映画に出てくる刑務所とは違います!
刑務所の中の話なんて、このブログを見てくれている人には、何の関係もない話だけど知っていてもいいのでは。
ーー食事は拘置所よりも刑務所の方がいいわけですか?
●食事も、ああいいところはまずいもの、「臭い飯」だと思っているでしょ。ところが食器は確かにプラスチックですけれども、食事の内容そのものは、その辺の苦学生なんかより絶対いい。ことに府中刑務所の食事となると絶対いいですよ。
ーーちゃんと栄養士が付いて、栄養のバランスも考えて作っているわけね。献立なんかはわかるんですか?今日はカレーライスが出るとか。
●わかります。
ーーそれじゃ食事が楽しみですね。
●そうです。カレーライスは、シャバのものなんか及びもつかないほどおいしいですよ。あんなところで食べているからおいしく感じるんだろう、普通は思うでしょうが、そうじゃないですよ。
●舎房です。
ーー部屋の中にみんな持ってくるわけですか?
●ええ、仕事中は工場です。工場で食べるのは昼食だけですね。土曜日だけが昼食をすませてから舎房へ帰ってくるんです。
「舎房へ帰ってくる」とは言わないんですよね。「還房」というんです。それから「出房」。
いま話をしていたのは、東京拘置所の話ね。警察から東京拘置所に送られる。
ーー拘置所には、どのくらい入っていたんですか?そこに入っている間に刑が決定するわけでしょう。
●そうです。いま普通の単純な裁判では、2ヶ月から3ヶ月はかかるでしょ。裁判は1回しかなくて2度目は判決のはずです。言い争うようなことは何にもないんだから。確か裁判にかかった日にちは1ヶ月です。
ーーそれですぐ府中の方に送られちゃうわけ?
●ええ、朝6時に起きて点呼があって。田中角栄さんが入っていた新房の舎房というのは1階に50部屋あるわけです。
ーーずいぶん広いんですね。
●ひとりの入っている部屋は3畳です。それで2畳に畳が敷いてありますね。残る1畳に便所と流しがあるわけです。
廊下の方にステンレスのカウンター付きの窓があって、もう片方も窓ですよ。だから映画に出てくる格子扉みたいなものはないです。あれはもう映画の世界で本当はきれいなものですよ。風通しはいいし。
壁はコンクリートにクリーム色が塗ってあるんです。きれいですよ。
ーー壁にイタズラ書きなんか、とってもできないですよね。
●ところがしてあるんです。もう壁といわず、床といわず、何とか一家の何某というようなことが書いてありますよね。
ーーヤクザの人とが書くわけだ。
●ああいうところに入ると器用なもんですね。人間は限られた道具で、いろんなことをやりますからね。想像もできないことを。火さえ起こしますからね。まったく何もない生活の中で恐ろしいことを考えるもんです。
刑務所の中って、暗くてジメジメしたところと思うけれど、きれいで食事もおいしいし、自由がないだけでと、入ってみたいなんて思わないでほしいものだ。
俳優の清水健太郎さんが、また覚せい剤を使用した疑いが強まったとして逮捕された。マエがあるから今度は長く入っていなければ。タバコだってなかなかやめられない。悲しい話ではある。
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