長谷川サダオの住んでいた部屋自体が作品だ!
『薔薇族』誌上で活躍してくれた、男絵師の長谷川サダオ君のことを覚えてくれているだろうか?
長谷川君がタイのバンコクのホテルで自殺してしまったのが、1999年の11月のことだったから、もう11年になる。時の流れって早いものだ。
僕は長谷川君のアパートの部屋を一度も訪ねたことはなかったが、カメラマンの木村健二君が長谷川君の部屋を訪ね、トイレの中や室内の写真を撮り、対談記事を書いている。
1982年(昭和57年)発行の『薔薇族増刊号・春号』に、「男が匂う幻想空間・特異画家・長谷川サダオの世界」のタイトルで写真が掲載されている。
トイレの中にも彼の好みのお宝が、所狭しと置かれている中に三島由紀夫の写真も飾ってある。
自殺したホテルの部屋にも、卵型の石に描いた三島由紀夫の肖像画も置かれており、遺体を引き取りにいったお兄さんの話だと、部屋はきちんと整理され、ホテルの従業員の語るところによると、日本のサムライのような死に方だったという。
確か亡くなったのは、三島さんが自決した11月25日頃だったろうか。彼は代々木の競技場に中にあるジムに通って身体を鍛えていた。
彼は年齢を誰にもあかさなかったが、50歳はとうに過ぎていたろうから。三島と同じように衰えてく身体を見たくなかったのだろう。
「ーーあれっ、テレビやラジオがないけど、どうして?
<H>僕は今の物質文明に逆行するような生き方が好きなんだよね。〝耽美的反時代的生活〟とでもいうのか、ナチュラルな生き方を求めているし、テレビに代表される情報というのは、ときとしては凄い弊害となることがあるから。
僕の仕事には、その情報は必要ないし、新聞もとってないし、もちろん洗濯機などという電機器具もないけど、不自由に思ったことはないね。
ーー食事はどうしてるの?
<H>全部外食ですませちゃってるよ。僕は〝外セン〟と言ってるんだけど、料理を作るスペースもないし、それに食い物なんて置いていると生活っぽい匂いがして、絵のイメージがわかんないんだよね。理想は仙人みたいな生き方がしたいんだけど・・・・・。(後略)」
彼は暇さえあればバリ島やタイに行ってたみたいだけど、良いときにあの世に行ってしまったのかな。今の時代、生きていたら彼にとっては、とっても耐えられないだろうから。
もう二度と長谷川サダオのような男絵師は現れることはないだろう。
イギリスで発行された長谷川サダオの画集は、日本人よりも海外で高く評価されている。僕が訪れたアメリカのロスの本屋でも飛ぶように売れていた。
28年前に出された増刊号の部屋の写真、貴重な写真と言えるだろう。
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