アメリカも日本も、ゲイ解放の道程は遠い?
毎日新聞(2009年7月21日・朝刊)に「変革の芽・オバマのアメリカ」という連載があって、その⑤に「人権巡る闘い 今も ストーンウォールの反乱 40年」とある。
「若手芸術家の街、ニューヨーク・グリニッジビレッジに同性愛者が集うバー〈ストーンウォール・イン〉がある。
外壁には〈誇りはここから始まった〉と書かれた小さな張り紙。40年前の69年6月28日、警察の取り締まりに、同性愛者たちが抗議し、逮捕者まで出た、権力への抵抗を記念する場所だ。
同性愛者の権利保護に取り組むジム・フラットさん(68)は、当時現場に居合わせた。『あのころの私たちは、人権を認められないことに不満を感じていた。それが爆発した』。
当時は米国のほぼ全州が同性間の性交渉を法律で禁じ、同性愛者を理由に職場解雇や、不動産の賃貸拒否も相次いだ。同性愛者は警察の監視の目を気にしながら、酒を飲んだという。
フラットさんによると、店にいた女性がパトカーを壊したのをきっかけに、同性愛者たちが店内や、周辺道路で暴れ出した。結局、13人が逮捕され、翌日、同性愛者はプラカードを掲げ、自分たちの権利を主張し始めた。
60年代後半、米国ではベトナム反戦運動や黒人の公民権運動が燃え盛った。そうした社会風潮もあり、、〈ストンウォールの反乱〉以降、同性愛者も権利獲得運動に目覚め、70年、ニューヨークで初のゲイ・パレードを開催する。その動きにニューヨーク州は80年代になり同性愛者への差別を法律で禁止。」(後略)
「ストーンウォールの反乱」から40年。その後のニューヨークは、どう変わったのか。同性愛婚の問題も07年に同性婚法案が下院を通過したが上院が否決。今も成立は微妙な情勢のようだ。カトリックやユダヤなどの宗教団体が反対しているからだ。
「今でも私たちに対する偏見は残っている。闘いは終わっていない」と、同性愛活動家のベリー・プラスさん(61)は語っている。
オマバ大統領に「変化」を期待しているようだが、オバマさんもクリスチャン、宗教的な問題が絡んでくると難しいのだろう。
日本では、「ストーンウォールの反乱」から遅れること2年、1971年の7月に、日本初の同性愛専門誌『薔薇族』が誕生した。アメリカとの違いは、権力に弾圧されて、それに反発して反乱を起こしたこととは違うことである。
日本はカトリック信者も少なく、仏教も、神道も、同性愛に対しては寛容だ。権力も同性愛者に対して、ことさら弾圧することもない(今のところ)。そうなれば同性愛のひとりひとりが自覚して、問題を解決すべきだろうが、ひとりでの力は弱い。みんな団結しなければ問題は解決しないのだが、それも無理のようだ。
僕は創刊号にこんなことを書いている。「日本のホモたちはあまりにも暗すぎる。彼らを呼ぶ隠花植物という言葉が、あまりにもふさわしいのだ。
なんとしても彼らを明るいところへ、陽の当たるところへ連れ出してやりたい。男が男を愛するということ、どうしても女性を愛せないのだから」。
『薔薇族』の同志だった内藤ルネさんが亡くなったとき、ルネさんと40年以上も一緒に住んでいた藤田竜さんが、ルネさんのことを「友人」と呼んだ。そういわざるを得なかったのだろうか。30数年も『薔薇族』を共に出し続けて来た同志の竜さんの言葉。
こんなに寂しい言葉はなかった。日本もまだまだ変わっていないのだろうか。
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