信用金庫は庶民をいじめる悪代官か?
民主党に政権が変わって、亀井静香・金融郵政改担当相が、中小企業向け融資や住宅ローン返済を3年程度猶予する法案を提出するという。
今まで自民党の議員で、こんなことを言い出す人はいなかった。いろいろ問題はあるようだが、弱い者の味方になる大臣が現れてきたことはありがたいことだ。
地元の信用金庫は弱い者の味方のようなことを言ってきたが、内情は高利貸しより悪らつと言っていいだろう。
僕は水戸黄門をテレビでいつも見ている。悪代官が懲らしめられる話しは、見ていてすかっとするからだ。
平成5年11月に女房の古里の新潟県弥彦村に「ロマンの泉美術館」をオープンさせたが、そのための建設資金は地元のS信用金庫から借入れ、その担保として50坪の土地と家が当てられることになった。
借りてお金を返せなくなったのも悪いが、貸す方にだって責任が全くないとは言えない。当時の支店長は定年で辞められて、孫が生まれたと年賀状をよこしている。
利子が高すぎると何度も貸付係に頼んだが、のらりくらりと下げてはくれなかった。10年間は何とか月に100万円返済し続けたが、雑誌は廃刊し、収入がなくなってしまってからは地獄だった。
会社の経理は次男の嫁が担当していたので、貸付けの窓口に行くたびに脅かされる。3ヶ月滞納したら、家を取るぞと言われるものだから預金を全て吐き出し、生命保険も解約、それでも払えなくて親族から借りた。これだって限界はある。最後は僕ら夫婦と息子夫婦が100万円ずつのローンを無理矢理組まされた。それで4ヶ月分は返済したが、それで終わりだ。「どっちにしたって返せなくなるのだから返済するのを止めろ」と何度も嫁に言ったけれど、僕に悪いと思ったのだろう。75年も住んでいた家と土地を取られるのだから、最後まで嫁は持ちこたえてくれたが、もうどうにもならなかった。
後で知った話しだが、65歳以上の老人はローンを組めないというのに、なぜか70を過ぎた僕にもローンを組まされた。
僕は家がなくなっても、ああ、なくなったなとしか思わなかったが、女房はこたえたようだ。3階建ての言えから6畳2間のマンション暮らしになってしまい、そのストレスから十二指腸潰瘍の手術を受けることになってしまった。それからは太れなくなって、今では骨と皮の状態だ。
そんなことがあっても、僕らは何とか乗り越えて暮らしているが、最近、ショックな話を聞いてしまった。
S信用金庫のそばに建つ7階建てのマンション、このオープニング・パーティに出席した時に、この建物の設計者のSさんと出会い、Sさんに「ロマンの泉美術館」の設計を依頼してしまった。
このマンションの竣工が平成5年の2月、美術館のオープンが11月、とんとんと出来上がってしまった。
やはりS信用金庫から多額の資金を借りて建てたのだ。
このマンションのオーナーのIさんと僕の女房が街で出会ったら、「大変なことになっている」とぼやいていたそうだ。
それからまもなくの9月の地元の八幡神社の祭礼の頃、Iさんの奥さんがマンションの屋上から身を投げて自殺してしまった。マンションの部屋の借り手が少なくなって、計算通りに返済ができなくなってしまったのを苦にしてのことだろう。
支店長がひょこっと顔を出して転勤になるということを告げにきた。
この支店のお客さんの会の会長を、僕は20年ほど勤めたが、年に一度の総会のおりには理事長が出席して、「S信用金庫は今年も何十億もの利益を出している」と自慢げにしゃべっていた言葉が妙に記憶に残っている。
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コメント
初めまして。
信用金庫の話を読んでいると、本当に悪代官のようですね。
怒りさえ覚えました。
利益のためなら、何でもするのか!と言ってやりたいです。
投稿: ペット迷子保険 | 2009年10月30日 (金) 00時22分