家の庭のような小公園を眺めると、心がいやされる思いがする。
ところが最近、この丸いベンチに座っている人が、気になり始めた。昼間っからベンチに座っている若者、20代後半ぐらいだろうが、なぜかいつも向こう向きで、その丸い背中が妙に寂しい。
もうひとつのベンチにリュックサックを置いている。何を考えているのか、かなり長い時間、同じ姿勢で座ったままだ。
仕事がないのか、うつ病なのだろうか。ベンチに座っている人って、みんな後ろ向きで寂しげな人たちばかりだ。
このベンチに座っている人の写真を撮り続ければ、写真展を開けるかもしれない。今の暗い時代を象徴している、2つのベンチのように思えるからだ。
失業者が増え、自殺者も増え、心を病む人も増え続けている。『薔薇族』の読者も、内向的で気の弱い人が多いから、うつ病の人が多い。自殺した人も何人も知っている。
僕は無宗教だが、新潟の美術館で知り合った女性が、わざわざ僕に会うだけのために、新幹線に乗って訪ねて来た。
7月にある都議会議員選挙のために、ある候補者を応援してほしいということだった。信仰を持つことは悪いことではないだろう。人間って弱いから、何かにすがらなければ生きられない人もいるからだ。
僕も、曹洞宗が経営する世田谷学園、駒沢大学で学んだから、宗教的な雰囲気の中にいたことは良かったと思っている。
この小公園、「世田谷区立・代沢草の丘広場」と、小さな看板があり、もっと小さく、ほとんど目につかない看板には、なんと「Kampo・簡易保険資金融資施設」と書いてあるではないか。
あの無駄遣いした簡保の宿よりはましだが、僕の心をいやしてくれている小公園が、Kampoで造られたとは。複雑な思いにさせられてしまうではないか。
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