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2010年7月16日 (金)

びっくりした話

 『ビックリハウス』の創刊号が見つかった。1975年1月30日、(株)パルコ出版から刊行されている。今から35年も前の雑誌だ。

 編集部には、荻原朔美さん、榎本了壱さん、高橋克己さん、伊藤信さん、石黒教子さん、石渡久美子さんの6人が名前を連ねているが、その中の荻原さん、榎本さんとは面識がある。

 榎本さんとは、団鬼六さんの出版記念会の折りに声をかけてくれて知り合った。

 荻原さんのお母さんの葉子さんは、下北沢の「イカール館」にもよく来てくれた。荻原さんとは、榎本さんの個展の席でお会いすることができた。

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 創刊号の特集は、「君の窓から地球は見えるか」だ。

 僕も窓が大好きだ。『ビックリハウス』が創刊された頃だったろうか。青山の西洋骨董品店で、ひとめぼれして買ってしまった銅版画がある。焦げ茶色で写真のように精密に描かれている。

 気品を感じさせる美少女が、椅子にもたれて何を見ているのかはわからないが、庭を見つめている。その足下には毛深い大型犬が静かに目を閉じて横たわっている。

 静寂な時間が静かに流れているのが感じ取れる良い絵だ。

 「窓ふきオジさんの話」という小さな記事が載っている。阪本武男さんという方の話だ。

 「いやあ、最近のビルはどいつもこいつも高くてねえ。京王プラザの上なんか風は吹きやがるし、道路なんかかすんじまって見えやしない。。へたして落ちてしまったら、こっちはおだぶつだからなあ。
 こんな辛気くさい商売、何が楽しみかって、そりゃ他人様の部屋を覗けるくらいだよ。移動のときに使うゴンドラってやつが、全く音がしないときてるから、たいていの人は気がつかなくてね。この前なんかホテルの窓やってたから大変よ。やめるかと思ったら、ちゃんとブラインド降ろしにきたからな。(後略)」

 窓ふきといえば、僕も学生時代にアルバイトで窓ふきをやった経験がある。僕の大学時代は、戦後間もなくの昭和23年から27年ぐらいまでのことだ。

 同じ街に窓ふき専門の親分がいた。その時代は物資のない時代で、下北沢の駅前には闇市があって、進駐軍(アメリカ軍)の横流しのガム、チョコレート、紅茶、コーヒー、缶詰、石けんなどが売られていた。

 進駐軍のものと言えば、何でもありがたがられていた時代だ。窓ふきの親分は、ブリキの大きな石けんが入っていた空き缶に進駐軍の石けんだと偽って磨き粉を入れて使っていた。

 当時の銀座界隈のレストラン、喫茶店の建物は、ほとんどが一階で、せいぜい二階建てだ。高いビルなんて少なかった。

 5、60軒、お得意さんを待っていると、次から次へと窓を拭いても、また、すぐに汚れてしまう。いくらで請け負っているのかわからないがいい商売だ。

 銀座の四つ角の「三愛」は、二階建てで窓を拭いたことがあったが人通りも多い。知っている人に見られやしないかと恥ずかしい思いをしたことがある。

 『ビックリハウス』、それほど世の中の人をびっくりさせられなかったのか。いつの間にか消えてしまった。

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                                     荻原君と僕

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