刑務所に入ったら、分類されてしまう!
誰だって刑務所に入っていたときのことをしゃべりたくはないだろう。それなのに、僕の根掘り葉掘りの質問に答えてくれた人がいた。
それは『薔薇族』の読者だからだろう。1985年の8月号に、全てのマスコミができなかった大スクープをすることができた。「日本人・エイズ患者に単独会見!!」。この記事を読んでマスコミが編集部に押し掛けて大変な騒ぎになってしまったこともあった。
これは編集長として、こんなにありがたいことはなかった。
現職のウリセン・マスター(東京・52歳)と見出しにあるが、どんな方だったのか、全く記憶にない。
松竹で映画化された「塀の中の懲りない面々」(安部譲二原作)の風呂場のシーンのスチール写真が見出しに使われている。みんな手を湯の外に出している。それはお湯の中で、相手のモノを触ったりする人がいるので、それを防ぐための決まりのようだ。
22ページも使っての対談記事を原稿用紙4枚の中で紹介することは難しい。僕の質問は、「男好きの人が塀の中に入った時、どんなことを考えるのか、どういうことになるのかを突っ込んでお聞きしたいわけです」から始まっている。
ウリセンというのは、若い男をお客にお金をもらって斡旋する商売だ。18歳以上の男であれば、何の法に触れることもない。
ただ働きたいという若者が年齢を偽ったりすると、店側としては調べるのだろうが騙されてしまうことがある。
たまたまやめた若者が無免許運転で警察に捕まり、ウリセンで働いていたことを白状してしまったがために、マスターが逮捕されてしまった。もしかしたら同業者の密告かもしれない。
児童福祉法違反という罪に問われたわけだが、初犯ならたいした罪にはならない。罰金ぐらいですんでしまう。だが、前科があると懲役1年という実刑をくらって刑務所に入れられてしまう。このマスターには前科があったのだ。
●刑務所に行きますと分類課というのがあるんですよ。
ーーどういう人間かということを・・・
●分類するわけです。いろいろテストがありましてね。分類課というのは、そういう仕事をするところなんです。人間を振り分けるというか。
ーーどういうことで振り分けるんですか。性癖とか・・・
●私のようなのが行った場合は、一口にホモといっても男役、女役、つまりタチとオネエがいますでしょ。オネエというのはオネエ専門のところに行っちゃうんですよ。
ーーそれはどうやって調べるんですか?
●私は結局、看板しょって行ったわけでしょ。オネエさん連中も捕まる場合というのは、いろいろあるんじゃないですか。立っているとかどうのこうので。だから捕まったときにカツラを付けていたら、すぐに分かるだろうし、そういうオネエさんは、オネエ工場に行くわけです。
私の場合はタチだから、オネエというのは結局はやらせるような人間だから、これを一般の工場に送り込んだのではまずいでしょう。夜、そういった気がないといったところでやっぱりね。
仕分けというのは、今の政治の世界で始まったわけでなく、刑務所というところは入所してくる人を仕分け、分類しなければ、あとでごたごたがおきてしまうから。
人を仕分ける分類課の仕事って大変な仕事なんだ。僕ならでどう仕分けされるだろうか。
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