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2009年11月10日 (火)

ついに『薔薇族』を買っちゃった!

 本当は未成年者に買ってもらっては困る雑誌なんだけど、中学生、高校生の読者も多かった。

 当時はネットなんてものがなかった時代、その頃の中・高生は手紙で、文章も上手だった。山形県の浪人生から送られてきた手紙。

 「聞いてください。ついに、ついに買ったのです。今までいつかきっと買うぞと心に決めていながら、表紙だけチラッと見ていた『薔薇族』を、今日こそついに手に入れたのです。おおげさのようでも、本当の話なのです。
 今日、学校の帰りに、いつも寄る本屋と違う本屋さんに行って、蚊の鳴くような声で(本当はちゃんと声を出したつもりだったのだけど、出てなかったみたいです)、『あのう、これください』と言って、『薔薇族』を店員さんに差し出したときの気持ち。本当にカーッとなって、千円払ってお店を飛び出しました。なんとなくバカみたいですけど、初めて買うんだもの、ただひたすらっていう感じです。だけど千円はちょっとばかりきつかったなあ。僕のような貧乏学生には(正確には浪人生)、千円は大変な大金なのです。でもぐちはよしましょう。夢にまで見た『薔薇族』が目の前にあるのではないの。
 家に帰る時の足取りの軽いことといったら、大雪もくそくらえ。部屋の中にいちもくさんに駆け込み、カバンの中から取り出す時、思わず震えてしまったりして。そのとき階段をトントン上る音がして、おばあちゃんのお出まし。『ワッ!』と思ってカバンの中へ、急いで隠して一安心。
 『このクソババア、なにしに来やがった』と内心思いながら、うわべは平静を装い、『なにか用?』『ウン、ちょっとつけものの石とってけろ!』
 つけもの石を物置から取って来て、『ばあちゃん、勉強してっから二階さくんなよ』と言って、またバタバタと二階へ。
 やっと落ち着いてみられる。再度カバンの中から取り出し、しみじみと表紙を眺めながら、『ああ、ついに買えたのだ』と、涙を流さんばかりに感激して、持つ手はまたも震えが止まらなかった。
 それにしても表紙の人はなんと美男子であることか。『絵に描いたような』とはまさしくこのことであろうか。
 今更ながら自分の顔のアンバランスさが気になり、鏡の前で見比べると、みじめになったり絶望したり。しかし、コノオ!こんな美男子がいるものか、男は心だとひらきなおって表紙をめくると、刺青をしたお兄さん。これまたすごい。さぞかし痛かったろうと思いながら見ていくと新発見。刺青とはマジックで書くものなのでしたか。
 ああ、僕はなんというカンちがいをしていたのであろうか。なんとオロカシイことか。でもホンモノなのかなあ?
 全体的に明るくて、思ったより真面目で、そうして真剣に考えているところがあって、単なる雑誌じゃないような気がしました。」


 こんな思いをして、初めて手にする雑誌なんて、世の中にそうあるものじゃないから、作り手としてはこんなにうれしいことはありません。
 
 この浪人生、翌年には大学に入れたのだろうか。マジックで刺青を描く老人、高倉健の身体にも刺青を描いた有名な人、もうとうにこの世にいないけれど、我が家の座敷で、何時間もかけて刺青を描いてくれたのを思い出す。

 浪人生、今頃はいいオッサンになっていると思うけど、どんな人生を送ってきたのだろうか。みんな幸せになってくれているといいのだが。

★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学

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