バイロス展は再び6月に!
銀座の松坂屋の裏の「ヴァニラ画廊」での「バイロス蔵書票展」が、1週間の会期を終えた。
2月6日(土)の夕方から『西洋蔵書票』の著者でもあり、日本書票協会の会長の内田市五郎さんを招いてトークショーも催された。
内田さんの奥様も来られたが、バイロスなんて日本で知名度の低い画家の、それも蔵書票という聞き慣れない言葉の展示会に、誰も来ないのではと心配されていた。
それがなんと若い女性が多く、会場いっぱいに集まってくれた。バイロスなんて美術史にも登場してこない画家、ほとんどの人が目にしたこともないというのに。初めて見た人はバイロスの不思議な魔力に取り付かれてしまうだろう。
蔵書票にはエロチックな作品は、ほとんどないが、1911年に出版した創作画集『化粧台物語』が、ワイセツ罪でミュンヘン警察から告訴されて、一時、海外に逃亡していたことがあった。彼はそのことを気にして「私は美以外に仕えたことはなかった」という一文を書いている。
「(前略)ポルノ画家という烙印が私につきまとい、まじめな考察の完全な欠如と芸術創造の本質に対する徹底的無知にもとづいて、たえず私を世間のあざけりにさらして楽しんでいる愚かな批評家たちによって再三再四、この名称が持ち出されるのである。
私はあえて公言し、『最後の審判』の日が来るまで主張し続けるであろう。私は美以外の何者にも仕えたことはなかったと」
6月、再び「ヴァニラ画廊」に蔵書票以外のバイロスの作品が多数展示される。もちろん『化粧台物語』の作品も。
果たしてバイロスはポルノ画家なのか、あなたの目で確かめてほしいものだ。
バイロスの研究者でもあった神戸在住の、今は亡き山本芳樹さんは、読売新聞社発行の『アール・ヌーボー・アールデコ』(1991年3月発行・第5集)に、こんなことを書いている。
「ロココの艶治な装飾性と優美なアール・ヌーボーの憂愁感を兼ね備えた耽美幻想の世界を精緻に描いた彼の作品は、エロス的な題材をテーマにしても、優雅で気品を漂わせた見事な出来映えである」
読売新聞社では、ムックで『アール・ヌーボー・アール・デコ』を次々と出版していた。この他に『西洋骨董』のタイトルでも。これらの雑誌の中には多くの画廊、骨董店の広告がたくさん入っている。
他にも学研から出ていたし、他の雑誌でも西洋骨董などを取り上げることが多かった。それらを読んで、愛好者、コレクターの裾野が増えていた。それが今では、このような雑誌がまったく無くなってしまっている。
不景気とは恐ろしい、すべてを萎縮させてしまうからだ。せっかく政権が変わって明るい兆しが見えてきたというのに、今度は政治とカネの問題だ。
僕のブログには政治の話は出てこない。しかし、マスコミはあまりにもひどすぎる。新聞もテレビも、そして週刊誌はなおさらだ。
鳩山さんと小沢さんをたたかないと、新聞も週刊誌も売れないから、あることないこと書き立てる。それに国民も影響されて、鳩山内閣の支持率が下がるなんて情けない。冷静になって民主党を見つめなければ。まだ政権を取ったばかりなのだから。
脱線してしまったけれど、6月にバイロスの作品が、再び「ヴァニラ画廊」に登場するから、バイロスの作品を支持するか、しないか、僕は見てくれればバイロスの支持率が圧倒的に増えると信じている。とにかくバイロスの作品は凄いということだ。
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