人間ひとりでは生きられない...
「自殺者3万人超す 13年連続で」の2011年1月8日の毎日新聞の記事はショックだった。
それはひとつの街の人たちが1年間で消えてしまうということだから。自殺者のうち、男性は2万2178人、女性は9382人で、圧倒的に男性の自殺者の方が多い。
男性の自殺者2万2178人の中で、男性同性愛者の比率がどのくらいかということを調べることはできないが、僕が思うにはその率は高いと考える。それは結婚(女性と)しないで、ひとりで住んでいる人が多いからだ。それと親族から変わり者扱いされて、親族との付き合いがない人が多いからだ。
『薔薇族』を出すことによって知り合った読者で自殺した人を思い出すだけでもかなりの数になる。
『薔薇族』の読者で自殺した人の理由はいろいろあるだろうが、性格的に内向的な人が多いから、うつ病になっても回りの人が気付かずに悪化してしまうということだ。
それと親身になって相談に乗ってくれる人が少ない。というよりも他人と関わりたくないという人が多いからだ。
『薔薇族』を出していた頃は、頻繁に読者から電話がかかってきて、いろんな相談に答えたものだ。その頃の電話が今でもあるから遠慮しないで電話をかけてほしい。朝早いのは困るけど。
僕はひとりで暮らした経験がまったくないので、一人暮らしってどんなものか想像がつかないが。古い『薔薇族』を見ていたらこんな投書が載っていた。「老後を思う」と題してだ。
「私は今、51歳なので老後(経済生活、病気、死亡、孤独など)のことを非常に心配している。
この問題はホモの人の問題に限らず、万人共通の問題であるかもしれない。しかし、ホモの人(特に一生独身で通した人、通そうとしている人)にとっては、人一倍、重大な問題だと思う。
一生独身の人は妻や子がいない。そこが問題なのである。いざというとき、手を貸してくれる人、力を貸してくれる人がいないのである。自分だけなのだ。
私は今まで、ずっと独身を通してきた。今後もおそらくそうであろう。だから万が一に大病にでもなり、あるいは老衰して、寝たきりの生活になったら誰が自分の世話をしてくれるのであろうか。とても心配だ。それと自分が死ぬ時は、いったい誰に世話になったらいいのであろうか。それが心配だ。
経済生活の不安に備えては、安月給の中から毎日少しずつ貯金して、あとは年金に頼るつもりだ。しかし、老い過ぎて働けなくなったらと思うと、貯金の額は少ないし心配だ。
この頃、新聞の自殺記事やひとり病死したという記事がやたらと目につく。自分自身の何年か先の姿を見るような気がしてならないのだ。(東京都・初老生)」
30数年前は51歳でも初老生だと思っていた。この人の心配事は今でも同じことが言える。
マンションに住んでいても、部屋の番号だけで氏名が書いていない。出会って挨拶してもそっぽを向いてしまう女性もいる。
交通事故より、圧倒的に多い自殺者の数、さて、どうしたら少なくできるだろうか。
うわさによると、この4月の区議会選挙に何人かのゲイの人が出るようだ。この人たち何を訴えて立候補するのだろうか。みんなで考えるしか解決方法はない。
★『薔薇族』創刊時からの良き相棒だった藤田竜君が、1月10日に亡くなった。74歳だった。今、ちょっと落ち込んでいるが頑張るしかない...
★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。〒155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学
★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。
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コメント
自殺者が急増していますが、歯止めをかけることは、出来ないのでしょうか理由様々ですが。なかなか、解決が難しい問題です。いざという時、周りに差し延べる人がいるなら、孤独を感じる事はないのですが。我等も、独身ですが。
投稿: 九条院伊織 | 2011年1月22日 (土) 22時43分