大原麗子さんの孤独死に思うこと。
「孤独死」なんという寂しい言葉だろう。『薔薇族』の読者は、結婚をしないで生涯、独身生活を送る人が多いから、年老いて孤独死する人が多い。
我が家には電話が2本ある。03・3421・5462番の電話は、親父が戦後、第二書房を創立した頃から使っている。『薔薇族』を創刊した時から、この電話番号は奥付に記されているから、今でも古い『薔薇族』を引っ張り出して、電話をかけてくる人が時々いる。
20代、30代に『薔薇族』と出会った読者も今では50代、60代になっていると思われる。地方から電話をかけてくる人がほとんどだが、僕みたいにネットを使えない人たちだ。まだ文通欄が載っていると思っている。
「時代が変わってしまって、文通なんて時代遅れで、ネットを使わなければ、相手を見つけられないんですよ」と言うのだが、「友達が欲しい、話し相手が欲しい」と訴えられても、今の僕にはどうにもしてあげられない。
地方に住んでいて、一人暮らし。親族とも付き合わない。一日中、しゃべる相手がいない人もかなりの数になっているのでは。
女優の大原麗子さんが自宅で孤独死されていた。大原さんと僕との出会いがなければ、ただ、かわいそうにと思うだけだろうが、大原さんは2、3度、我が家に訪ねて来たことがあったのだ。
1984年に歌手、森進一と離婚した際に「わたしは台所で家事をするより、台本を読んでいる方が好きなんです。家に男が二人いたんです」と発言したことが反響を呼んだ。
この言葉をどのように受け取るべきだろうか。森進一は家庭的な奥さんを望んでいたのだろうが、大原さんは家事よりも仕事をということだが、もう少し深く考えてみると、大原さんは、外見から見ると、いかにもやさしく女らしく見えるが、内面的には男の部分を多く持っていたのでは。
弟さんがいるようだが、おそらく大原さんは長女だったのでは。一姫二太郎のような家族構成だと、長女は男っぽくなるし、弟は女性的でやさしい感じになってしまうことが多いと思う。
大原さんがかつて下北沢の北口に、僕が経営していた喫茶店「イカール舘」にも来られたが、大原さんはフランスのアール・デコの時代に活躍した画家、ルイ・イカールが好きだったからだ。
大原さんは一人で来られたのではなく、ゲイ・バアの「Y」のママと連れだって来られたのだ。「Y」のママが森進一と大原さんを紹介したのかもしれない。
「Y」のママは、美川憲一さんとも親しく、ロサンゼルスにも二人でよく旅行していたようだ。
美川憲一さんもルイ・イカールのエッチングがお好きなようで、イカールの絵をコレクションされている。
イカールのことを僕は「巴里の夢二」と呼んでいたことがあったが、巴里の美女を好んで描いた画家で、イカールはゲイだったのでは。
男性のゲイの場合は、行動を起こせば相手を見つける施設もあるし、発散する方法はいくらもあるが、女性の場合はそうはいかない。
レズバアの数も少ないし、理想の相手を見つけることは難しい。自分の欲望をストレートに出せないから、どうしても気持ちが内向して暗くなってしまう。
大原さんは難病を患っている上に、うつにもならざるを得なかったのでは。一人で暮らしていてどんなにか寂しかったことか。
テレビプロデューサーの「I」さんも、大原さんの死を聞いて号泣したとか。女性ももっとオープンになれないものだろうか!
★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。〒155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学
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コメント
女性はまずオープンは無理です。
男性より勘が良く、相手の思念を読む事に、長てますからね。
周囲にはまず、理解されないでしょう。残酷な言葉の暴力と、相手の裏切りを
経験する事になります。
正気を保ってられる人は、まずおられないでしょうね。
奇病を貰ったり気の病を、発病するのが落ちです。
やはり同性間の正式な、婚姻制度が制定される
べきですね。
投稿: 桃ちゃん | 2009年9月 2日 (水) 18時01分