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2011年4月 4日 (月)

娼妓と結婚した男は幸せだった!

 祖父、伊藤冨士雄が命がけで身体を張って娼妓を自由廃業させても、また、他の職業につけずに無学な女性たちはくるわに戻ってきてしまうのではと誰もが考えてしまう。

 「娼妓解放哀話」の沖野岩三郎さんも、同じように祖父に聞いたようだ。

 「伊藤君は小型のノートブックをポケットから取り出して、『そこです。君たちのような人でも、そんな質問をする。その質問の裏には、君だって自由廃業にケチをつけたいという気持ちがあるからでしょう。
 それは娼妓稼業がどんなに苦しいものか知らない人が言うことです。今、私がある期間に扱った300人の廃業者がどんなところへ縁づいているかをお目にかけましょう』と言って、伊藤君はそのノートブックを机の上において大きな手でそのしわを伸ばしたかった。そのノートブックには奇麗な文字で左のような統計が記されてあった。
 工場職工・37 会社員・16 人力車夫・11 日雇い労働・10 大工職・10 印刷職工・9(など、51の職業に従事した数が書かれている)
 その次に少し大きな文字で看護婦の手伝いとなった者・2 樓主に引き戻された者・8 料理屋の酌婦に売られた者・3 犯罪監者・1 行方不明の者・13 親元に戻った者・87 と書いてあった。ずらりと並んだ、その職業別に興味をひかれて、繰り返し読んでいると、伊藤君はニコニコ笑いながらこんなことを言った。
 『娼妓をした女の結婚は意外と幸福です。なんと言っても人生のどん底を見てきた人間ですから、普通の女の知らない苦労を知っているので、自然と亭主に対する心仕えもいいのでしょう。
 ただひとつ悲しいことは、子供ができないことです。しかし、それもまったくできないわけではなく、この統計中の理髪師の細君となったひとりは、5年間も娼妓だった女でしたが、結婚後間もなくまるまるした男の子を産みました。
 それから工場の職工の細君も、会社員の細君も男の子を産み、建具屋の細君になったのも男の子を産んで、4人が4人とも元気に育っています。
 この300人の中に廃業前に出産したものが18人ありました。ところが不思議なことに、そのうちの17人までが女の子でした。
 しかもその18人の子供は、たった4人しか育ちませんでした。娼妓稼業中に産む子供が9分9厘まで女の子で、廃業後産まれた子がみんな男の子だということは何らかの理由がありそうです』

 祖父の所属していた救世軍の素晴らしいところは、このように統計を取って救い出した女性たちの将来のことまで、面倒を見ていたことだ。

 たくさんの男と交わった経験のある女性たちだから、そんなこと言ってはいけないけれど、結婚した男を喜ばせるテクニックを豊富に知っていたから、亭主はある意味で幸せだったのだろうと僕は考える。

 最近のテレビはくだらない番組ばかりなので、報道番組しか見ないが、今、夢中になって見ているのは、ひと昔も、ふた昔も前に作られていた時代劇だ。

 「鬼平犯科帳」「剣客商売」など、実に良く出来ている。

 世田谷文学館の友の会で知り合った、監督の高瀬昌弘さんに手紙を出したら、すぐに返事が返ってきた。

 「鬼平はプロデューサーの市川さんが台本送りに熱を入れ、原作を大切にしたことで、つぶの揃った作品になったので、やはり優れたものは、台本作りにあると思います」と。

 江戸時代のくるわの女郎の話も登場してくるので目が離せない。

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