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2010年11月14日 (日)

「塀の中の中学校」に感動はしたが...

 僕の祖父、伊藤冨士雄は、救世軍の士官として、娼妓の自由廃業に一身を捧げた闘士であった。その話は何度も書いていたが、祖父は娼妓たちが何にも悪いことをしたわけでないのに、家が貧しいために親に売られてしまった女たちを身体を張って救い出した。

 明治から大正時代、東北の貧しい農家ではお米が不作で穫れなかったりすると、娘を遊郭に売らないわけにはいかなかった。

 娘たちは小学校ですら、ろくに通えなかった無学な女たちだ。遊郭の経営者の言うままに奴隷以下の生活を強いられ働かせられていた。

 祖父はいかに娼妓たちが悲惨な生活をしていたかということを、なんらかの罪を犯して刑務所暮らしをしている懲役人と比較して語っている。

 1.刑務所に入れられている囚人たちは、官費で服を与えられているが、娼妓の着物は下着までも高利の借金をしなかれば着ることができない。

 2.囚人たちは4分6分の食物を1日3度ずつ与えられるが、娼妓は1日2食で、しかも昼夜働かなければならない。

 3.囚人は部屋を与えられるが、娼妓は部屋代をお客が払ってくれなければ、自分の座敷にも入ることができない。

 4.囚人は夜は静かに眠ることができるが、娼妓は夜分安眠の時間なく、祝日でも普段の数倍働かなければならない。

 5.囚人は逃亡しても、囚人服の横領の罪に問われないが、娼妓は廃業して遊郭の外に出る時は、着衣は全て樓主に奪われる。

 6.囚人は精勤次第で刑期の3分の2で仮出獄を許されるが、娼妓にはこの待遇法はなく、働いても、働いても借金が増えるばかりだ。

 7.囚人は所内で働けば、出所するときお金を持って出ることができるが、娼妓にはそんな望みは一切ない。

 こんなひどい状態が昭和33年に売春禁止法が施行されるまで続いていたということを多くの人に知らされていない。


 去る10月11日の夜、9時からTBSテレビで「平成22年度文化庁芸術祭参加 塀の中の中学校」を観た。

 長野県松本市にある日本で唯一の刑務所内の公立中学「旭町中学校桐分校」。生活態度が良好で義務教育を終えていない受刑者が1年間学ぶ。「最後の最後の救済の場所」(教師だった角谷敏夫さん)での教官と生徒の交流を内館牧子の脚本でドラマ化した。

 「犯罪者にここまでやる必要があるんですかね」と副担任役が入学式を前に話すセリフはあるが。

 しかし、2時間半のドラマは、生徒役の渡辺謙、大滝秀治などの名優ばかりで、終盤の万感の卒業式のシーンに至るまで、22歳から76歳の5人の生徒の人生を見続けて思いは変わってくる。

 くだらないテレビ番組ばかりなので、しばらくぶりに感動的なドラマを見ることができた。この中学校の卒業生は、600何十人もいて、ほとんどが出所後、更生して再び犯罪を犯す人は少ないというが。

 今の時代、東大や早大、慶大などの有名大学に入学させるには、小さい時から塾に通わせ、莫大なお金をかけなければ入学させられない。

 頭のいい優秀な学生でも、家が貧しければ大学などには入れさせられない。そんな子供たちにも国は援助の手を差し伸べてほしいものだ。

 内館牧子さん、娼妓の悲惨な生活もドラマ化してはいかがなものか。

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コメント

親に粗末にされた子供は、精神の塵捨て場
として扱われるのが、世の常と思われます。
ましてや過去に娼婦の、経験が知れたらどのような
扱いを受けても、当然という風潮は今もあります。
救世軍の御爺さん・・
こんな人も世の中いたのですね。
今の宗教関係者には皆無に近くなりました。
素晴らしい先祖をお持ちなんですね。

投稿: H・A | 2010年11月19日 (金) 15時36分

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