« 伊藤文学〜第1回「やらないかの集い」 | トップページ | 純喫茶は生き残れるだろうか? »

2009年9月22日 (火)

天井が抜けて、人が次々と落ちて来た!

 9月8日は親父が86歳で亡くなった命日だった。すでに18年という年月が過ぎ去っている。72歳で脳軟化症で倒れてからは、母の介護が続いていた。

 手押し車を母が押して、毎日のように訪れていたのが、純喫茶の「邪宗門」だった。店主の作道明さんは、富山県の高岡市の生まれ、高校を卒業して、創業者の青井忠治さんが高岡市の出なので、上京してクレジット(当時は月賦の)「丸井」に就職した。

 「丸井」に長く勤め、退職時には吉祥寺店の副店長だったが、職場結婚した奥さんの実家に建てていた自宅を改装して、喫茶店を始めたいと言い出したが、奥さんは「丸井」を辞める理由がわからない。絶対に反対というのを押し切って「邪宗門」を開業した。

 「邪宗門」は、明治の文豪、森鴎外の長女の作家、森茉莉さんが通いつめた店として、知る人ぞ知る有名なお店だ。

 僕の親父とおふくろが生前、お世話になった「邪宗門」なので、最近はどん底生活の僕はコーヒー500円のお店は、たまにしか立ち寄らないのだが、親父の命日なので寄ってみた。

 平日の夕方ということもあって、客はひとりしかいなかった。作道さんが見せてくれた雑誌「ぎょうせい」刊行の『税』64巻第7号と第9号、そこに営業コンサルタントの前田孝夫さんが書かれた「撤収マン講座・トップセールスマンに見る=挫けない男たちの物語」が2号に渡って「邪宗門」を紹介する記事が載っている。

 『税』という雑誌は、64年の歴史を持つ雑誌で、税務署の人とか、税理士さん、会社の経理担当の人が読む雑誌で、一般の人には目に触れない雑誌だ。

 ところが前田孝夫さんの「挫けない男たちの物語」は、読んでみたら実に面白く、一般誌に載せて、多くの人に読んでもらいたいような読み物なので、その一部を紹介してみたい。中野駅前の「丸井」で、作道さんが働いていた頃の話である。

 「戦前から建っていた古い、木造二階建ての店舗は、ボロっちい建物だ。
伊勢丹と比べものにならない店舗だったが、『伊勢丹で売っているのだから、うちでもと扱うことにした』のが、当時の〝夢の機械〟であったテレビである。
 一般サラリーマンの年収の数倍という、テレビ受像機を買うのは、お金持ち、その他、客寄せに使うためのそば屋や喫茶店など。
 駅や繁華街などに街頭テレビが設置され、そこにはいつも人だかり。『丸井』にもテレビがある、それだけで凄い宣伝になった。
 そのような時代に作道さんは、入社2年目。昭和29年、戦後、ニッポンの大ヒーローである、ボクシング世界チャンピオン、白井義男の4度目の防衛戦(対戦者はレオ・エスピノザ)がテレビで放映された。
 『丸井』中野本店2階に60名以上のお客様が殺到し、売り場は両者の打ち合いに歓声を上げて興奮して足を踏み鳴らしていた。そして、第3ラウンドの開始直後に床が抜け落ちたのだ。
 一階の紳士売り場にいた作道さんは、次々と落ちてくる人を目の当たりにしたのであった。すぐに救急車を要請、一方で社員も救急に全力を尽くし、手分けをして近隣の病院にケガ人を運び込んだ。
 オート三輪の荷台にケガ人を載せ、作道さんが行った先の診療所では、『うちは産婦人科だぞ!』と怒鳴られたが、手当はしてくれたそうだ。」

 そんなことがあって、社員一丸となって頑張り、その後、伊勢丹の真ん前に進出したのだ。僕も下北沢の「丸井」で若い頃、家具を月賦で買いそろえたが、我が家の前に「丸井」のクルマが停まると、気恥ずかしかった思い出がある。

Photo喫茶「邪宗門」とマスターの作道明さん


●「邪宗門」世田谷区代田1-31-1 ☎03(3410)7858 木曜日定休

★伊藤文学〜第1回「やらないかの集い」
 山川純一君が残してくれた、呼びかけの言葉「やらないか!」。これはエッチな言葉ではなく、日本中の人たちが、うつむき加減で、元気をなくしている今の世の中。元気を出して行動を起こせと呼びかけているのではなかろうか。
 
 1971年、日本で最初の同性愛者に向けての雑誌『薔薇族』を創刊した伊藤文学と熱く語り合おう!
 
 すべて日本で最初の仕事を次から次へと実行した男。男性ヌードの写真集、少年の写真集、ビデオの製作、「薔薇と海と太陽と」「白い牡鹿たち」「愛の処刑」などの映画の製作。同性愛の世界をリードし続けた35年を語ります。ぜひ、みなさんでお出かけください。

日時:9月28日(月曜日)夜7時から9時
場所:下北沢南口「ONE LOVE BOOKS」
会費:1000円(ワンドリンク付き)

〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-1-3
       ☎03(3411)8302

★下北沢の改札を出て、左の階段を降りる。南口商店街を5分ほど歩くと、右側に「餃子の王将」があり、その前の「膳場八百屋」の横を左に曲がると4、5軒目。「足立屋酒店」の前。

|

« 伊藤文学〜第1回「やらないかの集い」 | トップページ | 純喫茶は生き残れるだろうか? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101967/46277012

この記事へのトラックバック一覧です: 天井が抜けて、人が次々と落ちて来た!:

« 伊藤文学〜第1回「やらないかの集い」 | トップページ | 純喫茶は生き残れるだろうか? »