世の中、暗い、ちょっと息抜きを!
柴山肇さんは、『薔薇族』を創刊するずっと以前に、小さい出版社はエロ本を出すしかない、と路線を変えて「ナイト・ブックス」と名づけた新書判を出し続けていた。
昭和30年代の頃だ。武野藤介さんの「わいだん読本」が最初で、清水正二郎さんの「女性残酷物語」など、毎月1冊ずつ出して、全部で60数冊は出しただろうか。
まあまあの売れ行きで、経営状態も安定するようになってきた。そのシリーズの1冊で「365日しびれる本」が柴山さんの艶笑コント集だ。
柴山さんは東急の社員で、東急文化寄席も企画して定期的に開いていた。この本の出版記念会には、著名な落語家さんも多数出席されて楽しい会だった。落語の台本も書いておられたからだ。
柴山さんとは、その頃からのお付き合いで『薔薇族』誌上に「江戸男色考」を長いこと執筆してくれて、これは批評社から3冊もの単行本になっている。
『薔薇族』向きに「コント69」というコーナーも作って、これも長いこと続けてくれた。世の中、暗いので笑えるコントを紹介しよう。
●遅すぎた恋
会長の山口虎之助翁が、料亭のテーブルを叩いて、専務の石本氏に言った。
「わ、わしは昨夜、生まれて80年目にして真実のホモダチを見つけたんじゃよ」
「ほ、ほーっ」
石本氏は驚いて言った。
「歳はいくつですかな。そのホモダチは?」
「少年じゃよ、まだ18歳の。だが、ペニスなどはなかなか立派なもんでのぉ」
「そこ、そこ、お爺さん、すばらしい!そこの先をお願い、噛んで!と言いおったよ」
「それで?」
「いや、石本君、わしは歯というもんがないんじゃよ」
柴山さん、尺八をするには、歯がないほうがいいということを知らなかったのでは。
●ゴールド・ラッシュ
大学生がもう一人の大学生に、「登校中のバスの中でスリにあったんだって?」
「そうなんだ。満員のバスでね、前にいた会社員風の男の手がソロソロと虫のはうように僕のズボンのポケットの財布に伸びていくにも気がついてね。その手が財布に達するまでに3分もかかったね」
「3分も?どうしてその間に〝スリだ!!〟って叫ばなかったんだ?」
「だって、その手がどっちの金を狙っているのか、最後の最後までわからなかったからね。財布の中の金か、パンツの中の金か」
車内での痴漢行為は今もなくならないのでは。女性専用の車両を作ったりもしているようだけど、世の中には女性で女性を触りたい人もいるものね。無駄な話だ。
●寝苦しい夜
狭い簡易ホテルのベッドで、旅芸人の父と息子が背中をくっつけて寝ていた。
「おい、安夫!頼むから早く眠ってくれよ。お前がモゾモゾしていると眠れないじゃないか」
「わかるよ、お父さん。でも、俺も同じなんだよ」
「同じ?」
「俺も両足の間がモゾモゾして...」
安夫は布団の中に向かって叫んだ。
「おい、せがれ!早く眠れよ!」
親父と息子とセックスしてるって訴えを読者から聞いたことがあったっけ。
それにしても柴山さん、長いことご苦労様でした。
★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で1000円の定額小為替を購入し、下記までお送りください。〒155-0032 東京都世田谷区代沢3-9-5-202 伊藤文学宛
★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。
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コメント
はじめまして。
私は、武野藤介の孫娘なんですよ。
母が、父である武野藤介を忌み嫌っていたので、つい先日まで私は祖父の情報が皆無でした。
なんと言うか、現代で例えると、週刊プレイボーイの編集長みたいだったのかしら?
毛色の違う者がメッセージ送ってしまって、御免なさい!
投稿: 孫娘 | 2011年5月26日 (木) 14時42分