« 伊藤文学の談話室「祭」とは? | トップページ | 人間ひとりでは生きられない... »

2011年1月19日 (水)

波賀九郎さんの芸術的な縛りを見せたかった!

 「伊藤文学の談話室・祭」での夏季教室、週1回の日曜日に催され、国学院大学教授の阿部正路さん、詩人の高橋睦郎さん、歌手の美輪明宏さん、画家の富田英三さん、そして、最後の週が作家の団鬼六さんを招いたが、団さんとの出会いはこのときが最初だった。

Photo_2

 演題が「責め--その方法と実際」としたのだから、いつもは後ろの方から席がふさがっていくのが、この日ばかりはかぶりつきの前の方からふさがって、定刻頃には立ち見席も満員で外にはみ出すほどの盛況だった。

 団さんの話の内容は、35年も前のことだから記憶力の悪い僕には、全く思い出せないが、読者からの手紙が残っているのを引用させてもらう。東京のT・Hさんからのものだ。

 「団さんは話は苦手だと前置きにもかかわらず、なかなかの能弁でよく話をされた。
 ただ話の内容があまりにも作りものめいていて、小説だったら、そのつもりで読むので抵抗を感じないのですが、ご自分の体験として話されると、何か嘘を感じてしまって、白々しく、むなしく、質問をする気にもなれませんでした。
 しかし、最後のカメラマンの波賀九郎氏の実演?は、若い頃の山谷初男を思わせる非常に素朴な感じのモデルとともに大変にすばらしいものでした。
 気持ちよく太陽の下でいぶされた肌に、レンガ色のランニングシャツとひまわり色のズボンをつけたモデルを波賀九郎氏がシャツを首元までたくしあげ、後ろからぐいぐいと髪を引っ張られて、のけぞったときの半ば開いた口と若々しく伸びた喉、それはロダンの彫刻『囚われ人』を思わせる美しさでした」

 波賀九郎さんは、もうこの世にいないから、あの見事な縛りを見ることはできない。

 団さんはもしかしたら、ご自分では縛ることはしないのではと思うけれど、確かなことはわからない。

 このモデルを見つけ出したのは、僕のようだ。こんなことを書いている。

 「一度、モデルを使って縄で縛ってみたら。そう考えたものの、果たしてモデルになってくれる人がいるだろうかと心配でした。
 ある日、『祭』に来ていた青年の中に、日焼けして真っ黒な青年がいた。何気なくモデルのことを話したら、『何でも経験だからやってみようかな』と、その青年は承諾してくれた。伊豆の海で1週間もかけて焼いたという肌は文字通り真っ黒でした。
 下着は真っ白な六尺褌。ああ、彼ならやってくれるな。そうは思ったものの、当日、彼の顔を会場で見つけたときは、本当にホッとしました。
 そこへお客として現れたカメラマンの波賀九郎さん、波賀さんの顔を見たとき、そうだ、波賀さんに縛ってもらおうと頼んでみた。これは全くのハプニングで始められたのだ。
 いきなり髪の毛を引っ張ってのけぞらせる。縄を、鮮やかにできぱきと、そう手品師のようにかけてから、真っ黒な肌に食い込んでいる真っ白な褌をいきなりほどきにかかる。みんな息をひそめる。見えそうで見えないところで、褌が垂れ下がる。
 そこへコップに水を持って来させて、口に水を含むと、いきなりモデルの顔に吹きつける。首から胸へ、腹へと。
 亀甲縛り。鍛えられた美しい肉体に食い込む縄。それは見事なものだ。団さんがつぶやくように言った『波賀さんの縛りはたいしたものですよ』の言葉が、いつまでも耳に残っている」

 ビデオなんてなかった時代。芸術的な波賀さんの縛りを若い人に見せられないのは、何とも残念なことだ。

Photo

★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学

399

★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。

◆永遠のベストセラー「愛の潤滑液 ラブオイル」一度お試しあれ。

Nurnuru2 Nurnuru3

 

◆お求めはこちらから


◆ご感想・ご相談はこちらへ

|

« 伊藤文学の談話室「祭」とは? | トップページ | 人間ひとりでは生きられない... »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101967/50630469

この記事へのトラックバック一覧です: 波賀九郎さんの芸術的な縛りを見せたかった!:

« 伊藤文学の談話室「祭」とは? | トップページ | 人間ひとりでは生きられない... »