キスシーンも本当にやったのだ!
話題のテレビ・ドラマ『同窓会』の細野英延さんの撮影秘話は、これからが面白い。細野さん、もう17年も経っているのだから、定年で退職されておられるのだろうか。
「〝シャワーを浴びているA君、水飛沫、全裸である〟というト書き。男の全裸シーンというのは初めてであり、役者のA君も初めてである。さっそく前張り(局部のみをかくす)が必要で、スタッフのT君が『前張り担当』になった。
T君は研究の末、一枚のタオルで二個の前張りを作ることに成功した。タオル地は俳優さんの大切なトコロを守るためにいいとのことである。
T君はタオルを三角形に折り、さらに野球のホームベース状にしてから、ガムテープで形を整えるんだと説明してくれた。
T君の力作の前張りで、A君は全裸のシャワーシーンを撮影し、実にきれいな影像で大成功であったが、事件はその直後に起こった。
前張りをはがそうとしたとき、A君は『ギャーッ!』という悲鳴を上げて涙さえ浮かべている。
犯人はガムテープだった。シャワーを浴びても取れないように張った強力な粘着力のガムテープは、A君の陰毛にばっちりと張り付いていたのだ。前張りとともにかなりの陰毛が抜けてしまった。
『痛いなんてもんじゃないっすよ。これは』と涙ながらに訴えるA君。『軟膏を持ってきます』と走る製作者のT君。それからT君のポケットには、『擦り傷、切り傷に効く軟膏』が常に入っていた。
B君は前張り初体験である。戸惑いと恥ずかしさ、珍しさのためか、興奮気味に前張りだけの全裸にバスローブを羽織って、スタジオの廊下を走り回り、知らない人の前で『ワーッ!』と言ってバスローブの前を開けたのだ。魅せられた人はびっくりして目のやり場に困っていた。そんなイタズラも警備員さんに見つかって厳重な注意で一件落着。
C君の場合は、寒さの厳しい深夜のロケーションである。風邪を引いたら大変だから、C君にカメラアングルで隠すから大丈夫だと言ったのだが、『いや、僕は前張りでやります!』と張り切っている。
そんなC君のことを作家の井沢氏に電話したところ、『風邪を引かないようにホカロンの前張りでやってほしいとC君に伝えて下さい、アッハハハ』
これは良いアイデアだと前張り担当のT君に伝えたところ、『それはダメです。ホカロンで大切なところをヤケドしたら、どうするんですか!』と叱られてしまった。幻の前張りホカロンに終わってしまった」
男同士のキスも本当にごまかさないでやったそうだ。
「撮影開始ーー映像は実に美しいものとなり、厳粛な雰囲気のシーンになった。テレビ界で初めてのシーンであるばかりか、男と男の愛を表現できたと確信した。A君とB君に心からの拍手を送った。
社会現象となった『同窓会』ーーそれは作家・井沢満氏の描く文学の世界へ、出演者、スタッフが一丸となって入り込んでゆき、苦しみながらも全力投球した結果、成功したのだと思っている。」
17年も経っても、この作品を越える作品は生まれない。それだけ、この作品が輝いているということだろう。
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