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2011年2月15日 (火)

母親ゆずりの辛抱強さを。

 「同性愛は異常でも、変態でもない!」と『薔薇族』創刊以来、叫び続けてきたが、世の中、変わったとはいえ、まだまだ少数派に対する差別、偏見は根気づよく残っている。

 少しでも自分より劣っていると思う人に対して、さげすむという心理は人間の本能みたいなもので、これをなくすということは難しい。

 たまたま父が残した本で「新歌人会 年刊歌集1951年版」を見つけた。父は文学青年で若い頃から作家になりたいと思っていた。

 斉藤茂吉の本を出したいという思いから作歌を始め、「アララギ」に入会していた。各結社の在京の新人、46名が参集して「新歌人会」を結成し活動していたが、その会員からひとり15首ずつを納めたものが年刊歌集だ。「途上」と題する父の15首の中から思わぬ1首を読んでしまった。

 怒るとき母の無学を蔑(さげす)みし父の心を今にしおもふ

 父というのは、僕の祖父、伊藤富士雄(大正時代に吉原などの遊郭から、お女郎さんを千人も苦界から救い出した人で、ブログで何度も紹介してきた)のことで、父が19歳の頃、大正12年に亡くなっているので、どんな人だったかは僕には知る由もない。

 祖母のことさんは長生きしたので、僕が大学を卒業する頃まで生存していた。明治生まれの女性だから小学校しか出ていないことでバカにしていたのだろう。

 僕の父も同じように母の無学を蔑んでいたことは、僕はイヤというほど知っている。

 15歳の頃、岩手県の山奥から上京して、「甲子社書房」という仏教書を出版していた会社の社長さんの家にお手伝いさんとして奉公していた。その会社に社員として働いていた父と知り合い、結婚したということだ。

 母の古里に子供の頃、行ったことがあったが、岩手県の沼宮内という駅から、かなりバスで入った山奥だ。冬などは雪に覆われて小学校にも通えなかったに違いない。

 その母の思い出を僕より5歳年下の妹が、「母の浮世床」と題して、エッセイを書き、それが仲間たちと出した本になり送られてきた。その妹のエッセイを読むと、母は近所の美容院に行き、ひとりで店を経営していた女主人に父のことをこぼしていたようだ。

 「父が応接間でお客と話をしているところへ、母がお茶を出しに入る。すると父はすぐに、引っ込んでいろ、と追いやったようだ。父のことだから粗相があってはいけないとか、器量がよくないので、人前に出したくないとでも考えたのだろうか」

 これは僕も知っていたが、母が無学で計算もできないからと、生活費として1日1000円しか渡さなかった。昭和30年頃の話ではあるが、あまりにも少なかったのでは。

 母は和裁などの内職をして、生活費の足しにしていたようだ。父が病気で倒れるまで、僕も給料をもらったことなどない。「ぼくどうして涙がでるの」がベストセラーになり、10万部も売れたというのに印税など一銭ももらわなかった。

 妹のエッセイを読んで思ったことだが、父は僕がおとなしくて親に逆らわない、それに頭が悪いとでも思っていたのだろうか。

 僕は母に似て、頭は悪いけれど、東北人特有の辛抱強さは受け継いだようだ。

 父がやっていた頃の出版物では、とうの昔に倒産していた。僕がやるようになって経営も楽になったことは間違いない。

 母に対して暴力もふるった父だが、僕はそんな父を恨んだりはしていない。なにくそという強い気持ちを持たせてくれたことにむしろ感謝している。

 Photo
岩手から上京したおりに持ってきた柳ごおり

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