定価60円の時代の「平凡パンチ」に
今どきの若者に、ちょっと古い話をして、その当時、、活躍して有名だった人の名前を言っても、「そんな人知りません」と言われてしまう。
42年も前の昭和43年10月28日号(1968年)の「平凡パンチ」が出てきた。その中に「若者のための『派閥』案内」という特集が組まれていて、前書きにこんなことが書かれている。
「<派閥>があるのは、政界だけではない。現代を代表する九つの分野。ここにも<派閥>はある。
もし、いま、キミがどれかの分野を目指そうとしているなら、基礎知識として、これだけの<派閥地図>は知っていなかればならない。」
九つの分野に分かれていて、すべての分野で活躍している人が紹介されているが、短い紙数では書ききれるものではない。
42年も経っているのだから、すでに他界している人も多く、現在も活動を続けている人は数人しかいない。
①前衛・アングラの項目には、こんな人たちが紹介されているが、僕も知らない人もいる。
「前衛演劇集団でいちばんハデな活動をしているのが発見の会。主宰者は瓜生良介氏。
自由劇場の主宰者格は佐藤信氏。
マスコミによく取り上げられている<愛奴>を何度も上演しているのが人間座。主宰者は江田和雄氏だ。
ベケットなんかを上演するのが黒の会。主宰者は長崎稔郎氏。
日本のオトナたちを嘆かせたのは劇団駒場。リーダーの芥正彦氏は東大生。
寺山修司センセイの劇団はかの有名な天井桟敷。唐十郎の状況劇場。
状況劇場の四谷シモンの女装はバツグン。
ハプニング集団で現在活躍している集団としてはゼロ次元と告陰の二つのグループがある。主宰者は加藤好弘氏。
舞踏ではガルメラ商会一派が有名だ。スターはなんといっても土方巽氏。その先生が大野一夫氏。
前衛舞踏の女性派は邦千谷女史。この千谷女史の弟子が、ビザール・バレエ・グループの伊藤ミカ嬢。ミカ嬢は先日<O嬢の物語>で全裸になった。これらの前衛舞踏家は、全員ハダカになるのが好きである。いま日本でいちばんエロチシズムとっ密着しているグループといえよう。
前衛映画ではなんといっても金坂健二氏。前衛音楽では一柳慧氏のグループ音楽の集団がある。一柳慧氏の前妻は、ビートルズのジョン・レノンの奥さんの小野洋子さんだ。
赤坂のMUGEN、大阪のアストロメカニクールで大当たりの浜野安宏氏。
宮井陸郎氏が監修した銀座のキラー・ジョー。
最近できた赤坂のスペース・カプセルは黒川紀章氏の設計。一柳慧氏、栗津潔氏などがデザインしている。スナックでは高松次郎氏が新宿のカッサドールをデザインし好評であった。」
多くの人の名前が登場しているが、今どきの若者が知っているのは寺山修司氏と唐十郎氏ぐらいでは。
1960年代、あの時代の輝きはなんだったのだろうか。週刊誌の見出しに「日本経済はこのまま死ぬのか」「韓国に負けてどうすんの!中国にバカにされて恥ずかしくないの」
なんとも情けない話ではないか。もう一度あの活力があふれていた時代を取り戻そうではないか。
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